純金積立を考えている人は、投資に失敗して損失を出す可能性を高めてしまいます。なぜなら利回りが低いだけでなく、多額の手数料を取られてしまうからです。
投資で利益を出している人は株式投資やFXなどを中心に運用しているため、純金積立を始めようとする人には「やめとけ!」とアドバイスをするはずです。
この記事では純金積立を避けるべき理由と注意点を解説します。危険性やデメリットを把握して、利回りの悪い投資は可能な限り避ることをおすすめします。
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純金積立はやめとけと言われる理由
金の取引は他の投資に比べて利益が少なくなります。利息が出ないうえに、手数料が高いことで損失を出すことも多いです。
株式投資やFXなどは、会社の業績や世界の情勢によって価格が上昇して利益が出る可能性がありますが、純金積み立ては他の資産と相対的に判断されて価格が決まってしまいます。
つまり金の価格は景気が悪いとき上がり、景気がよくなるにつれて価格が下がる動きをする資産なのです。
基本的に金はリスク回避する目的で投資されるため、利回りや配当を目的に投資することはおすすめできません。
金を買う際の手数料が高い
純金積み立てを購入は、高い手数料を払わなければなりません。一般的には2~3%の購入手数料がかかるので注意しましょう。
株式投資の手数料が1%前後なので、2~3倍の手数料がかかってしまうことを考えると、純金積み立ての投資効率は悪いといえます。
例えば金の価格が5%上昇した場合に手数料が3%かかってしまうと、残りの利益が2%になってしまいます。
さらに利益から年会費も上乗せされて引かれてしまうので、純金積み立てにかかるコストは株式投資などに比べて割高になってしまいます。
純金積み立ては1,000円から始められることが宣伝されていますが、手数料を考えると割に合わない投資になる可能性が高いです。
利息と配当が発生しない
金の積み立ては株式や債券などと違って、利息や配当が発生しないので、他の投資商品に比べて利回りが低くなってしまいます。
もちろん株式投資と違って株主優待も受けられないので、現物の金が所有できる点にしか魅力がありません。
また純金積み立てだけでなく、「金先物」「金ETF」「ゴールドバー」などに投資した場合でも、利息や配当が発生しません。
そのため金の価格が下落した場合は、単純に損をするだけの投資になってしまいます。配当収入の「インカムゲイン」がある時のように、心理的な負担が下がることはないのです。
現物の金を所有する目的がない場合は、純金積み立ては損をする確率を増やすだけになってしまうでしょう。
スプレッドが広い
純金積み立てはスプレッドが広いため、売買を行うたびに手数料を払う契約を結ばなければなりません。
スプレッドとは、金1グラムを購入した価格と売却する価格の差額のことです。
スプレッドが広いほど、売却したときの利益が減ってしまいます。
基本的に金の取引のスプレッドは他の投資よりも広く設定されていることが多いので、取引回数が多いほど損をしてしまうのです。
スプレッドは仲介手数料として会社の利益になるため、金の取引を行う際はなるべく安い会社を選ぶ必要があります。
しかし株式投資などに比べるとスプレッドは広いといえるので、売却時の利益から差額を抑えたい人は純金積み立てはおすすめできない投資といえます。
メインの投資先に向いていない
金の価値は相対的に価格が決まるので、投資先をメインにするには適していない投資です。
価格が相対的に決まることは、株式投資やFXなどの他の資産と比べて価格が上下することを意味します。
そのため金の投資は経済状況が悪化する際の、リスク回避のために使われることが多くなります。
つまり利益を得るために純金積み立てを行う投資家は、ほぼいないといっても過言ではありません。
純金積立で1年間値動きがないと約5,000円損する
金の取引は利息や配当がないため、値動きがない場合は損をしてしまいます。
仮に毎月1万円を積み立てて運用した場合は約5,000円を損をするため、値動きがない情勢において投資するデメリットが大きくなります。
購入する時点で手数料が発生し、さらに売却時にも手数料が加味されたレートで計算されます。
さらに積み立てを一時休止するだけで「口座管理手数料」が発生してしまうので、購入時から売却まで利益が取られ続けると考えましょう。
値動きがない場合の純金積立をシミュレーション
以下に金の値動きがない場合を想定し、毎月1万円の純金積み立てを1年間継続させたシミュレーションを行います。
- 買値 6,580.00円/g
- 売値 6,540.00円/g
12万円から購入手数料として2.5%が引かれる場合、残りの金額は117,000円です。そして購入時と売却時は手数料が加味されたレートが適用されます。
- 購入時:117,000(円) ÷ 6,580(円)=17.781g
- 売却時:17.781g × 6,540(円)=116,288(円)
よって純金レートが動かない場合は、元本が116,288円に減ってしまうことになります。純金積み立ては値動きのないレートで投資すると、手数料の分だけ損失を生んでしまうのです。
純金積立はやめとけと言われる背景にある詐欺事件
純金積立が危険とされる背景には、以下3つの詐欺事件が存在します。
- 1985年豊田商事事件
- インドネシア金投資詐欺
- PGA・プランスゴールド詐欺被害
バブル経済の時期に純金積み立ての投資詐欺や、インドネシアで金の取引を直接目の当たりにして詐欺にあう人など、金にまつわる詐欺は後を絶ちません。
