不動産へ投資して物件を購入する際、物件の資産価値がどの程度かを明確に判断する必要があります。
法定耐用年数や物件の損傷など、場合によっては物件の劣化が進み、入居者がつかない可能性もあります。
しかし、投資用マンションの寿命を伸ばす方法や、耐久性を測るポイントがわかりづらいのも事実。
そこで本記事では、寿命を迎えた投資用マンションの見分け方や、上手く運用するコツについて解説します。
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投資用マンションの寿命とは?
投資用マンションの寿命について、三つのポイントから解説します。
- 法定耐用年数
- 物理的な寿命
- 機能面での寿命
法定耐用年数
マンションの価値は、期間の経過とともに徐々に低下します。
「法定耐用年数」に基づき、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造の住宅用建物は47年です。
しかし、減価償却の基準として設定されているため、物理的な耐用年数とは直接関連していません。
2002年の国土交通省の報告によれば、マンションの平均的な寿命は46年で、平均的な建て替えまでの期間は37年です。
マンションの物理的な寿命ではないため、あくまで参考程度に考えてください。
物理的な寿命
マンションの構造で最も普及している構造は、鉄筋コンクリート造です。
鉄筋コンクリート造は、引っ張り強度を持つ鉄筋と、圧縮強度・耐火性能に優れたアルカリ性のコンクリートを組み合わせ、耐久性の高さを保証しています。
また、鉄筋コンクリート造の劣化の主な原因は、コンクリートの中性化による鉄筋の錆びです。
また、コンクリートの限界によるひび割れも状態に影響を与え、コンクリート主成分のセメントと水の比率が適切でないと限界が生じます。
立地環境も劣化の度合いに影響するため、投資用マンションを選ぶ際は物件の外観や構造の状態を精査しましょう。
機能面での寿命
日本のマンションと他国のマンションを比較した際、日本のマンションは機能面で短命な特徴があります。
その要因として、高度経済成長期の建設ブームが挙げられ、人力と材料が不足の中で大量に建設されたため、品質の劣る物件が多く建造されました。
また、給排水設備の老朽化も大きな課題で、排水管の寿命は20~30年とされ、築年数の経過したマンションでは配管の交換コストや物理的耐久が問題視されています。
さらに、エレベーターの不備や洗濯機置き場の欠如など、現代の生活基準を満たさないマンションは、機能面で不備を抱えているケースが多くあります。
寿命を迎えたマンションに対する対処法
一般的な寿命を迎えたマンションがその後どうなるかについて解説します。
- 容積率を上げて立て替え
- 居住者の負担で居住を継続
- 解体後に土地の売却
- そのまま居住を継続
容積率を上げて立て替え
容積率は、敷地面積に対する建物の延床面積の比率を示すもので、その値が高い土地では大規模なマンション建設が認められます。
築年数の経過したマンションの中には、現代の容積率の指定前に建設された物件もあるため、未使用の容積率が残っている土地があります。
この未使用の容積率を利用すれば、現状よりも広いマンションの建設が可能となり、結果的に多くの戸数を持つ建物が建てられる上に収益率も上げられるでしょう。
居住者の負担で居住を継続
原則的に、老朽化したマンションの建て替えは、居住者の負担で建て替えが可能です。
しかし、建て替えには区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成が必要で、この5分の4以上の賛成権を「建て替え決議」といいます。
多くの老朽化したマンションには、経済的な余裕を持たない高齢者も住んでいるため、建て替えの検討が困難となり、結果として現実的な建て替えは進められていないのが現状です。
解体後に土地の売却
老朽化した投資用マンションの場合、マンションを解体して土地を売却する選択も視野に入れられます。
地上げ業者が個人の住戸を徐々に買い取り、最終的にマンション全体を解体します。
その後に、マンションデベロッパーへ売却という流れは、現実的なアプローチとして検討できるでしょう。
そのまま居住を継続
寿命を迎えた投資用マンションにて、多くのオーナーが選ぶのは、手をつけずに居住者を募集し続けるという選択でしょう。
築年数が50年を経過しても残っている物件は多く、設備や内部外装をリニューアルすることで、多くのマンションで継続的な居住が十分可能です。
昨今の新築は、100年の耐久性を前提とした設計のものが増えており、新しく建てられたマンションの多くは、100年後も住み続けられると予想されます。
耐用年数を迎える投資用マンションの価値は?
