「株はギャンブルとは異なり、運だけでなく知識も必要」とよく言います。
しかし、実際の構造的にはギャンブルと似通っているところが多々あります。
そのため、依存症による症状もギャンブル依存症と非常に似通っています。
そこでここからは、そもそもどのような状態になったら株依存症なのか、そのように治療していけばよいのか、もし家族が株依存症になってしまったらどうしたらよいのか、詳しく解説していきます!
株依存症とは?株依存症は治療が必要な病気です
株依存症とは?
では、そもそも株依存症とはどのようなものなのでしょうか。
簡単に申し上げますと、「株をしたい」という欲求に対して自己コントロールが効かなくなる病気です。
「病気」と書いてあるように、れっきとした病気で、治療が必要となります。
気持ちや気合でなんとかなるものではないと、まず認識しておいてください。
ここで少し株依存症の仕組みをご説明します。
株のようなギャンブル性の強い刺激に触れると、脳内でドーパミンが分泌され脳の報酬系部分が異常な活性をします。特効薬はなく、不治の病と言われるぐらい自然治癒が非常に困難な病気です。
ギャンブル依存症者はギャンブルに関連した刺激に対しては脳が過剰に反応するのですが、ギャンブル以外の刺激にはあまり反応しなくなります。そのため、家庭や仕事もおざなりになり、日常生活に大きな悪影響をもたらしてしまいます。
日本においてギャンブル依存症の患者は非常に多いですが、ほとんどがパチンコ・スロットへの依存です。
株の依存は全体の比率で見たら少ないのですが、やはり一定数は気付かぬ間に株依存症になってしまっていると考えられます。
当てはまったら注意!株依存症の症状
株依存症は、本人が気づけることは非常に少ないです。家族や恋人、友人と言った、周囲の人間が気づいてあげることが非常に大切となります。
そこでまずは、ご家族や友人、はたまたご自分が当てはまっていたら注意してほしい株依存症の症状をお伝えします。
具体的に、株依存症には次のような症状が挙げられます。
- いつも株のことばかり考えている
- 株に使う金額がどんどん増えている
- 「やめる」と言った(決めた)のに、また株を始めてしまう
- ストレス解消法として株をやっている
- 負けた分を取り返そうと株に取り組んでいる
- 株に使った金額を家族にバレないよう嘘をつく
- ギャンブルの資金を集めるために生活費に手を付けたり、審査の甘い消費者金融などで借金する
- 違法行為に手を染める
- 金銭トラブルから、友人や職場の人間関係が破綻する
上記のような症状がご自分や家族に見られる場合には、株依存症を疑ってよいでしょう。
特に気にしてみてほしいポイントは「借金」と「嘘」です。
株をやるために借金をし始めたら、株依存症とみて間違いありません。株は資産に余裕がある人が資産運用方法として取り組むものですから、借金をして株をやるのは本末転倒です。
また、「嘘」も重要なポイントです。株依存症は、重度になってくると家族や友人にも嘘をついてお金を手に入れようとします。そうして、周囲からの信頼や友情、愛情を失ってしまうのです。
そのため、家族や友人、または自身が株のために「借金」と「嘘」をし始めていたら、治療が必要と認識してください。
株依存症の原因とは?
では、そもそも株依存症の原因はなんでしょうか。
株だけでなく、ギャンブルというのは触れるだけで簡単に快感を得られる要素が詰まっています。
特に現代は、「自分が何をしたいのかわからない」「なにも楽しみなことがない」という虚無感を持っている人が非常に多いです。その虚無感を埋めるツールとして、株やギャンブルは最適なのです。
しかし、株で得た快感はあくまでもつかの間の幸福感しか与えてくれないので、本当の意味で心を充実させることはできません。
すると、株をしていない時のむなしさが余計に感じられるようになってしまい、どんどん株にのめりこんでいく悪循環に陥るのです。
皆さんは、株やギャンブル依存症になると聞くと、「だらしがない人」「きちんとしていない人」というイメージを抱くかと思いますが、実は違います。
株依存症になりやすい人は、意外にも、きちんと家庭を持ち周囲の人から信頼され毎日仕事にも行っている、いわゆる「真面目な人」です。
真面目な人は、周囲からの信頼や期待に応えなければという思いから、自分のキャパを超えて頑張りすぎてしまったり、人に悩みを相談することができなかったりします。
また、真面目な人は、心の奥底に「自己否定」が根付いているケースも多いです。
その結果、本人も気がつかないまま抑圧された感情を上手く吐き出せず、ギャンブルで発散することに依存してしまうのです。
また、「依存症」は日本ではしばしば「意志が弱い人間」と扱われます。依存症はダメ人間がなるものとされる風潮が、ますます本人を苦しめ、症状を悪化させているのです。
株依存症の治療方法は?周囲にできることはある?
