株式投資において、最も勝敗を左右すると言っても過言ではない銘柄選び。
値上がり益で稼ぐには、今後株価が上がる銘柄を見つけることが何よりも大切です。
そこで重要となるのが、今回ご紹介する「PER」という指標です。
今回は、株式投資において重要な指標であるPERについて、初心者にもわかりやすくご説明していきます!
また、PERの他に銘柄選びの際に重要となる指標ついてもご紹介していきます。
株式投資初心者の方必見です!
PERを初心者にもわかりやすく解説
では、PERとはどのようなものなのでしょうか?
「いきなりアルファベットでいわれてもわけわからん!」と思いますよね(笑)
安心してください。筆者も最初は全く分かりませんでした。
今回は株式投資初心者の方でも簡単に理解できるよう、分かりやすくご説明していきます。
PERとは株の割安さを測る指標
では、PERとはどのようなものなのでしょうか。
PER…株価収益率。「株価が1株あたりの利益の何倍か」ということ。つまり、その株の割安度を利益から判断するもの。PERが低いほど企業が生み出す利益に対して株価が割安。
簡潔に説明すると上記のようになりますが、正直よく分からない方が大半なのではないでしょうか。
詳しく解説していきます。
PERとは、株の「割安さ」を測る指標です。
どのように測るかと言いますと、企業全体の利益から現在の株価が適切かを判断するのです。
株式投資ではPERが重要な理由
では、なぜ株式投資においてPERが重要なのでしょうか。
答えは、株式投資で稼ぐための基本が「価値がある銘柄をとても割安で買う」ことだからです。
世界の富豪ランキングで、ビル・ゲイツと並ぶウォーレン・バフェットという人がいます。
彼は1代で5兆円以上の資産を築いた投資家なのですが、株で成功するために最も大切なこととして次の言葉を述べています。
「1ドル札を50セントで買うように、株を買うこと」
日本円で言えば「1000円を500円で買うように、株を買うこと」ということです。
つまり、1000円の価値はある株が500円になったときに買う「割安さ」を重視することが、株式投資で成功するために最も大切なことだということです。
株の割安さが分かる「PER」は、株式投資で成功するために大変重要だとお分かりいただけるのではないでしょうか。
PERの計算式
具体的な求め方は以下のようになります。
PER=株価÷1利益(税引き後利益を発行済み株式数で割ったもの)
つまり、PERとは今の株価が1株益の何倍なのかを求めているのです。
PERを求めることで、
「こんなに利益を上げているのに今の株価は安い」
「この程度の利益でこの株価は高すぎ」
という風に現在の株価が適切であるかを判断することができるのです。
例えば、以下のように2つの銘柄があったとします。
A社:株価700円、1株50円
B社:株価1000円、1株50円
この場合、どちらの銘柄がお得か分かりますか?
ここで、PERを計算してみましょう。
A社:700円÷50円=14
B社:1000円÷50円=20
つまり、A社の現在の株価は1株益の14倍、B社の現在の株価は1株益の20倍ということです。
利益の14倍の値段で買うのと20倍の値段で買うのでは14倍のほうが割安ですよね。
つまり、PERが低いほど「割安」な銘柄だということです!
PERの目安
先程、PERが低いほど割安な銘柄であるとお伝えしました。
では、実際どのラインを基準にPERが「高い」「低い」と判断しているのでしょうか。
結論から申し上げますと、PERの標準は約15倍です。
ただし、株価は毎秒変動しているためそれに伴いPERも変動しています。
そのため、常にPERが15倍ということではなく、10倍から20倍程度の水準を推移しています。
日本の経済市場によって多少は異なってきますが、標準として15倍程度だと覚えておけば問題ないでしょう。
PERの見方
PERがどのようなものかご理解していただけたのではないでしょうか。
では、ここからは中級編です。PERについて、より詳しく掘り下げていきましょう。
今からご紹介することを頭に入れておけば、実践する際に大変役立ちます。
全く難しくないので、初心者の方もぜひ参考にしてみてください。
PERが高くなるタイミング
PERは低いほど割安であるとお伝えしていますよね。
では、実際にPERはどんな時に高くなるかご存知ですか?
