「株式投資で分散投資は必須!」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際のところ「そもそも分散投資って何?なんのために分散投資するの?」と思われている方が大半でしょう。
そこで今回は、分散投資がいったいどのようなものなのか、初心者の方にも分かるように徹底解説していきます!
ぜひ参考にしてください。
株式投資には3つのリスクがある
そもそも分散投資とは、リスク管理の基本です。
では、株式投資におけるリスクとはいったい何でしょうか。
リスクの内容をしっかり理解しなければ、間違った分散投資をしてしまうことになります。
分散投資について詳しく解説する前に、まずは株式投資にはどのようなリスクがあるのかをご紹介していきます。
株式投資における主なリスクは以下の3つです。
- 株価値下がりリスク
- 企業の倒産リスク
- 株式の流動性リスク
それぞれ詳しくご紹介していきます。
①株価値下がりリスク
株式投資のリスク1つめは、株価値下がりリスクです。
株価値下がりリスクとは、買った株が値下がりしてしまい、買値より低い値段でしか株が売れなくなってしまうことです。
この株価値下がりリスクが株式投資において最も代表的なもので、投資家が一番対策するべきリスクと言えるでしょう。
つまり、株式は普遍的な価値はなく、1万円にでも1円にでもなり得るものなのです。
この株式の変動性が「株は怖い」というイメージをもたれてしまう原因でもあります。
たとえば、100万円で購入した株が株価暴落にともない70万円の価値になってしまった場合、30万円も損をしてしまうことになります。
株は、通貨と違い額面の価値が変動します。1万円の通貨には常に1万円の価値がありますが、1万円分の株は、10万にも1000円にもなる可能性があるということです。
株には普遍的な価値はないことを理解した上で投資することが大切だということですね。
②企業の倒産リスク
株式投資のリスク2つめは、企業の倒産リスクです。
保有している株を発行している会社の業績が悪化すると、株価は下がります。
さらに、会社が倒産してしまった場合、株価は下がるどころか価値がなくなってしまいます。
何十万、何百万で買ったものがただの紙切れになってしまうのです。
株には常に価値が0円になってしまう可能性があることをしっかり理解しておくことが大切です。
また、このような企業の倒産リスクを防ぐには今回ご紹介する分散投資ももちろん有効ですが、株式を購入する段階で短信決済などで倒産シグナルがないか確かめることが最も有効であると言えるでしょう。
③株式の流動性リスク
株式投資のリスク3つめは、株式の流動性リスクです。
流動性とは、株式の売買のしやすさです。
株式売買は売り注文と買い注文の需要と供給が一致することで初めて成立します。
ある銘柄を売りたい人が多くいても、買いたい人がいなければ売買が成り立ちません。この状態を流動性が低いと言います。
流動性が低い銘柄だと、売りたい値段よりも低い値段でしか売ることができません。これでは儲けることは難しいですよね。
流動性が高い銘柄を選んだ方が無難だということです。
流動性が高い…人気があり売買が盛ん
流動性が低い…任意がなく株を売るのが困難
ちなみに、流動性リスクには主に2つのパターンがあります。
1つめは、銘柄に人気がない場合です。
基本的に人気がなく流動性が低い銘柄も多く存在しています。そのような銘柄は、自分が売りたいと思ったときに他の投資家が安い値を提示して買いの意思を示している場合が多いです。その場合、提示された金額で売らなければなりません。
2つめは、銘柄の流動性が一時的に低くなる場合です。
例えば、ある会社の業績が悪化したというニュースが流れたとします。その次の日にその銘柄に売りが殺到した場合、売買が成立しないのに株価だけが下がっていく現象が生じます。
株式取引において流動性はとても重要なものなど覚えておいてください。
株価値下がりリスクには「分散投資」が効果的!
株式投資におけるリスクはご理解していただけたでしょうか。
では、このような株式投資で起こるリスクを低減させるためには、どうしたらよいのでしょうか。
答えは、今回ご紹介する「分散投資」をすることです。
特に「株価値下がりリスク」には「分散投資」が大変効果的だと言われています。
では、具体的に「分散投資」がどのようなものか、ご紹介していきます。
そもそも分散投資とは?リスク管理の基本
では、そもそも分散投資とはどのようなものなのでしょうか。
簡単にご説明すると以下のようになります。
分散投資…あえて一つのものに集中させず異なる性質のものに分散して投資すること
では、より詳しく解説していきます。
突然ですが、株式投資で最も大切なことは何だと思いますか?
