不動産投資では、リフォームを行うことで収益性・利回りの向上が期待できます。
どうしても空室が続く場合や、内装や設備に関してクレームが入った際など、適切なリフォーム対応で確実に家賃収入のアップが見込めます。
しかし、リフォームにかかる費用やタイミングなど、初心者には判断が難しい点も事実です。
本記事では、投資用マンションをリフォームする際の適切なタイミングや費用の目安について紹介していきます。
うまくリフォームを活用して、不動産投資を成功に近づけましょう。
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マンション投資のリフォームのタイミング
マンション投資におけるリフォームのタイミングを紹介します。
- 入居者退去後の空室時
- 入居者からのクレーム時
- 建築から10年程度経過時
入居者退去後の空室時
マンションの室内修繕は、既存の入居者が居住している際には進行が難しいものです。
特に、水道管の破損や水漏れのような緊急を要する事態が生じた場合、入居者から家賃の減額や賠償の請求が発生することが考えられるため、トラブルを未然に防ぐために事前の修繕が推奨されます。
最適なタイミングとして、マンションの空室期間、すなわち入居者の変動が生じる退去時を考慮すると良いでしょう。
退去の際には、管理会社による部屋の状態チェックが実施され、壁にできた穴や傷などの目立つダメージが確認されれば、その修繕費用が入居者に請求されることが一般的です。
主に敷金からの差し引きとして行われ、基本的な修繕を完了させた後に、物件の価値を向上させるためのリフォームや床材や壁紙の更新など、積極的に実施することが望ましいです。
入居者からのクレーム時
共有施設や設備の小規模な修理は、住民の日常生活に直結しており、速やかな対応が求められます。
例えば一棟マンションのオーナーとしては、「オートロックのドアが機能しない」などの不具合は、住民の安全や利便性を損ない、最悪の場合は退去の理由ともなり得ます。
重要な設備の故障を即座に特定し、対応する際には、入居者のニーズの高さを指標として活用すべきです。
近年、インターネット回線、宅配ボックス、インターホンなどの設備への依存度が高まっています。
これらは日常の生活や働き方、生活スタイルに直接影響する要素であり、高度な技術を必要とする機器も多いため、迅速な対応が必要です。
特定の設備、例えばインターネット回線やインターホンの問題は、プロバイダーやメーカーが主体となって対応することが一般的です。
しかし、マンション全体の配線等の問題が原因の場合、管理者の対応が必要となるため注意しましょう。
建築から10年程度経過時
不動産物件の修繕には、築10年目や12年ごとのサイクルが適切なタイミングとされます。
多くの大型設備、特にバス・トイレ・キッチンの保証期間は10年といわれているため、あらかじめ予定を組んでおきましょう。
この時期をリフォームや修繕の指標とするのが一般的です。
マンション投資の費用目安
マンション投資の費用はどれくらいかかるのでしょうか?
目安となる費用を解説するため、参考にしてください。
- 内装費用
- 水回りの費用
- 台所の費用
内装費用
物件の床の状態は、入居者の第一印象を大きく左右し、劣化した床は空室率の上昇の原因ともなり得るため、気になる際には張り替えを検討すべきです。
- フロアタイル:1平方メートルあたり約5,000円
- フローリング:1畳あたり3万円から6万円
- クッションフロア:1平方メートルあたり約3,000円
また、経年による劣化や前回の入居者の使用痕跡で壁が汚れている場合、クロスの張り替えで新鮮な印象を取り戻せます。
クロスのリフォームに要する費用の相場は、1平方メートルあたり「約1,000円から1,500円」となります。
お風呂の費用
お風呂場の床や浴槽が劣化した場合、部分的な交換でその状態を刷新できます。
浴室の各部分の修繕にかかる費用の相場は、下記を参考にしてください。
- 浴槽の交換:約5万円から10万円
- 浴槽のコーティング:約7万円から13万円
- お風呂場の壁の修繕:約10万円
- ユニットバス全体の交換:90万円から100万円以上
コストを抑えるため、特定の部分だけのリフォームを実施しましょう。
トイレの費用
中古物件の中には、時折和式トイレが残されているものや、清掃が不十分で汚れが目立つものがあります。
快適さや清潔感を高めるため、トイレのリノベーションは避けて通れない工程となります。
- 和式トイレから洋式トイレ:約15万円から20万円
- 簡易洋式トイレ:1万円程度
また、洋式トイレにウォッシュレット機能を追加したい場合は、ネット通販で適切なパーツを選び購入することで、「約2万円以内」の出費で取り付けることができます。
台所の費用
古い物件のキッチンは、現代のライフスタイルに合わせた設計ではなく、低いカウンターが特徴的で、料理の際の使い勝手が悪いことが少なくありません。
特に自炊を頻繁に行う独身者や家族連れをターゲットにする場合、キッチンのリノベーションは避けて通れないポイントです。
システムキッチンへの変更を考える際、費用の相場は50万円から100万円となりますが、節約を重視するのであれば、公団キッチンの導入を検討すると、10万円程度でのリフォームが可能です。
マンション投資リフォームのメリット
マンション投資でリフォームを行った場合、以下のメリットがあります。
- 収益性や利回りの向上
- ターゲットを絞れる
- 新築マンションと比較してもコストが低い
収益性や利回りの向上
中古マンションは新築マンションに比べ、表面利回りが高いことが多いです。
高い利回りは収益の増加を示唆し、投資の回収期間を短縮する可能性があるため、新築マンションよりもリスクを低く抑えた投資が期待できます。
リフォームを施した中古マンションは、駅近などの立地利点と組み合わせることで、他の同条件物件と差別化することができます。