PERは、「将来利益が伸びそう」と投資家に期待されている企業の株にプレミアがつけられることで高くなります。
難しく考える必要はなく、投資家の気持ちになれば簡単に論理が分かります。
例えば、あなたが保有している株の企業の業績が今後どんどん伸びそうだとしたら、あなたはその株を通常の値段で売りたくないですよね。
反対に、あなたがその企業の株を持っていないとしたら、「少しくらい高い値段でもいいから買いたい」と思いませんか?
つまり、多少株価が上がっても需要と供給が一致するのです。
そのため、投資家たちはPER15倍を基準とし将来性を考えてプレミアをつけることで、より稼いでいるのです。
もし「利益は伸びそうなのにPERは低い」という銘柄を見つけたとしたら、それこそがお買い得な銘柄です!ぜひ買ってみてください。
重要なのは「実績PER」より「予想PER」
ここで、PERについて注意してほしいことを1点お伝えします。
それは、「実績PER」と「予想PER」について把握しておくことです。
実績PER…前期の実績によって計算したPERのこと
予想PER…業績予想から計算したPERのことで、今期予想に基づくPERのこと
つまり、簡単に言ってしまえば、実績PERは過去で予想PERは未来のものであるということです。
このうち、株式投資において銘柄を選ぶ際に重要となってくるのは「予想PER」です。
株を買うときに大切なのは、終わってしまった過去のことよりも今後どうなるかという未来ですよね。
銘柄を選ぶ際に、様々な媒体でPERをチェックすることになるかと思いますが、実績PERはあまり当てになりません。
PERを見るときは実績PERではなく「予想PER」を見るようにしましょう。
成長率の求め方
PERが高いのは投資家たちからの期待値が高いということであるとお伝えしました。
では、具体的にその株が成長するのか=成長率はどのように求めれば良いのでしょうか?
成長率が高い株を見抜いて投資することができれば、買った銘柄の株価が上がりその差額分で利益を得ることができるため、成長率はPERと同様大変重要です。
成長率を求めるポイントは主に以下の3つです。
- あくまでも「今後」の成長率を考えること
- 成長率は営業利益や経営利益で考えること
- 慎重に見積もること
まず、成長率を求めるポイント1つめは、あくまでも「今後」の成長率を考えることです。
たとえ今成長率が高くても、今後も続くとは限りません。
例えば会社自体の規模が大きくなれば、今までのような経営は困難になりますよね。
なぜなら、小規模だったからこそできていたこともあるからです。
今後どうなるかをしっかり予測しましょう。
成長率を求めるポイント2つめは、営業利益や経営利益で考えることです。
なぜなら、純利益や1株益だと一時的な要因が入ってしまい、本来の利益がわからないためです。
会社の利益を見る際には、「営業利益」や「経営利益」を見ることを覚えておくようにしてください。
最後に、成長率を求めるポイント3つめは、慎重に見積もることです。
たとえ成長率が高い会社があったとしても、すぐに飛びつくのは危険です。
なぜなら、成長率が高いほど持続するのは難しいからです。
1つめと2つめのポイントを踏まえて、あくまでも慎重に見積もるようにしましょう。
PER・PBR・ROEの違い
ここまで、PERがどのようなものかをご紹介してきました。
しかし、実際に株式の銘柄を選ぶ際にPERだけを見て投資判断を下すのは大変危険です。
PERは確かに有能な指標ですが、万能ではありません。
投資判断を下す場合には様々な観点から本当にその銘柄に投資しても良いかを判断する必要があります。
そこで、ここからは銘柄を選ぶ際にとても大切な3つの指標について、解説していきます。
銘柄を選ぶときは以下の3つの指標を必ずチェックするようにしましょう。
- PER
- PBR
- ROE
では、詳しく解説していきます。
PBRとPERは割安さの求め方が違う
では、3つの指標のうちPBRとはどのようなものか、ご説明していきます。
PBR…株の割安さを測る指標。会社の資産から見て現在の株価が割安かどうかを判断できる。求める計算式は「株価÷1株純資産」
つまり、PBRとは、PERと同様に株の割安さを測る指標です。
では、PERとは何が異なるのでしょうか。
答えは、株の割安さの求め方です。
PERは企業の利益から株の割安さを求めるのに対して、PBRは会社が持っている財産(純資産)から株価が割安かどうかを判断します。
つまり、株価を1株あたりの純資産で割って求められ、仮に会社が解散した場合の株主の取り分が分かるのです。
