成行注文とは、株の売買を行うときに、値段を指定せずに発注する注文方法の事です。
ここでは、成行注文と指値注文の違いや、成行注文でのおすすめの注文タイミング、成行注文のメリットについてわかりやすく解説していきます。
成行注文とは?
成行…株式投資において売買を行うときに値段を指定せずに注文すること。
では、「成行注文」とはどのようなものなのか、丁寧に解説していきます。
成行注文とは、株式投資で売買を行うときに値段を指定しない注文方法です。
つまり、売買が成立した際の値段は、成立した取引相手によって決まるのです。
どういうことかと言いますと、成行売り注文をした場合は、一番高く買い注文していた人と売買が成立し、成行買い注文をした場合は一番安く売り注文していた人と売買が成立するのです。
つまり、成行注文をした側が有利になる価格で売買がされるということです。
株式投資の注文方法は2種類
株式年投資における注文方法は今回ご紹介する「成行注文」と「指値注文」の2種類があります。
指値注文…「株価がいくらになったら買う」と指定して注文する
成行注文…「いくらでもいいから買いたい」と注文する。かなり高い確率で買える反面、思わぬ高値で取引が成立してしまう場合もあるため注意が必要
株は「安く買って高く売る」ことが何よりも大切です。
その点、成行注文は自分で価格を指定できないため、自分にとって不利な価格で取引が成立してしまう場合があります。
そのため、確実に自分が指定した値段で買える指値注文が一般的ですし、高値で買ってしまう心配もないため初心者の方におすすめです。
しかし、指値注文の場合、売り注文に対し買い注文が多い場合は、取引が成立しないことがあるため注意してください。
成行注文と指値注文の違い
では、「成行注文」と「指値注文」は何が違うのでしょうか。
最も大きな違いは「約定の優先順位」です。
そもそも「約定」とは何か皆さんご存じですか?
約定…株式市場において売買が成立すること
株は証券取引所において株主どうしで売買が成立します。
つまり、買いたい人と売りたい人が価格と数量を出し合い、それぞれ折り合いがついたところで売買が成立するのです。
この売買が成立することを「約定」といい、どれだけ売買注文を出したとしても約定しなければ、株を買うことも売ることもできないのです。
もちろん、「指値注文」だろうが「成行注文」だろうが、約定しなければ意味をなしません。
約定する優先順位としては「成行注文>指値注文」なため、成行注文のほうが約定できる可能性は高くなります。
先に指値注文が入っていたとしても、成行注文が入っていればそちらが優先されるためです。
つまり、成行注文は値段を指定できない代わりに、ほぼ100%の確立で約定することができるのです。
以下約定の優先順位を表にまとめたので、ぜひご覧ください。
- 成行注文
- 指値注文(指値の注文価格が高い)
- 指値注文(指値の注文価格が高い/注文が早い)
- 指値注文(指値の注文価格が高い/注文が遅い)
成行注文のメリット
成行注文がどのようなものか、イメージしていただけたでしょうか。
ではここからは「成行注文」のメリットをご紹介していきます。
成行注文は一般的にあまり使われない投資方法です。
なぜ一般的ではないのか、またメリットは何か理解することで投資手法の幅が広がります。
ぜひ参考にしてください。
取引が成立しやすい
成行注文のメリットは、「取引が成立しやすい」ことです。
先ほどもご説明しましたが、約定の優先順位は指値注文より成行注文のほうが高いです。
そのため、成行注文を出せば売り注文も買い注文もほぼ100%の確立で取引が成立します。
とりあえず何円でもいいから早く株を売りたい時や買いたい時におすすめです。
成行注文のデメリット
成行注文のデメリットについても紹介していきます。
予想外の価格で約定する可能性がある
成行注文のデメリットは、予想以上の高値や安値で取引が成立してしまう可能性があることです。
株式市場は常に予想通り動くとは限りません。
相場が大きく変動してしまった場合、思わぬ高値で買い注文が成立したり、思わぬ安値で売り注文が成立してしまう可能性があります。
まだ経験や知識が浅い初心者のうちは、自分の希望価格で取引を行うことができる指値注文がおすすめです。
成行注文は損切りする時に使う
先ほど、成行注文と指値注文では「指値注文のほうが一般的である」とお伝えしました。
では、具体的にどんなときに「成行注文」をするのでしょうか。
答えは、「損切りをする時」です。詳しくご説明していきます。
損切りとは
そもそも損切りとは何か、皆さんご存じですか?
