新型コロナウイルスの蔓延により、世界規模で混乱になりました。
世界中の経済が甚大なダメージを受けており、日本でも飲食業界や観光業界は甚大な影響を受けています。
コロナショックで各国が深刻な状況の中、GDPにはどのような変化があったのか、ランキングをご紹介するとともに、これまでの成長率や傾向についても着目します。
GDPのランキングが高い国の共通点は人口の多さと、産業の強みです。
GDPの全体のランキングだけでなく、一人あたりのGDPのランキングについても着目することで、高ランクの原因についてまとめました。
今後の経済がどのように回復していくのか、見通しまで詳しく解説しましょう。
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GDPとは国の豊かさを示す指標
GDPとは「国内総生産」のことで、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスのことです。
国がどれくらい豊かであるかをあらわす指標として用いられます。
GDPが前年同期や前期と比較して、どのくらい変動しかのかを確認することで、国の経済状況や景気変動をはかる手がかりになります。
GDPの注意点は、日本の企業が国外生産した付加価値や、海外での消費金額が含まれず、外国人が日本で消費した金額はGDPに含まれています。
日本では内閣府が集計しており、四半期に分けて速報値や改定値を公表しています。
世界のGDPトップ10
世界のGDPトップ10を表にまとめました。
2022年度としてのGDPはまだでないため、2021年度のGDPについて解説しましょう。
順位 | 国名 | 単位:US |
---|---|---|
1 | アメリカ | 22,995,075 |
2 | 中国 | 17,744,640 |
3 | 日本 | 4,932,556 |
4 | ドイツ | 4,262,767 |
5 | イギリス | 3,187,626 |
6 | インド | 3,176,296 |
7 | フランス | 2,957,425 |
8 | イタリア | 2,101,275 |
9 | カナダ | 1,988,336 |
10 | 韓国 | 1,810,966 |
引用:GLOBAL NOTE
2021年度の結果としては、1位がアメリカ、2位が中国、3位が日本という順位でした。
人口が多いということもありますが、人口だけではトップを狙うのは難しいでしょう。
アメリカ、中国、日本がトップ3に位置づけた理由を掘り下げてご紹介します。
【1位】アメリカ
アメリカは優秀な移民を受け入れ、労働効率がいいため生産性が高いことが背景としてあります。
もちろん人口が多いため、総数としてGDPが高くなるのはありますが、他にもVC投資家やエンジェル投資家が多いことで、アメリカが斬新なビジネスをもつ力にもなっています。
世界から資本を集められる力が強く、証券取引所の株価も上がりやすく、利回りも期待できる強い金融環境があることがアメリカの強みです。
アメリカは過去に金融大国を目指した結果、リーマンショックが起きましたが、現物のものとして、深海・宇宙開発など新規事業にも力を入れていることがポイントです。
金融系が強いアメリカだからこそ資本を集められ、新規の事業を立ち上げることができ、優秀な移民も多いため最先端の技術を身につけることができるのでGDPも高くなるのです。
【2位】中国
中国製の商品を日本で目にしますが、日本だけでなく世界中で中国が作ったものが輸出されています。
中国は人口が多いため、比較的人件費が安いことで知られています。
輸出による収益が成長であり、中国に工場を作ることで海外から部品を輸入し、組み立てる加工貿易が強いです。
製品を海外から輸入して中国内で売ろうとしても高い税金がかかりますが、加工貿易の場合は、原材料や部品の輸入になるため、税金が安く済みます。
人口が多いため若い労働者も多く、人件費も少ない、自分たちで作って輸出するという流れが中国を成長させています。
【3位】日本
日本のGDPの内訳を確認すると、評価される指標で「個人消費」が多いことがわかります。
海外に比べて消費税が比較的安いことが消費につながっています。
一方で、評価指標のひとつの「貿易収支」では東日本大震災をきっかけに、低迷を続けており震災前に比べて大きく減少しています。
貿易で黒字にしてきたイメージが強い日本ですが、近年では「投資立国」の風潮もあり、投資収益や配当、利息で得られる「金融収支」の方が貿易収支よりも多くなっているのが昨今の日本の特徴です。
一人あたりのGDPトップ10
次に一人あたりの世界のGDPトップ10を表にまとめました。
こちらも2021年度のGDPについて解説します。
順位 | 国名 | 単位:US |
---|---|---|
1 | ルクセンブルク | 136,701 |
2 | アイルランド | 100,129 |
3 | スイス | 92,249 |
4 | ノルウェー | 89,042 |
5 | シンガポール | 72,795 |
6 | アイスランド | 69,422 |
7 | アメリカ | 69,277 |
8 | カタール | 68,622 |
9 | デンマーク | 68,202 |
10 | オーストラリア | 63,464 |
引用:GLOBAL NOTE
2021年度の結果としては、1位がルクセンブルク、2位がアイルランド、3位がスイスという順位でした。
