株式投資

株主総会とは?いつ何をするの?わかりやすく解説します

編集者:Money Theory編集部
株主総会

「株主総会」という単語、ドラマや映画などでよく耳にしますよね。

しかし、実際何をするのかよくわかっていない方が多いのではないでしょうか。

そこで今回は、株初心者の方にもわかりやすく株主総会がどのようなものなのか、ご説明していきます。ぜひ参考にしてください!

1.「株主総会」とは?概要を簡単に解説

株主総会…株主が集まって重要なことを採決したり承認したりする会議のこと。原則として、年に1回行われる

そもそも株主とは?株主には権利がある

では、そもそも株主とは何か皆さんご理解していますか?

株主総会とはその名の通り株主が総会をするわけですから、そもそも株主がどういうものなのか、またどんな権利があるのかを理解することが大切です。

株主とは?株式の仕組みを簡単に解説

では、そもそも株主とはなんでしょうか。

株主…会社に出資した変わりにその会社の株を持っている人のこと。会社のオーナー

株主とは、簡単に言えば会社のオーナーです。

「どういうこと?」と思われる方も多いでしょう。ご説明していきます。

株式投資は少額からでも会社のオーナーになれる仕組みなのです。

多くの人は、「自分が会社のオーナーなんて考えられない」と思うかもしれませんが、例えば、トヨタでもソニーでもYahoo!でも、数万~数十万程度のお金から株を買うことができます。

つまり、株式投資は、少額から誰でも会社のオーナーになれる画期的な仕組みなのです。

ただ、オーナーと言っても会社を自分一人で好きなようにできるわけではありません。

あくまでも共同オーナーの一人であるということです。

極端なことを言えば、会社が発行している株をすべて買い占めれば、その会社を100%自分のものにすることができます。

反対に1株だけ買うなら1株分だけその会社のオーナーになれるということです。

株主には2つの権利がある

株主は会社のオーナーになれる仕組みであるとお伝えしました。

会社のオーナーになれるということは、会社の経営に関してある程度の権利が得られるということです。

では、具体的に株主はどのような権利があるのかご説明していきます。

株主には主に

  1. 自益権
  2. 共益権

の2つの権利があります。

①自益権

自益権とは、株主が会社からお金を受け取る権利のことです。

自益権の中でも以下の2つの権利が主なものです。

  • 剰余金配当請求権:会社が利益を出したときに、その一部を分配してもらう権利
  • 残余財産分配請求権:会社が解散するときに、会社に残っている財産の分配を受ける権利

上記の2つのなかでも、剰余金配当請求権は株主密接に関係するので、詳しくご説明していきます。

剰余金配当請求権の「配当」とは?

そもそも、皆さんは株式投資にどのような稼ぎ方があるかご存知ですか?

株式投資における稼ぎ方は以下の3つです。

  • 値上がり益…「安く買った株を高く売る」ことで、差額が利益となる方法
  • 配当益…株主に対し、会社の利益の一部を還元することで得られる利益
  • 株主優待…自社の商品や割引券という形で株主に利益を還元する方法

このうち、今からご紹介するのは配当益です。

「会社にお金を投資して、会社が利益を出したときには、投資したお金の金額に応じて利益の一部を配当として受け取る」というのは株式会社という仕組みの根本です。

配当を受けとる権利は基本的な株主の権利といえるでしょう。

ここで、改めて配当とは何かご説明します。

配当…会社が稼いだ利益の中から、株主が直接受け取れる分け前のこと。配当は年に1回か2回行われる

先程ご紹介した稼ぎ方の一つである値上がり益が、持っている株の10%、50%といった大きな利益が狙えるのに対し、配当は2~3%と小さいです。

しかし、大損してしまうリスクがある値上がり益に比べ、配当は比較的着実に利益を得られる方法と言えるでしょう。

ただ、どこの企業も配当を行っているわけではありません。

この配当を出すか出さないかを、株主総会で決めるのです。

②共益権

共益権とは、会社経営に参加できる権利です。

共益権は、以下の2つの権利があります。

  • 単独株主権…1株でも所有していれば得られる権利
  • 少数株主権…一定株式数、または一定割合の株式を所有する株主のみが得られる権利

なぜ単独株主権と少数株主権があるのでしょうか。

答えは、会社経営の重要な決定をするにあたって、1株でも有していれば行使できるとしてしまうと、会社の経営に混乱をきたす可能性があるからです。

では、単独株主権と少数株主権の具体例について詳しくご紹介していきます。

ここに挙げたのはほんの一例です。

単独株主権

  • 株主総会における議決権
  • 取締役の違法行為を差し止め請求する権利
  • 会社が新規に株式を発行するのを差し止め請求する権利
  • 株主総会で行なわれた決議の取り消しの訴えを提起する権利

少数株主権

  • 議題提案権(株主総会で議題を提案する権利):議決権の100分の1または株式数300以上
  • 議案通知請求権(株主総会で提出する予定の議案を、別の株主に通知するよう要求する権利):議決権の100分の1または株式数300以上
  • 株主総会の招集手続きについて検査役を選任するよう求める権利:議決権の100分の1