損切り…保有している銘柄に見切りをつけ損失を確定させて売ること
損切りとは、自身が保有している銘柄の株価が買ったときより下がってしまった場合に、損失を確定させて株を売ることです。
つまり、投資をする前にあらかじめ、「株価が〇円まで下がってしまったら、売って損失確定をする」とルールを決めて実行するのです。
株価は常に予想通り動くとは限りません。
大きな損失を防ぐために初心者の個人投資家の方は特に必ずやった方が良い投資手法です。
損切りの目的
では、損切りはなぜ行う必要があるのでしょうか。
「自ら損失を確定させるなんてもったいないのでは?」と思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、「もったいない」「もう少し待てば株価が上がるかも」という「感情」こそ、株式投資で失敗する原因です。
株式投資で大切なことは「稼ぐこと」よりも「損をしないこと」を第一に考えて取引をすることなのです。
つまり、状況を客観的に判断して冷静に行動することが大切になります。
株価が全く予測していなかった方向に動くことは頻繁にあります。その際に、慌ててしまい感情で判断してしまうと、より損失が大きくなってしまいます。
そこで、損切りのルールをあらかじめ決め必ず実行することで、一時の感情に流されることなく株式投資に取り組むことができるのです。
1銘柄で損失を出しても保有株全体で利益は出ればよいという気持ちで取り組むようにしましょう。
損切りで成行注文を使う理由
損切りがどのようなものか、ご理解していただけましたか?
では、なぜ損切りをする際には「成行注文」がよいのでしょうか。
答えは、損切りの際に大切なことは「とにかく売る」ことだからです。
損切りは、先ほどご説明したように損失をできる限り小さくするための手法です。
そのため、損失が大きくなる前に少しでも早く「売る」ことが大切になってきます。
例えば、500円で買った株が450円まで下がって損切りの対象となったとき、「もう少し待って戻ったら売ろう」と考えて、480円の指値売り注文を出すことは得策ではありません。
なぜなら、480円まで株価が戻らずに、400円、300円…と株価がさらに下がってしまう可能性も十分にあるからです。
損切りを実行する場合は、必ず成行の売り注文を出すようにしましょう。
口座開設から注文までの流れ
成行注文がどのようなものか、だいたいイメージしていただけたのではないでしょうか。
しかし、実際株式投資のどの段階で買い注文や売り注文をするのか、気になりませんか?
こここからは、初心者の方でも簡単に始められるよう、株式投資の始め方を4つの段階に分けてご説明していきます。
今からご紹介する4つの段階通りに進めれば、簡単に始められますよ。
投資スタイルに合う証券会社を選ぶ
まずは、大前提として自分の投資スタイルを決めましょう。
株を買うには、まず証券会社を選び口座を開設しなければなりません。
現在数多くの証券会社がありますが、どの証券会社でもいいというわけではなく、自分の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが重要です。
対面取引とネット取引を徹底比較
株式投資には、対面取引とネット取引の2つの方法があります。
以下2つの違いを徹底比較します。
対面取引 | ネット取引 | |
---|---|---|
取引方法 | 電話で証券会社の担当者に注文する | WEB上の取引画面から注文する |
メリット | 担当者からアドバイスがもらえる | 売買にかかる手数料が安い |
デメリット | 手数料が高い | アドバイスはもらえない |
ネット取引のほうが気軽に安く始められるため、ネット取引が一般的となっています。
特色が異なる証券会社から自分にピッタリなところを探そう
証券会社には、それぞれ様々な特色があります。
手数料や情報提供サービス、取り扱う金融商品も証券会社によって全く異なります。
自分の投資スタイルと掛け合わせ、どのようなサービスを受けたいのか、株以外の金融商品で買いたいものは何か、を整理し最適な証券会社を選びましょう。
証券会社を選ぶ際のポイントは以下の4つです!