現物の金を見ると人間の心理は動きやすくなるので、投資被害に遭う可能性が高くなるので注意が必要です。
じつは詐欺被害に遭わない自信がある人ほど騙されやすくなります。
またプランスゴールド詐欺による世界を巻き込んだ投資詐欺が横行するなど、純金積立に投資することは危険視されています。
1985年豊田商事事件
1985年に起きた豊田商事事件は、存在しない金を売却して投資金を集める手口を用い、多額の資金をだましとる事件です。
営業に本物の金を持たせて信頼性をアピールして契約を促しました。主に単身住まいの人や銀行預金の利回りを大きくしたい人が詐欺の被害にあっています。
事件による被害者は2万7,000人、被害総額2,000億円にのぼり、巨額の詐欺事件として世間を賑わせました。
詐欺が発覚した結果、会長の永野一男氏はテレビカメラの前で殺害されてしまい、豊田商事は1985年に破産しています。
インドネシア金投資詐欺
インドネシア金投資詐欺は、インドネシアで金を仕入れて差額で稼げる話をもちかけ、高額の投資金をだまし取られる事件です。
無職の男2人は被害男性をインドネシアまで案内して、金の取引を目の前で見せるなどで信じ込ませた後に、投資金を回収しています。
被害者は配当金が月8%と元金が保証される話を持ちかけられて、現地のホテルで500万円を、現金1億円は大阪区のホテルで渡してしまいました。
そして2017年7~9月に被害男性から計1億500万円をだまし取った容疑で逮捕されました。
他にも18年8~11月に5千万円をだまし取られた男性がいるなど、多数の被害が出ています。
PGA・プランスゴールド詐欺被害
PGA・プランスゴールド詐欺事件とは、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を用いた「アービトラージ」で利益を生む話をもちかけ、出資金をだまし取った事件です。
アービトラージとは取引所ごとに発生する取引価格の差を利用して、利益を得る手法を指します。
プランスゴールドはアービトラージによって、投資するごとに7時間おきに月利20%の配当を受け取れるサービスを提供することを宣伝に資金を回収していました。
最初は配当を確認できましたが、サービス開始の4ヶ月後から預けていたお金が出金できなくなり事件が発覚。被害総額は400億円を超える事件にまで上りました。
その結果Twitterで「PGA被害者の会」が立ち上がられるなどの動きがありますが、資金を回収できるめどはたっていあにようです。
長期運用なら純金積立より株式投資がおすすめ
株式投資は長期保有するほど利回りが安定し、かつ短期的な値動きに左右されない取引が可能になります。
また株主優待や複利効果など長期保有することで、純金積み立てよりも得られるリターンが多いです。
資産形成は長期的な取り組みになるため、精神的に安定しながらコツコツと利益を増やせる株式投資が適しています。
株式投資の長期保有で失敗しない銘柄の選び方や保有し続けるメリット・デメリットを解説
リターンが安定しやすい
長期的な投資はリターンが安定しやすいため、資産運用に向いています。なぜなら株式投資はプラスサムの原理で値動きするので、長期的には高値になる可能性が高くなるためです。
さらに株式の配当や株主優待などといった、利回り以外の報酬が得られる株式を保有すると、リターンが大きくなるのでおすすめです。
日本株の配当利回りの平均は1.5%~2.5%なので、3%以上の株式を長期保有することで、安定してリターンを増やし続けることが可能になります。
日本株なら投資期間20年以上で元本割れリスクがなくなる
日本株は20年以上保有することで、元本割れのリスクがなくなるため、長期保有する株式投資に適しています。
短期的な投資で利益を出そうとするよりも、長期間の保有を前提として運用する方が、結果として利益を出せるわけです。
そのためマーケットのシェアが高い企業や、特許を持っているほど技術力がある企業を選びが重要です。
10年~20年後に存在していない企業に投資しても回収できなくなるため、企業の調査を行った上で投資先を決めましょう。
複利効果を高めやすい
複利効果とは運用して得られた利益を投資して、利息から利息を増やしていく手法のことです。
利回りで得られた額が小さい場合でも、長期間にわたって運用することで雪だるま式に利益が増えていきます。
複利効果の高さは「72の法則」の法則で証明できます。例えば年利1%で運用する場合、資産を2倍にするには72年かかる計算です。
しかし得られた利益の1%を翌年の運用に加えると2%になる複利効果を使うと、年数が経つにつれて割合が増えて利益が積み上がる仕組みを構築することができます。
頻繁な値動きに左右されない
株式の投資は長期間保有することで、株価の変動などに気を取られずに投資することが可能です。
また機関投資家たちの市場の誘導などに左右されない投資ができるため、精神的にも安定しやすいです。
長期の投資は短期的な損失に対して、余裕をもって運用ができます。
そのため副業で投資を行う会社員や主婦などにもおすすめです。
デイトレードのようなパソコンを確認し続ける手法を避けて、自分のペースで資産を作れるでしょう。
純金積立をおすすめしない理由は利回りが悪いから
純金積み立ては利回りが悪く、価格が上昇しない限り利益が期待できないため、投資対象としては避けた方がよい手法です。
とくに長期保有を前提とする投資の場合は、景気が悪い時のリスク管理に使われるだけなので配当を期待できません。
そのため投資を行う際は純金積立ではなく、株式投資や投資信託などから選ぶことをおすすめします。