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ミニ株にかかる税金はいくら?税金算出方法や税金を払わなくて良い事例をくわしく解説

編集者:Money Theory編集部
ミニ株にかかる税金はいくら?税金算出方法や税金を払わなくて良い事例をくわしく解説

ミニ株でも税金はかかるので、利益が出た場合は確定申告が必要です。年間で20万円以上の利益が出た場合は、納税の義務が発生します。

しかし現在は利益を出しても納税せずに利益を得る方法があり、確定申告をせずに株を運用している人も少なくありません。

この記事ではミニ株で得た利益から税金を算出する方法や節税対策を解説し、事例を踏まえて確定申告などの面倒な手間を省く納税のコツを紹介します。

ミニ株で得た利益に掛かる税金はいくら?

監修者
弁護士 梅澤康二
プラム綜合法律事務所 弁護士 梅澤康二
2007年東京大学法学部卒。在学中に司法試験に合格し、卒業後、アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所、2014年にプラム綜合法律事務所を立ち上げる。
労務全般(労働事件、労使トラブル、組合対応、規程の作成・整備、各種セミナーの実施、その他企業内の労務リスクの分析と検討)や紛争等(訴訟・労働審判・民事調停等の法的手続及びクレーム・協議、交渉等の非法的手続)の対応や、M&Aなど企業法務全般のリーガルサービスを提供している。

ミニ株で得た利益には一律で20.315%の税負担が義務です。20.315%の内訳は所得税15%と住民税5%に加えて、残りの0.315%は復興特別所得税として徴収されます。

税金の対象となる株式の利益は大きく分けて2つです。配当所得にかかる税金と譲渡所得にかかる税金に分かれており、同じ税率を負担することになります。

配当所得にかかる税金は、株を所有して得られる「配当金」に対して税金が天引きされる税金です。

一方の譲渡所得にかかる税金は、株式を売却した際の利益に対してかかる税金を指します。

ちなみに「株主優待」も課税対象になりますが、ミニ株を運用する人は株主優待をもらえないので、税負担については考えないでよいでしょう。

一般的に株式投資で得た利益は一律20.315%の税金が課される

配当と株式譲渡に対する利益は、一律で20.315%の課税対象になります。課税対象の期間は1月1日~12月31日までとして、翌年の2月16日から3月15日までに申告手続きを行わなければなりません。

例えば1株2,000円の会社の株式を100株を持っており、2500円で売却するケースを想定すると以下の計算になります。

(2500円×100株)-(2000円×100株)=50,000円

50,000円×20.315%=10,157円

ただし売却して損失が出た場合は、税金がかかりません。さらに売却時の損失と配当の利益を相殺する「損益通算」を利用して、課税対象額を低くすることができます。

ミニ株に掛かる税金での確定申告は必要?

一般の株式の利益と同様に、ミニ株で利益が出た場合は確定申告を行わなければなりません。

ミニ株で年間で20万円以上の所得を超えた場合は、サラリーマンで年末調整を受けている場合であっても申告の手続きが必要になります。

反対に利益が20万円以下の人は確定申告をする必要がないので、取引の合計を計算して金額を割り出しましょう。

ただし別の取引で出た利益を相殺する「損益通算」や、損失を翌年以降3年間の繰越ができる「繰越控除」を利用する場合は確定申告を行わなければなりません。

どちらも年間の利益を20万円以下にするために利用できる制度なので、少しでも課税額を減らすために活用することをおすすめします。

口座によって条件が異なる

株式の取引口座は大きく分けて「一般口座」と「特定口座」の2種類あります。2つの口座の違いは、証券会社を通して確定申告するかどうかです。

一般口座はミニ株で得られた利益から税金の計算を行い、納税額を算出して確定申告を行います。トレードの回数が増えるほど、確定申告書の作成に時間がかかります。

一方の特定口座は、証券会社がトレードの記録から納税額を計算する方式です。平成15年1月1日から始まった制度で、証券会社で納税することが可能になります。

また特定口座は源泉徴収の「あり」か「なし」を選ばなければならず、「なし」を選んだ場合は年間取引報告書を作成して確定申告を行わなければなりません。「あり」の場合は申告の必要なしです。