- 手数料
- 情報の充実度
- 取り扱い商品
- 経営の安全性
特に証券会社によって差がでるのは「手数料」です。
初心者の方は「20万~50万の株を1回買ったときに、いくらかかるのか」を基準に考えるとよいですよ。
ネットで口座を開設する
自分に合っている証券会社を選べたら、2段階目です!
いよいよ口座を開設してみましょう。
口座の開設には、電話での申し込みとサイトでの申し込みの2つの方法があります。
どちらも説明に沿って手続きをすれば、2週間で確実に申し込みを完了できます。
審査もなくとても簡単です!
ここで、税金の手続きの際に大変重要となる口座の種類についてご紹介します。
株式投資で年間20万円以上の利益を上げると、税金がかかり確定申告が必要となります。
しかし、口座を開設する際に特定口座(源泉徴収あり)を選べば、確定申告が不要となるのです!
株式投資に利用できる口座は主に以下の3種類あります。
特定口座(源泉徴収あり)…証券会社が1年分の株取引をまとめた書類(年間取引報告書)を作成してくれる。確定申告不要
特定口座(源泉徴収なし)…証券会社が1年分の株取引をまとめた書類(年間取引報告書)を作成してくれる。確定申告は必要
一般口座…年間取引報告書を自分で作成し、確定申告もしなければならない
このように見ると、特定口座(源泉徴収あり)が一番楽だとわかりますね。
しかし、1点注意していただきたいことがあります。
株式投資での利益が年間20万円以下の場合です。
年間の利益が20万円以下の場合税金が免除されるため、源泉徴収ありの口座を選ぶと税金が自動的に引かれてしまい損をする場合があるのです。
確定申告は年末締めで行われるため、株式投資を特定口座で始めたいなら、年始に始め、確実に20万円以上の利益が出せるようにすることをおすすめします。
買い注文をする
口座を開設できたら株を買ってみましょう。
買い注文には今回ご紹介している「指値注文」と「成行注文」の2通りあります。
もう一度まとめておきます。
- 指値注文…「株価がいくらになったら買う」と指定して注文する
- 成行注文…「いくらでもいいから買いたい」と注文する。かなり高い確率で買える反面、思わぬ高値で取引が成立してしまう場合もあるため注意が必要
株は「安く買って高く売る」ことが何よりも大切です。
そのため、確実に自分が指定した値段で買える指値注文が一般的ですし、初心者の方におすすめです。
しかし、指値注文の場合、売り注文に対し買い注文が多い場合は、取引が成立しないことがあるため注意してください。
売り注文をする
今度は、株を売ってみましょう。売り注文も買い注文と基本的には同じです。
ネット取引なら取引画面で「売りたい銘柄」「株数」を指定します。
株式投資では証券会社に手数料を支払わなければなりません。利益確定の際は手数料も計算に入れておきましょう。
また、売るときに大切なのが、「損切り」をすることです。
損切り…損が出ている株に見切りをつけて売ること
損切りを行う際には、必ず成行注文で行いましょう。
株式投資の注文可能な時間
株の売り方と買い方はご理解していただけたかと思いますが、実際にどの時間に取引ができるかご存知ですか?
日本で最も大きな東京証券取引所で取引できる時間は、毎週月曜日~金曜日までの午前9時~11時半、午後0時半~3時です。
つまり、証券会社への注文はこの時間以外にもできますが、取引が成立するのはこの時間内に限られるのです。
また、対面取引では注文を受けてくれる時間が限られますが、ネット取引なら24時間休日でも注文を受けてくれる証券会社もあります。
自分が取引できる時間に注文を受けてくれるかをあらかじめ確認するようにしましょう。
株式投資のポイント
- 自分の投資スタイルに合わせて証券会社を選ぶ
- ネットで口座を開設する。特定口座(源泉徴収あり)は確定申告が不要なのでおすすめ!
- 買い注文をする。おすすめは指値注文!
- 売り注文をする。損切するラインを決めて守ることが大切
「成行」のポイント
- 成行注文とは、株式投資の売買において価格を指定せずに注文すること
- 成行注文は、ほぼ100%の確立で約定できるが思わぬ高値や安値で約定してしまう可能性があるため注意
- 損切りをするときは成行注文でする
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