今の株価が1株純資産の何倍になっているかを見ることができます。
そのため、求め方の式は「株価÷1株純資産」となります。
では、ここで「純資産」「1株純資産」について詳しく解説していきます。
- 純資産…会社の総資産から負債を引いた金額のこと。株主が最初に出資したお金に会社が稼いだ利益を加えたものでもあるため、純資産は株主から預かっている資産であると言える
- 1株純資産…純資産を1株あたりに割り振った、株主に属する1株あたりの資産金額。1株純資産は会社が解散した場合に株主に配分される資産でもあるため、「解散価値」とも呼ばれる。
ちなみに、1株純資産は帳簿に記載されている資産から算出した金額ですが、業績をしっかりと出している会社の場合にはブランド力や技術といった帳簿に載っていない企業価値も加えられています。
つまり、通常の企業ならば企業価値は純資産以上になるはずであり、株価は1株純資産以上=PBR1倍以上になるはずなのです。
このPBR1倍を「下値のめど」として投資に役立てることもできます。
例えば、業績が安定的に良い優良銘柄のPBRが1倍近くまで下がる場合、これ以上株価が下がることのない「底値」と考えることができるため、株を買うチャンスだと捉えることができるのです。
ROEは企業の経営効率の指標
では、3つの指標のうち、もう一つの指標である「ROE」について詳しくご説明していきます。
ROE…株主資本利益率。企業の収益性を測る指標。求め方は「税引き後の利益(当期純利益)÷株主資本」
つまり、他の2つの指標は「株の割安さ」が分かるのに対し、ROEは株主の持ち分である株主資本に対して、どの程度の利益が上がっているかを示す指標です。
よりかみ砕いて言えば、ROEは企業の経営効率がよいかが分かります。
つまりROEが高いほど、企業の資本を効率よく使って利益を上げるための上手な経営が行われていることを示しているのです。
反対に、ROEが低ければ、その企業は資金効率が悪い下手な経営を行っていることが分かります。
PER・PBR・ROEの使い方
PER・PBR・ROEの3つの指標がどのようなものか、ご理解していただけたのではないでしょうか。
実際に投資する銘柄を選ぶ際には、今回ご紹介した「PBR・PER・ROE」の3つの指標を組み合わせて判断しましょう。
株価水準を測る指標は多くあるのですが、今回ご紹介した3つの指標は最も代表的な指標です。
初心者の方はこの3つさえチェックしておけば問題ないでしょう。
最も大切なことは、多くお指標をチェックすることではなく、PBR・PER・ROEの3つの指標を多くの角度から上手く組み合わせてチェックすることです。
では、今回ご紹介した3つの指標はどこでチェックすることができるのでしょうか。
3つの指標をチェックすることができる媒体は、「会社四季報」などの投資情報誌や各証券会社のサイトです。
また、「Yahoo!ファイナンス」では「低PER」「高PER」といったランキングで検索することが可能です。
ぜひ活用しましょう。
スクリーニング機能で銘柄を簡単に絞り込める
投資する銘柄を選ぶ際には「PBR・PER・ROE」を上手く組み合わせて様々な角度からチェックすることが大切だとお伝えしました。
「でも実際にどうやってチェックするの?」と疑問に思われている方が大半ではないでしょうか。
そこで、ここからは実際に銘柄を選ぶ際に大変便利なスクリーニング機能について、詳しくご説明していきます!
先程も申し上げましたが、PERなどの指標はYahoo!ファイナンスや各証券会社のサイトなどネット上で調べることができます。
しかし、これら機能だけでは複数の指標から銘柄を見ることはできません。
そこで有効なのが「スクリーニング機能」です。
具体的にスクリーニング機能とはどのようなことができるのかご説明していきます。
スクリーニング機能を利用すると、複数の指標で条件に合った銘柄を選びだすことができます。
例えば、「PER15倍以下」「PBR1倍以上」といった条件を入力して検索すると、これらの条件を満たした銘柄の一覧を見ることができるのです。
指定できる条件は証券会社によって異なりますが、多くの証券会社で「PER・PBR・時価総額・業績予想変化率」といった条件を検索することができます。
スクリーニング機能は、多くの証券買会社に備わっているので、活用しない手はありません。
PERのポイント
- PERとは、株の割安さを測る指標
- PERは低いほど割安、高いのは投資家の期待値が高いということ
- 投資する銘柄を選ぶときは「PER・PBR・ROE」の3つの指標をチェックすることが必須