耐用年数を迎えた投資用マンションの価値について、以下のポイントに注目して解説します。
- 修繕にかかる日数が長い
- 修繕の積立金が嵩む
- 資産価値の低下
修繕にかかる日数が長い
大規模な修繕や修繕の箇所が多い場合、工事にかかる期間が長くなる傾向にあります。
工事期間中は、騒音問題や窓の開閉ができなくなるなど、入居者にとってストレスになる可能性もあるでしょう。
修繕のタイミングによっては、入居者が離れるリスクもあるため、物件内での連絡はこまめに行ってください。
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修繕の積立金が嵩む
修繕積立金は、マンションの建物や設備のメンテナンスに必要な費用を積み立てる資金で、マンションのオーナーは月々で費用を負担する必要があります。
基本的に、全てのマンションで修繕積立金は発生しますが、築年数の経過したマンションでは修繕のコストが高くなるケースが多いです。
また、10年〜15年の間隔で大規模な修繕工事が実施されるのが一般的で、築年数の経過したマンションでは小規模な修繕も増加するため、修繕工事の費用が嵩みます。
そのため、修繕にかかる費用は入念にシミュレーションを行い、定期的に確認しておきましょう。
資産価値の低下
投資用マンションは、経年劣化によって資産価値が徐々に低下するため、買い手がつかないリスクがあります。
法定耐用年数が47年であっても、築30年を超えるマンションは設備の老朽化や外観の印象で資産価値が減少します。
さらに、残存耐用年数が少ないマンションは資産価値も相対的に低下し、投資用ローンも通りにくくなり売却が困難になりかねません。
多くのマンションでは、耐用年数の経過と資産価値の低下は比例して下がっていくため、資産価値を保つための対策が必須です。
投資用マンションの耐久性を測るポイント
不動産投資でマンションを購入する際は、以下のポイントを考慮して耐久性を測りましょう。
- 管理の状況
- 立地
- マンションの構造
管理の状況
中古の投資用マンションを購入する際は、過去の管理状況を必ず確認しましょう。
特に、築年数の経過した物件の場合、メンテナンスが適切に行われていない恐れがあり、建物が大きく劣化している可能性があります。
外壁の劣化などは、内部鉄骨の腐食の原因となりかねないため、建物の耐久性を著しく低下させているリスクも。
購入を検討する際は、過去の管理履歴や管理組合の組織体制、修繕積立金の徴収状況などから総合的に判断しましょう。
立地
立地の条件は、耐久性に直接的な影響はありませんが、間接的には大きな影響を与えるリスクがあります。
例を挙げると、海沿いにある立地マンションは塩害による影響を受けやすく、塩害対策が実施されていない場合、建物の老朽化が深刻化します。
また、高級住宅地にはクオリティの高い施工がされたマンションが集中しているため、耐久性の高さを求める方は参考にしてください。
マンションの構造
マンションの構造も耐久性に大きく影響するため、購入の際は慎重に判断する必要があります。
鉄筋コンクリート造であっても、建築や時期時期やデベロッパー、施工会社によって、施工基準や品質が異なるため、マンションの耐久性に差が生じます。
木造や鉄骨造など、メリットやデメリットを考慮して、投資する物件を選択しましょう。
投資用マンションの資産価値を保つには?
投資用マンションの劣化や資産価値の低下を避けることはできないため、以下の対策を講じる必要があります。
- 物件設備の充実
- 需要に合わせたリフォーム
物件設備の充実
物件の設備を充実させることで、入居者を獲得しやすくなります。
築年数の古いマンションでは、設備の古さや状態の悪さが課題となり、入居者の満足度の低下につながるでしょう。
特にキッチンや浴室のような水回りを優先して取り替えるだけで、より魅力的な物件として募集をかけられます。
需要に合わせたリフォーム
投資用マンションをリフォームする際は、独身者やファミリー層、高齢者向けなどのターゲット層を明確にして住宅設備を整えましょう。
あらかじめターゲット層を設定してリフォームすることで、需要の向上や空室対策が期待できます。
間取りの変更や、独立キッチンから対面キッチンへのリフォームなど、ニーズに合わせたリフォーム・リノベーションを行いましょう。
耐用年数や状態から投資用マンションの寿命を知ろう
マンションの耐用年数や資産価値から、投資用マンションの寿命を測るポイントや、資産価値を維持する方法まで解説しました。
マンションの資産価値は、管理の質に大きく左右されることもあるため、オーナーや管理会社の管理の質を維持するスキルが求められます。
また、定期的な設備メンテナンスやリフォームも、資産価値の維持に効果的でしょう。
投資用マンションの耐用年数や管理状況をしっかりと把握し、購入や売却の際の参考にしてください。