市場相場を上回る家賃を設定する機会が増えるだけでなく、入居希望者の高い需要も引き付けることができるため、安定した家賃収入を得られるでしょう。
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ターゲットを絞れる
中古マンションを特定のターゲット層、例えばファミリーや単身者(男性、女性)に合わせてリフォームすることで、特色ある物件に生まれ変わらせることが可能です。
例として、ユニットバスは現代のニーズに合わないため、それを分離しリフォームすることで、より多くの入居希望者の関心を引き付けることができます。
さらに、壁紙や床材を更新し、例えば若い女性の好みに合わせたデザインに変更することで、特定の層にアピールする物件にすることができます。
新築マンションと比較してもコストが低い
中古マンションの購入コストは、一般的に新築マンションよりも低いのが特徴です。
新築物件は初めからの需要が高い一方で、購入価格は高めで、その後の価格下落リスクも大きいです。
これに対して、中古マンションを購入し、リフォームを施すケースを検討すると、多くの場合、全体の費用を新築物件の購入よりも節約できます。
取得費用が区分マンション投資の主な支出であることを考えると、この節約は大きなメリットとなります。
さらに、多くの中古マンションは利便性が高い立地に存在し、人気エリアには既に多数の中古マンションが存在するため、新築物件よりも賃貸需要の高い投資物件を見つけやすくなります。
したがって、新築物件の立地条件が不利な場合、良い立地の中古マンションをリフォームして投資する方が有益なケースが考えられます。
マンション投資リフォームのデメリット
反対に、マンション投資でリフォームを行った場合は、以下のデメリットが発生する恐れがあります。
- ローンを組みづらい
- 想定より金額が膨らむ可能性がある
- 構造や規約上の制限
ローンを組みづらい
中古マンションのリフォームにおいて、融資を受ける場面でのハードルは新築物件と比較して高いことが一般的です。
積算評価の低さから、融資の取得が難しくなることや、条件が厳格になるケースも少なくありません。
さらに、リフォーム費用を不動産投資ローンで賄うことは難しい場合が多く、自己資金の準備が困難な際は、住宅ローンよりも条件が厳しいリフォームローンの適用を考慮しなければなりません。
キャッシュフローへの影響も増大する可能性があるため、ローンの詳細条件を検討しつつ、収支のシミュレーションを行い、賢明な投資判断を下すことが重要です。
想定より金額が膨らむ可能性がある
中古マンション投資には、経年劣化に伴う修繕の必要性が増加し、築年数が経つほど修繕を要する箇所や頻度は高まる可能性が。
一見問題ないように見えても、経年劣化による排水管のダメージなどが後から明らかになることもあります。
特に水漏れや耐久性に関わる問題は、放置すると安全上のリスクが伴い、このような場合は予想以上の修繕費用が発生する可能性があるため注意が必要です。
購入前に、中古マンションの経年劣化の状況や過去の修繕履歴を確認することは大切です。
さらに、専門業者による建物の詳細な調査を行うことで、将来的なリスクを低減できるでしょう。
構造や規約上の制限
リフォームを考える際、建物の構造的な制約や存在する柱や梁などで変更が難しい部分も存在します。
さらに、管理規約によっては一部の改修が許可されていないこともあります。
中古マンションを選ぶ場合、すべての部分を自由に改修できるわけではないため、可能な工事と制約を確認し、リフォームの計画を立てることが重要です。
マンション投資でリフォームをする際のコツ
マンション投資でリフォームをする際は、以下のポイントを意識しましょう。
- 自分でリフォームしてコストを抑える
- リフォームと表層リノベーションを使い分ける
- 場合によってはローンを利用する
自分でリフォームしてコストを抑える
業者にリフォームを委託すると、手間は減りますが費用が高くなることが多いです。
予算を抑えたい場合、一部のリフォーム作業を自分で行うことで費用を削減することが考えられます。
例えば、照明の取り替えや一部の設備交換などは、適切な工具や知識があれば自分でも可能です。
ただし、専門的な技術や設備が必要な場面では、専門業者に依頼するのがベストです。
安全性や品質を確保するため、難易度の高い作業はプロに任せることをおすすめします。
リフォームと表層リノベーションを使い分ける
「リフォーム」と「表層リノベーション」の選択は目的に応じて異なります。
もし、早急に空室を埋めたい、または家賃を引き上げたいのなら、大規模なリノベーションは推奨できません。
壁紙や床の交換のような部分的なリフォームで、原状回復を重視し、賃料を適切に設定することで、低リスクでの入居者確保が見込めます。
一方で、利益を大きく上げたい場合にその利益を圧縮する目的でリノベーション費用を計上したいのであれば、赤字にならない範囲での表層リノベーションが効果的です。
場合によってはローンを利用する
高額なリフォーム費用に対する資金不足を解消するためには、リフォーム融資やアパートリフォームローンのような金融機関のサービスを利用することが考えられます。
しかし、これらの融資を受けるためには審査が必要です。
特に、物件購入時のローン返済が滞っている場合など、信用情報に問題があると、融資の審査に通るのが難しくなることもあります。
リフォームをより深く理解してマンション投資を成功させよう!
マンション投資におけるリフォームの概要やポイントを解説しました。
リフォームが必要となる前に、物件を売却するという戦略も考えられます。
しかし、売却によって投資のリターンを最大化できるか、ローン返済がスムーズに行えるかどうかは物件の特性やオーナーの状況に左右されるため、早期売却が必ずしも最善の策であるとは限りません。
ポイントを見極めて、リフォームに関して適切な判断を心がけましょう。