GDPトップ3に君臨した国々が一人あたりのGDPになると大きくランキングを変えています。
ルクセンブルク、アイルランド、スイスがトップ3に位置づけた理由を掘り下げてご紹介します。
【1位】ルクセンブルク
ルクセンブルクは神奈川県ほどの国の面積で、人口も神奈川県の10分の1程度の国です。
労働人口の5分の1が金融関連の企業に務めており、「税優遇措置」や「預金者の秘密保持規定」といった方の整備が整っています。
世界中の金融機関がルクセンブルクに進出したことで金融業に特化した生産性の高い国へと成長しました。
【2位】スイス
スイスは社会保証が充実しており、労働環境の良さから失業率が低く、女性の就業率が高いことで有名です。
労働市場は、クレディ・スイスなど有名な金融業をはじめ、保険業やIT業が強いことがポイントです。
国民の生活の満足度の高さから、ストライキもヨーロッパ諸国に比べて少なく、労働環境が充実していることがわかります。
教育が充実していることも魅力で世界大学ランキングでは、アインシュタインが通ったともいわれる、スイス連邦工科大学チューリッヒ校が6位にランクイン(東京大学は22位)するなど教育環境がいいため、労働生産性につながっています。
【3位】アイルランド
もともとアイルランドは生活水準がヨーロッパ諸国の中でも最低クラスで、失業率も高かったことからヨーロッパの病人と呼ばれるほどでした。
生活水準の低いアイルランドでしたが、1995年を境に急成長して時間あたりの労働生産性ではアメリカの水準を上回っています。
成長の背景として大きいのが、外資に対しての環境体制が整ったことです。
アイルランドは英語を話すため、言語の壁がないこと加え、法人税がヨーロッパ諸国の中でも低いことから外国の企業が参入しやすいため成長を遂げました。
アイルランドは出生率が高いので若い年齢層が多く、労働の生産性も高いので自然とGDPが高くなります。
人材教育も豊富であることから、若手が専門的な知識を身につけ、個人として高い労働力が備わっていることがポイントでしょう。
今後のGDPの見通し
2021年度分でGDPトップに算出された国々にはそれぞれ強みがありましたが、コロナショックも確実に受けています。
2022年度以降のGDPを考えると、コロナの影響からはやく立ち直ることが必要です。
中でも目覚ましい成長を遂げているのは、インフラなどの整備が整っていない国々です。
コロナ前からの成長率が高い国と傾向も合わせて分析しましょう。
これまでのGDPの成長率と傾向
GDPを見る際には、大きさも重要ではありますが、成長率にも着目する必要があります。
着目したいのが、中国やインド、ASEAN諸国であり、人口増加に拍車がかかって若い世代の活躍が期待できるからです。
実際に、中国やインドのGDPは飛躍し続けており、今後も成長していく見込みです。
先進国で成長している国は、アメリカくらいで、他の先進国は新型コロナウイルスの影響で低迷を続けています。
中国、インド、ASEAN諸国も株価や為替は暴落したものの、他国に比べて急速な回復を遂げており、コロナショックが明けてからはさらに存在感が増すは間違いないでしょう。
コロナウイルスによる景気後退と経済回復
コロナショックにより世界経済は混乱に陥りましたが、一刻も早く経済を回復させることが大切です。
国際貿易や観光、一次産業の輸出に対して依存が強い国は、今後も経済回復の困難を極めることが予想されます。
世界的にも若年層や低技術労働者が大きな影響を受けており、機会が自動化しやすい分野での解雇者が加速しています。
人口が多い中国やインド、ASEAN諸国はコロナ流行や収束の困難がありますが、国としてインフラ関係など整備が充実しきっていない国が多いので、コロナショック下でも急激な回復が見込まれています。
日本は2022年度GDP成長率は昨年比プラスに
内閣府が発表する日本実質GDP成長率の見通しは、22年度が+1.7%、23年度が+1.0%となっています。
2021年度のGDPではコロナショックにより伸び率がマイナス4.6%となり、リーマンショック超えの下落となっていましたが、コロナショックから徐々に回復していることからプラスに転じています。
しかし、今後は食品価格の上昇などにより伸びは緩やかになると予想されています。
物価の上昇に賃金の上昇が追いつかず、個人の購買欲が落ちてしまいGDPの成長を抑制してしまう恐れがあるのです。
GDPはコロナショックをどう乗り越えられるかが鍵
GDPは全体で見るか、一人あたりのGDPで見るかで見解が変わりますが、いずれの場合もコロナウイルスにより大きく影響しています。
GDPを全体で見ると、アメリカや中国、日本がトップにランクインしましたが、アメリカや中国と比較して日本は低迷を続けていることは間違いありません。
人口に比例してGDPは高くなりますが、要因は人口だけではなく、各国に強みが存在しています。
一人あたりのGDPが高いルクセンブルクやスイス、アイルランドも同様に、金融関連が強かったり、教育が充実していることで労働生産性が高くなるなど理由があります。
強みがある国はコロナショックから早く経済回復している傾向が強く、今後も成長していくでしょう。
日本の経済状況が立ち直るには、まずはワクチンの普及が欠かせません。
少しでも経済を良くするために、大打撃を受けている観光業界や飲食業界を回復させ、いち早くコロナウイルスから開放されることが必至でしょう。