株依存症がどのようなものか、お分かりいただけたのではないでしょうか。
そこでここからは、株依存症を治療するにはどうしたらよいのか、また家族や友人が株依存症になってしまった場合周囲にできることはあるのか、詳しくご説明していきます。
まずは株から離れることが第一
何よりも大切なのは、「株から離れること」です。
先程から繰り返し申し上げているように、株依存症は治療が必要な病気です。
つまり、「やめる!」という決意だけでやめられるほど甘くはありません。
「やめるための治療」をしていくことが必要となります。
ここでは、比較的軽症の方を対象とした、株から離れる方法をご紹介します。
ただ、本格的に株依存症になってしまっている方は今からご紹介する方法はできないと思います。あくまでもまだ自分で辞められる余地がある人向けです。
具体的な方法としては以下の通りです。
- 手持ちの株を売却する
- 1日でいいから相場をチェックしない日を作る(株に関するものは何も見ない)
- 株を見ない日を1週間に1回→5日に1回→3日に1回→2日に1回…と段階的に増やしていく
まずは、手持ちの株を売却しましょう。
「そんなことしたら損失確定になっちゃう…!」という方、どうせあと数ヶ月持ってても損失です。むしろ損失は膨らみます。まずは勉強代だと思って損失確定でもとりあえず手放しましょう。
どうしても手放したくない株がある方は、多くても2銘柄までは手持ちにし、それ以外は売ってください。また、その2銘柄は長期保有を前提であることが条件です。
しかし、おすすめはしません。
手持ちの株があると、どうしても株価が気になってしまいます。すると、スムーズに株から離れることができなくなってしまうのです。
とりあえず、おすすめはすべての手持ちの株を手放すことです。
手放すことができたら、1日だけでいいので株にまったく触れない日を作ってください。
タイミングは、ご自分の踏ん切りがついたときで構いません。
株に関する情報を一切見ないようにするのです。チャートだけではなく、新聞やブログ、サイトなど、株に関連するものはすべてシャットアウトします。
その日は、株価のことなんて考えなくていい解放感を十分に味わってください。
例えば、本を読んだり映画を見たり、ショッピングに行ったり…今までやりたいなと薄々思っていたけど株をやることでできていなかったことをやってみるのです。
達成できたら、1週間に1回→5日に1回→3日に1回→2日に1回…段階的に期間と間隔を調整していけばいいでしょう。
とにかく1日やめてみることが何より大切です。
家族だからこそできることがある
ここまで、株依存症は治療が必要な病気であるとお伝えしてきました。
そして、治療をするにあたってご家族の協力は必要不可欠です。
まず、家族が「株依存症は自分の意志ではどうすることもできない病気」であることを受け入れ、本人に自覚を促し、専門家のもとで治療に取り掛かれるようにしてあげてください。
反対に、「あなたの意志が弱いからだ」「もう株はやるな」と一方的に決めつけてしまうのは逆効果です。一番身近な存在である家族に理解してもらえない状況は、さらに依存症を悪化させる原因になります。
では、具体的にどのようなことをすればよいかというと、株依存症の治療をするにあたって、「すべきこと」と「してはならないこと」を家族が見分け、その意味も理解することです。
例えば、以下のようなことです。
- 株依存症は、意志の力ではどうにもならない治療が必要な病気であることを受け入れる
- 借金の肩代わりをしない
- 尻ぬぐいをしない
- お金の無心をされても貸さない
- 信用できる機関に連絡を取る
- 家族会に出る
決して身内だけで解決しようとせず、早めに専門家に相談することが最も大切です。
また、本人がなかなか自主的に治療を受けたがらない場合は、まず家族だけで相談にいってみてください。必ず解決の糸口が見えます。
株依存症の治療施設がある
ここまで、株依存症には専門家の下で治療することが大切だと何度もお伝えしてきました。
病院に行くことはもちろんなのですが、実はギャンブル依存症専門の治療施設や自助グループが全国にあります。
ここでは、いくつか例としてご紹介しますが、ご自分で調べてみてお近くのグループに行ってみてください。
お金も予約も不要なので、気軽に行ってみてください。
株依存症回復のカギは「理解」と「治療」
いかがでしたでしょうか。
ここまで多くのこを解説してきましたが、株依存症回復のカギは「理解」と「治療」です。
まずは、本人と家族が「株依存症は専門家の治療が必要な病気」であると理解することが大変大切です。
本人も家族もつらいかと思います。しかし、適切な治療を行えば必ず回復します。
少しづつでいいので、前進していきましょう。