多くの株式投資初心者の方が「儲けること」であると思うのではないでしょうか。
しかし、実は株式投資で最も大切なことは「損をしないこと」なのです。
先ほどご紹介した株式投資におけるリスクはどれだけ経験を重ねても完全になくすことはできません。
株式投資にリスクはつきものだからです。
しかし、リスクを把握し対策とることでリスクを軽減させることはできます。
リスクを軽減させる方法の基本が今回ご説明する「分散投資」です。
分散投資とは、その名の通り資産を様々な形で分散させることで、株式投資で起こりうるリスクを低減させる方法です。
例えば、100万円の資産を投資する場合、
① A銘柄:100万円
② A銘柄:40万円、B銘柄:30万円、C銘柄:30万円
では、②の方が資産分散できているため、株価が値下がりした際のリスクが低減されますよね。
一極集中投資はリターンが大きくなる可能性は高まりますが、その分失敗したときのリスクも大きくなることを絶対に忘れてはいけないのです。
では、具体的に何を分散投資すれば良いのでしょうか。
今回は、資産ではなく株式投資に絞ってお伝えしていきます。
株式投資において分散するものは、主に「時間」と「資産」の2つです。
それぞれ具体的にご説明していきます。
投資する対象を分散する「資産分散」
分散投資の方法1つめは、投資する対象を分散する「資産分散」です。
前提として、「資産三分割」という考え方をご紹介します。
資産三分割とは、全財産を「現金や預金」「不動産」「株などの有価証券」として三分の一に分けること、つまりバランスよく資産運用をするということです。
例えば、全財産を株式投資すべてにつぎ込んだ場合、うまくいけば大きな利益となりますが失敗したら全財産を失うことにもなりかねません。
1つに資産を集中させるのではなく、バランスを考えることが大切です。
そして、この資産三分割の考え方は株式投資をやるうえでも重要な考え方です。
株式投資をやる際に、1つの銘柄に全財産をつぎ込むのは大変危険です。
もし1つの銘柄の株価が予測とは反対に暴落してしまった場合、大きな損失を被ることになります。
複数の銘柄に投資していれば、もし1つの銘柄で損失を出してしまっても、他の銘柄で損失分をカバーすることができるようになります。
自身の資産をすべて失わないためにも、複数の銘柄を買うことでリスクを分散させるようにしましょう。
では、どのような組み合わせで分散投資すればいいのでしょうか。
以下に例を挙げたので参考にしてください。
- 同業種ではなく他業種に分ける
- 円高に強い内需関連株・円安に強い輸出関連株といった逆の動きをしがちな銘柄を買う
- 業績が安定している優良株・成長が期待できる新興市場株に分けて買う
このように、どちらかの株価が下がってしまっても、もう片方で損失をカバーできるような組合せにするとよいでしょう。
投資する時間を分散する「時間分散」
分散投資の方法2つめは、投資する時間を分散する「時間分散」です。
つまり、1つの銘柄に対し、一度に買うのではなく複数回に分けて買う方法です。
株価は常に一定ではなく毎秒ごとに変化し続けています。
つまり、先ほどご紹介した株価が買ったときよりも値下がりしてしまう「株価値下がりリスク」が常に潜んでいるのです。
そこで、1つの銘柄を複数回に分けて買うことで、株価値下がりリスクを軽減させるのです。
この投資方法を「ドル・コスト平均法」といいます。
ドル・コスト平均法…株式投資などの際に、定期的に一定金額分を買っていく方法。一定金額分を買うことにより、高値のときは少ししか買わず、安値のときに多く買うことができる
例えば、4か月間で1200円→1000円→1450円→700円と値動きをした銘柄を毎月1万円ずつ買ったとします。
各月に買える株は10株・12株・8株・20株で、1株あたり円で買ったことになりますよね。
このドル・コスト平均法を使うと、何がメリットになるのでしょうか。
答えは、株価が高い時にたくさんの株を買うことがなくなることです。
例えば、今回の例でいえば、株価が1450円で手持ち資金の多くを使ってしまうことはありませんよね。
特に初心者の方はどのタイミングでどれだけの株を買えばいいか分からない方が大半ではないでしょうか。
ドル・コスト平均法で投資すれば、大きな損失のリスクを回避することができるのです。
初心者の方にはうってつけの投資方法ではないでしょうか。
ちなみに、このドル・コスト平均法が最も効果を発揮するのは横ばいトレンドのときです。
株を株価上昇時には少なく下落時に多く買うことで、平均単価を下げつつトレンドの転換を待つことができのです!
ぜひ試してみてください!
初心者は特に気をつけて!分散投資の注意点
ここまで、株式投資のリスクや分散投資の方法をご紹介してきました。
では、ここからは実際に分散投資をする際に気をつけてほしい注意点を3つご紹介します。
ぜひ参考にして正しい分散投資を行ってください。
同業種銘柄に分散投資するのはNG
分散投資の注意点1つめは、同業種銘柄に分散投資をしないことです。
例えば、ANAとJALは同じ航空業界ですよね。同じ業界ということは、株価の変動の傾向も同じだということです。
つまり、ANAとJALに分散投資していても、株価が下がる時が一緒なため、分散投資している意味がなくなってしまうのです。
個人投資家がリスクを分散させるには、関連性の薄い違う業種の銘柄を選ぶようにしましょう。
例えば、先ほどご紹介したような内需株と外需株、円安に強い銘柄と円高に強い銘柄などです。
分散投資をするときは価格変動率に注意
分散投資の注意点2つめは、分散投資をするときは価格変動率に注意することです。
銘柄によって価格変動率は全く異なります。
例えば、新興株では毎日のように5%前後動く銘柄が多く存在しますし、反対に大型株は1%動くかどうかという銘柄が多いです。
つまり、新興株と大型株に同じ金額を投資しても、値動きの大きな新興株に依存してしまうため、リスク分散はできていないのです。
分散投資をする際には、価格変動率に注意して投資資金の配分を考えるようにしましょう。
自分の投資スタイルに合った分散投資をすることが大切
特に初心者の方に多いのですが、「とりあえず多くの銘柄に分散投資しよう」という考え方は非常に危険です。
まず、自分はどの程度の期間でどのくらい資産を増やしたいのか、その上でどの会社に投資するのがよいのか、しっかりと会社のことを調べて投資するようにしましょう。
分散投資だからといって、リサーチをおろそかにしていいわけではありません。
むしろ、分散投資だからこそ、財務状況や業績をしっかりチェックして投資判断をするようにしましょう。
「分散投資」はリスク管理の基本!上手に活用して損失を防ごう
いかがでしたでしょうか。
株式投資にともなうリスクと、対策としての分散投資がどのようなものか、ご理解していただけたのではないでしょうか。
分散投資は正しく行えば、高確率で株価値下がりリスクを防ぐことができる有効な方法です。
株式投資で大切なことは、「損をしないこと」です。
上手に分散投資して損失を防ぎましょう。