不動産投資で賃貸物件を経営する際に発生するコストは、物件の購入費だけではありません。
購入後にかかる管理手数料は毎月発生するため、具体的な相場や内訳を把握するのが安定的に経営のコツです。
しかし、どこまでの業務が管理業務に含まれるのか、管理会社を選ぶ際のポイントなど、初心者では迷ってしまいがちです。
本記事では、不動産の管理手数料の相場や管理委託のメリット・デメリットを解説します。
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不動産投資における管理とは?
不動産投資は、客付けで有利な物件を選ぶだけでなく、購入後の維持管理が最も大事と言っても過言ではありません。
魅力のある物件に仕上げるために、不動産管理の方法を3種類紹介するため自分に適した投資スタイルを選びましょう。
- 管理委託
- サブリース契約
- 自主管理
管理委託
「管理委託」は不動産管理の中でも主流の方式で、多くのオーナーの方が利用しています。
専門の不動産管理会社に管理業務全般を委託することで、オーナーと入居者との直接のコミュニケーションや緊急時の対応、メンテナンスなどの負担が大幅に軽減されます。
一般的に手数料として家賃の一部を補う形となりますが、手間や時間の節約を考慮しても、多くのオーナー様にとってコストの削減につながるでしょう。
しかし、管理会社の選定を注意深く行う必要があり、適切な選択をしなければ、サービスの質が低く入居率の低下や収益性への悪影響が生じる可能性があります。
さらに管理会社との連携も大切で、顧客対応や管理の品質も低下するリスクがあるため、双方の良好な関係作りが安定した経営のコツです。
サブリース契約
「サブリース契約」は、管理会社に不動産を賃貸し、管理会社が入居者へ転貸する方式です。
サブリース契約では、管理による手間がかからず家賃保証を受けられて、空室があっても家賃保証によって一定の収入が得られるため、安定した運営が可能です。
しかし、 家賃保証は家賃相場の約8割に設定されることが多く、賃料の更新も2年程度で行うケースが多いため、決して便利な制度ではありません。
契約の詳細や条件をしっかりと確認し、オーナーが不利にならないように立ち回る必要があるでしょう。
自主管理
「自主管理」は、不動産オーナーが直接、物件の管理を行う方式です。
外部の管理会社へ手数料を支払う必要がないためコスト削減ができる上に、賃貸経営におけるノウハウや知識を習得できます。
しかし、入居者のクレーム対応や家賃の回収、物件の修繕など、オーナーの多大な労力と時間が必要となります。
また、成功するためには法律や建築専門に関する知識が必要で、特に副業として不動産投資を行っているオーナーには難しい場面があるでしょう。
管理委託手数料の相場
不動産管理会社へ管理を委託する際の相場や、コスト削減のポイントを紹介します。
- 管理委託手数料の相場
- 集金代行契約
- 管理委託手数料が格安の会社を選ぶポイント
管理委託手数料の相場
管理委託にかかる手数料の相場を解説します。
収益不動産の管理を管理会社へ委託する際、一般的な管理手数料の算出方法は、以下の通りです。
倍率の相場は、多くの場合3%~8%の間で設定され、中央値として「家賃× 5%」がよく参照される基準となります。
しかし、管理会社によっては手数料の設定が異なり、「管理手数料」が低く見えても、「システム料」や「更新手数料」「修繕積立費用」といったように料金が設定されています。
そのため、管理会社を選ぶ際は、「管理手数料」のみに注目するのではなく、全体の料金構造をきちんと確認しましょう。
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集金代行契約
集金代行契約は、名前から推測される簡易的な集金事務ではなく、遅延時の督促や回収、修繕の手配などを管理会社へ一括して委託する契約です。
一般的な集金仲介の手数料は、入居者からの家賃の約5%が相場です。
この手数料は、得られた家賃の中から支払われ、オーナーは残りの部分を家賃収入として受け取ることが可能です。
また、入居者募集も集金代行契約の手続きとして行われますが、空室による損失のリスクはオーナーが負担しなければいけません。
管理委託手数料の価格だけで選ばない
管理委託料が低く、多くの賃貸管理業務が含まれていても、「安かろう、悪かろう」で選ばないことが大切です。
提供するサービスの質は、入居者の満足度にそのまま反映され、杜撰な管理は退去を優先するリスクがあるため注意が必要です。
賃貸管理会社を選択する際には、サービスの品質や過去の実績を重視して、物件の共用部やゴミ置き場などの状態を定期的にチェックしましょう。
問題点を見つけた際は即座にフィードバックすることで、サービスのさらなる向上が期待できます。
管理手数料で委託できる業務内容
不動産管理会社への管理手数料を支払うことで、委託可能な管理業務を紹介します。
- 管理委託に含まれる業務
- 管理手数料以外で費用が発生する業務
管理委託に含まれる業務
管理委託に含まれる業務には、以下のものがあります。
物件に関する業務 |
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入居者への対応 |
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管理会社の業務内容は手数料に応じて異なるため、特定的なサービス範囲とコストのバランスを検討することが重要です。
全ての業務を管理会社に委託することも可能ですが、一部の業務をオーナーが請け負うことも可能なため、どこまで委託するか慎重に判断しましょう。