株主総会を基礎から徹底解説

株主には2つの権利があるとおわかりいただけたでしょうか。

では、ここからは株主総会がどのようなものなのか、わかりやすく徹底解説していきます。

皆さんが知りたいであろう以下の4つを中心にご説明していきます。

  1. 株主総会の種類
  2. 株主総会で決めること
  3. 株主総会での決議の方法
  4. 株主総会の流れ

それぞれ詳しくご説明していきます。

株主総会は2種類ある

株主総会は、招集する時期により以下の2種類に分類することができます。

  1. 定時株主総会
  2. 臨時株主総会

では、何が違うのかご説明していきます。

①定時株主総会

定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集(開催)される株主総会です。

会社法で、招集(開催)が義務づけられています。

この定時株主総会は、ほとんどの企業で6月下旬に行われます。

②臨時株主総会

株主総会は、必要があれば、いつでも、何回でも招集(開催)することができます。

このように、必要に応じて臨時的に招集(開催)される株主総会を臨時株主総会というのです。

株主総会で決めることは主に3つある

株主総会は主に2種類あるとお伝えしました。

では、実際に株主総会では何を決めるのでしょうか。

株主総会で決めることは主に以下の3つに分類することができます。

  1. 会社の経営に関する事項
  2. 会社役員の人事に関する事項
  3. 株主の利害に関係する事項

それぞれ詳しくご説明していきます。

①会社の経営に関する事項

株主総会で決めること1つめは、会社の経営に関する事項です。

定款の変更や新株の発行など、会社のあり方や仕組みを根本から変更する場合に、株主の承認が必要になるということです。

その他の具体的な事項としては、事業譲渡、合併、解散など会社の組織形態を大きく変える事項がこれにあたります。

②会社役員の人事に関する事項

株主総会で決めること2つめは、会社役員の人事に関する事項です。

役員とは、主に取取締役や監査役のことです。

ここで、いったん株式会社の制度を整理しましょう。

株式会社は、会社に出資している株主が会社のオーナーです。

しかし、株式会社を実質的に所有している株主が会社の経営に当たるわけではありません。

株主は、経営者である取締役を株主総会で選ぶことで経営を任せているのです。

つまり、株式会社は所有と経営が制度的に分離しているということになります。

株主は会社の所有者ではありますが、経営は株主が選んだ取締役が行うということです。

もちろん、選任だけでなく、解任することもできます。

会社の経営者を選ぶわけですから、会社にとっても重要事項ということです。

③株主の利害に関係する事項

株主総会で決めること3つめは、株主の利害に関係する事項です。

具体的には、剰余金の配当に関する事項や報酬などがこれに当たります。

剰余金の配当とは、利益が出たお金を配当といて株主に配るかを決めるということです。

つまり、株主に直接影響を与える事項となります。

また、役員の報酬についても、株主総会で決定します。

なぜなら、この決定を役員に任せてしまうと、役員は自分の報酬を自分で決めることになり、不当に高額な報酬が決定されてしまう可能性があるからです。

株主総会での決議の方法は3種類ある

株主総会で決める事項は主に上記の3つです。

では、それらの事項はどのような方法で決議されるのでしょうか。

株主総会での決議の方法は主に以下の3種類あります。

  1. 普通決議
  2. 特別決議
  3. 特殊決議

決議事項によってどの方法にするかは決まっています。

基本的には普通決議で行いますが、特に重要な事項については、より決議要件のきびしい特別決議や特殊決議が必要になるということです。

それぞれ詳しくご説明していきます。

①普通決議

普通決議による代表的な事項としては、

  • 役員の選任・解任
  • 役員報酬の決定
  • 資本金額の増加
  • 剰余金の配当・処分

などです。

  • 定足数…議決権を行使することができる株主の議決権の、過半数を有する株主が出席
  • 決議要件…出席した当該株主の議決権の過半数が賛成

定足数については、定款に定めることで軽減や排除などの変更ができますが、役員の選任・解任の決議などでは定足数を株主の議決権の3分の1未満とすることはできないという制約があります。

②特別決議

特別決議による代表的な事項としては、

  • 定款の変更
  • 事業譲渡や解散
  • 会社の分割や合併
  • 資本金額の減少

などがあります。

  • 定足数…株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の、過半数を有する株主が出席
  • 決議要件…出席株主の議決権の3分の2以上が賛成

③特殊決議

  • 発行しているすべての株式を譲渡制限株式とする定款変更を行う場合
  • 株主ごとに異なる定めを設けられる「属人的株式」を設定する場合

特別決議よりも厳重な要件が要求される特殊決議が求められる場合もあります。

株主総会の流れ

株主総会がどのようなものかはおわかりいただけたのではないでしょうか。

では最後に、実際にどのような流れで株主総会が行われるのかをご紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。

①取締役会で株主招集を決議

取締役会設置会社の場合は、取締役会を開き、株主総会の開催日時や場所、議題を決定します。

②株主で招集通知を送る

取締役会で株主総会を開くことが決まったら、株主に招集通知を郵送で送ります。
ちなみに、株主総会の招集通知は、株主に出席と準備の機会をもたらすため、発送の期限が決まっています。発送期限は以下の通りです。

  • 式譲渡制限がない会社の場合…開催日の2週間前
  • 譲渡制限がある会社の場合…1週間前

③総会の準備

書面投票制度や電子投票制度を利用し、株主からよせられた株主議決権行使書の集計をします。

また、議案に対する株主の反応を予測し、想定問答集の作成、会場の確保・設営をします。

④当日の議会進行

議長による開会宣言、決算報告、監査報告、議案事項の陳述、質疑応答、議決、閉会宣言を行います。

⑤議事録の作成

会社法により株主総会の議事録を作成することが義務づけられています。

また、株主総会の日から10年間保存することも定められています。

「株主総会」のポイント

  • 株主には、自益権と共益権の2種類の権利がある
  • 株主総会とは、株主が集まって重要なことを採決したり承認したりする会議のこと

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