ミニ株投資で利益を得ても確定申告が必要ない口座や事例を紹介

以下4つの事例は、利益が出た場合でも確定申告の必要がありません。
NISA口座
源泉徴収ありの特定口座
配当金のみでの運用
年間利益が20万円以上ではない人
基本的にミニ株の利益が少ない場合は課税対象になりにくく、確定申告の必要がない場合が多いです。

例えばNISAの非課税額枠や年間利益が20万円以下の所得など、少ない利益に対しては徴収されないと考えてよいでしょう。

ただし源泉徴収ありの口座に関しては、利益の額が少なくても自動で源泉徴収が行われるため、確定申告を行う手間よりも利益が減る点に注意が必要です。

主婦や会社員の副業として考えて、利益を20万円以下に抑える場合は上記4つの事例を活用することをおすすめします。

NISA口座

NISA(ニーサ)口座とは少額の非課税制度で使われる口座を指し、年間120万円を上限に配当や譲渡益が最大5年間の非課税になります。

NISAが作られた目的は、長期目線の資産形成や家系の金融資産の活用です。つまり経済発展のために、お金を有効に使ってほしいことから作られた制度というわけです。

この制度は証券取引所に上場している株式の配当や譲渡益だけでなく、投資信託なども非課税の対象になります。

またNISA口座は運用せずに売却することもできるので、売却時も非課税になるので保有せずに売ってしまう場合も多いです。

ただし預金や国債は対象外になるため注意が必要です。他にはFXや金などの金融商品も非課税にはなりません。

源泉徴収ありの特定口座

源泉徴収ありの特定口座は証券会社が源泉徴収を行うので、トレーダーが自分で損益を計算して確定申告をする必要がなくなります。

自動で所得税と住民税を源泉徴収しするため、年間のトレードの結果を計算せずに納税ができる便利な制度です。細かい計算が苦手な人にとってはメリットが大きいでしょう。

しかし年間の利益が20万円以下の場合でも強制的に源泉徴収を行うため、本来であれば納税しなくてよい金額まで差し引かれる可能性があります。

つまりミニ株で利益を出した場合、強制的に20.315%の税金を引かれた状態になることを意味します。

損益の面倒な計算をしなくてよい代わりに、トレードに使用できる資金が減る点に注意が必要です。

配当金のみでの運用

配当金のみでの運用は、一般的には確定申告を行う必要はありません。なぜなら配当金を受け取るのは、所得税と住民税が源泉徴収された後の金額だからです。

配当金は株式の配当金だけでなく、公社債投資信託を除く投資信託の分配金に加えて、特定受益証券発行信託の分配金などを含めて計算します。

またNISA口座を開設して得た利益も課税対象にはならないので、配当金がNISAの場合も確定申告を行いません。

ただし配当金を受け取る人が持ち株比率が3%を超える大口株主の場合は、受け取った配当金に対して確定申告が必要になるので注意しましょう。

配当金のみで確定申告をおこなうと配当控除を受けることも可能

配当控除は総合課税で納税する場合に適用されます。総合課税とは給与や事業所得など、税法上で定められた10種類の所得を合算して税金を計算する制度のことです。

なぜなら国内の株式の配当金は法人税が課された後の利益から株主に分配するので、所得税が課されると二重で課税されることになってしまうからです。

配当控除の税率は、課税される所得の合計金額が1,000万円以下の場合10%が税額から控除されます。住民税は2.8%が控除される計算です。

一方の合計金額が1,000万円を超えた場合は、所得に対して5%の税額控除と住民税1.4%が控除されます。

ちなみに外国法人や不動産投資信託の配当金などは配当控除の対象外になるので、合計の金額には含めずに所得の計算を行いましょう。

年間利益が20万円以上ではない人

年間の利益が20万円以下の人は確定申告を行う必要はありません。株の売却や配当の利益が20万円以上にならないように調整する投資家は少なくありません。

会社で年末調整を受けている人や、専業主婦の副業で20万円以下の人は確定申告の義務はないです。

しかしフリーランスや事業所得がある個人事業主は、ミニ株の年間利益が20万円以下であっても確定申告を行わなければなりません。なぜなら会社員のような給与所得者ではないからです。