管理手数料以外で費用が発生する業務
管理手数料に支払いで多くの管理業務を委託可能ですが、すべての業務を管理手数料だけで負担できるわけではありません。
管理手数料以外で料金が発生する可能性の高い業務を紹介します。
- 室内設備の修繕や交換
- 原状回復費用(クリーニングやリフォームなど)
- 物件清掃や点検
- 賃貸借契約の締結や更新
原状回復リフォームや室内設備の修繕は不定期に発生するため、あらかじめ修繕の計画を立てて資金を準備しておくことをおすすめします。
不動産管理会社へ管理を委託するメリット
不動産管理会社へ管理を委託するメリットを紹介します。
- オーナーの負担軽減
- 入居者の満足度の向上
- 資産価値の維持
オーナーの負担軽減
賃貸管理会社へ管理を委託することで、オーナーの手間を大幅に軽減できます。
不動産投資では物件の管理が重要ですが、オーナー単独での運用は時間と労力が必要です。
また、入居者からのクレームも24時間365日で対応することは難しいため、管理会社へ委託して時間や手間を節約できます。
さらに、多忙な方や遠方に在住しているオーナーの方も、自身の経営状況やライフスタイルに合わせた管理が可能です。
入居者の満足度の向上
管理会社へ管理を委託することで、設備トラブルや入居者のクレームを迅速かつスムーズに対応可能です。
入居者の不満は退去の原因とつながりかねないため、オーナー自身で管理をする際は慎重に進める必要があります。
しかし、管理委託によって空室のリスクを軽減し、安定した家賃収入を維持できるため、積極的に管理会社の利用を検討してください。
資産価値の維持
賃貸物件は、経年による劣化は避けられませんが、劣化の速度は管理の品質によって異なります。
適切な管理下にある物件は、長い年月でも資産価値の高い状態を維持可能です。
反対に、管理が行き届いていない物件では、劣化を早めて資産価値を低下させるリスクが増大するでしょう。
オーナーが期待する売却価格を実現するためにも、賃貸物件の管理は専門家である不動産管理会社への管理委託をおすすめします。
不動産会社へ管理を委託するデメリット
反対に、不動産管理会社へ管理を委託するデメリットを紹介します。
- 家賃収入が低くなる
- 管理会社選定の手間
- 管理会社変更時の違約金
家賃収入が低くなる
管理手数料を支払い管理委託を行う場合は、オーナーが得る家賃収入が低くなる点を覚えておきましょう。
管理手数料の相場は約3%〜8%で、管理会社の設定する割合分が毎月の収入から引かれます。
また、管理手数料以外の諸経費も発生するため、シミュレーションをあらかじめ行い検討してください。
管理会社選定の手間
管理会社のサービス品質は、入居者の満足度に密接に関連するため、より高品質なサービスを提供する管理会社を選択しなければいけません。
杜撰な管理体制は、短期解約の原因につながり、家賃収入の損失になります。
管理手数料が低い会社が考えるサービスが劣るわけではないですが、料金とサービスのバランスを考慮することが大切です。
管理会社選びの際は、少し手間がかかりますが、コミュニケーション面や管理物件の状態などを確認し、入居者の満足度が高い会社を選びましょう。
管理会社変更時の違約金
管理会社の変更はオーナーの判断で可能ですが、契約途中での変更には違約金が発生するケースがあります。
あらかじめ管理会社との「契約条項」を確認することで、管理会社とのトラブル防止につながります。
違約金に関しては、「数か月分の管理手数料の支払い」が必要になるケースもあるため、必ず確認しましょう。
不動産管理会社を選ぶポイント
不動産管理を委託する会社を選ぶ際は、以下のポイントに注目しましょう。
- 空室時の客付け力
- 管理会社の顧客対応
- 物件の周辺エリアに強い
空室時の客付け力
賃貸管理会社を選ぶ際のポイントは、「家賃収入の最大化」です。
空室が多いと利益は上がらないため、ターゲット層の獲得が得意な管理会社を選ぶのをおすすめします。
管理会社の入居率は入居の実績を示す重要な指標で、「95%以上」の入居率を誇る会社は、顧客獲得に優れているといえるでしょう。
しかし、会社によって得意とする物件のタイプが異なるため、より慎重になって管理会社を選択することが大切です。
不動産投資ではキャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙うべき?キャピタルゲインで利益を出すコツは?
物件の周辺エリアに強い
管理会社を選ぶ際は、物件の周辺エリアに強いかどうかも重要なポイントです。
周辺エリアに精通していれば、ターゲット層や近隣物件、地域の特性に基づいた適切な分析が可能となり、最適な提案が受けられるでしょう。
例えば、近隣企業の人事動向や地域のニーズを踏まえて、「入居者のターゲット設定」や「地域のニーズに合わせた間取り提案」など、地域特有のアドバイスを頂けます。
複数社を比較する
管理会社選びでは、複数の会社からプランと見積りを取得しましょう。
当面の管理手数料やサービス内容には違いがあり、相場の価格や総合的なサービスの質が明確になります。
管理会社はビジネスパートナーとしての役割も果たすため、担当者との対面でしっかりと話し合いを行い、複数社の比較がおすすめです。
管理手数料の相場を知って不動産を上手く管理しよう!
賃貸物件の管理に伴う月額の管理手数料について紹介しました。
オーナーとしては、管理手数料の低さが魅力的に思えますが、賃貸経営全体の相場を考慮すると、手数料の数%の違いは微々たるものです。
管理手数料の金額だけでなく、管理の質やその他のコスト、管理会社の能力などを総合的に判断して、適切な対応を受けられる管理会社を選択しましょう。