所得税に対して20万円以下が対象なのであって、住民税は別で確定申告の必要がある点に注意しましょう。

ミニ株で利益が出た時の税金を算出する方法

ミニ株で得た利益に対する税金は、「譲渡益課税」と「配信課税」の2つに分かれます。どちらも1年間で得た総額の利益から算出します。

ミニ株で出た譲渡益課税の計算方法は以下の通りです。
譲渡価額 – 必要経費 = 譲渡所得
譲渡所得 × 税率20.315% = 譲渡益課税
税金を計算するには、まず譲渡所得を割り出す必要があります。譲渡所得とは、譲渡価額から株式の取得費・譲渡費用・借り入れ時の金利などの必要経費を差し引いた金額のことです。

一方の配当課税に対する税金の計算方法は以下の通りです。
配当所得 × 税率20.315% = 配当課税
配当所得は源泉徴収を引かれる前の金額から、株式取得時の借り入れ金の利子を引いた額で計算します。

年間利益に20.315%を掛けた数値が税金

ミニ株に対する税金は、一律で20.315%です。例えば1株100円の株式を1,000株所有していた場合は100,000円の株式を所有していることになります。

例えば1株が110円に値上がりして売却を行った場合、1,000株の価格が110,000円になることで差額の10,000円が利益です。

よって10,000円の利益に対して20.315%の税率がかかり、譲渡益課税は2031円となります。

上記はかんたんに計算した例ですが、実際の金額を算出する際は証券会社による売買手数料などを含めて計算しなければなりません。

年間を通しての損益をすべて計算するので、取引の回数が増えるごとに税額の算出の手間がかかるでしょう。

0.315%は復興特別所得税

税金の総額の中で0.315%は、復興特別所得税として支払わなければなりません。東日本大震災の復興を目的とした、財源確保のために儲けられた税率です。

適用期間は2013年1月1日~2037年12月31日までと設定されているので、2021年現在から約20年は税率が維持される計算になります。

課税対象は所得税に限らず投資信託の譲渡益や分配金の所得税、さらに預金利息やFX取引の利益に対してまで復興特別所得税が課されます。

ミニ株で少額投資する人は特定口座がおすすめ

ミニ株で少額の利益を出す運用をしたい人は、特定口座を使うメリットが大きいでしょう。なぜなら一般口座と違って、損益計算と確定申告の手間が省けるからです。

源泉徴収ありの口座は確定申告が完全に不要になり、源泉徴収なしの場合は20万円以上利益を上げなければ確定申告や納税の義務がなくなります。

ミニ株で投資を始めたい人は年間で数十万円~百万円などの金額を稼ぐケースを想定していない場合が多いので、確定申告など面倒な手間を省くことをおすすめします。

株の運用に成功して利益が上がってしまった場合に、源泉徴収なしの特定口座を選びましょう。

必要以上に税金を取られずに申告できるので、手元に残る金額を増やして再投資などに回せます。

確定申告を自分でおこなう必要がない

源泉徴収ありの特定口座は、証券会社等が上場株式や公社債などの譲渡損益を計算してくれるので、ミニ株を始めた人で税金の計算がわからない場合でも問題ありません。

例えば副業で投資を始めた会社員や空き時間にミニ株の運用を行う主婦の方でも、面倒な計算をせずに利益を得られるでしょう。

ただし損失が出た場合の税金控除には確定申告が必要なので、譲渡益課税の繰越控除を受けることができなくなります。

ミニ株といえど損失が出ない保証はないので、少しずつでも税金の計算を行うことになる可能性があります。

しかし源泉なしの特定口座を選んだ場合でも、年末には「特定口座年間取引報告書」が届くので、売買損益の計算をする必要はないので安心してください。

ミニ株での利益は20.135%の税金がかかるが確定申告は状況によって変わる

ミニ株での利益には一律で20.135%の税金がかかります。たとえ少額の利益であっても、納税は義務なので金額が差し引かれることは避けられません。

しかしNISA口座や源泉徴収ありの口座など、確定申告が必要ない場合があります。利益が少ない場合や、証券会社に申告を代行してもらうことで面倒な計算を省けるでしょう。

ミニ株を運用する時は元本が少ないことで多額の利益が出にくいので、確定申告を省略できる制度を活用することをおすすめします。

申告の手間を省略するためには特定口座を選びましょう。ミニ株から始めたい投資の初心者でも税金の計算に悩まされることがなくなるので、安心して投資を始められるはずです。