Q-Boardをわかりやすく解説
Q-Board…福岡証券取引所が2000年に開設した新興企業向けの株式市場。九州周辺の地域経済の浮揚・発展に資するため、今後成長しようとする企業に対し資金調達の機会を提供することを目的として作られた新興市場。上場条件としては、過去の実績よりも今後の成長性が重視される
Q-Boardとは福岡証券取引所の新興市場
では、Q-Boardについて詳しく解説していきます。
Q-Boardとは、簡単に言えば福岡証券取引所のうちの新興市場です。
新興市場とは、審査基準が一部や二部に比べて低いため、ベンチャー企業などの新興企業が多く参入している市場のことを言います。
Q-Boardは、後ほどご紹介しますが新興市場であるマザーズやジャスダックよりも緩やかな上場基準を設けているのが特徴です。
また、Q-Boardの由来は、九州の「Q」、Quality(品質)やQuarterly(四半期開示)、 Quick(すみやかな審査)だと言われています。
対象は九州周辺に本店がある企業、または九州周辺(九州・沖縄、中国・四国地方)における事業実績・計画を有し、成長の可能性が見込まれる企業です。
九州周辺に本店がない場合は、「九州周辺における事業活動及び事業計画の状況等を記載した書面」の作成が必要となります。
なぜなら、Q-Boardの目的が、上場を通じて地域経済に貢献できる企業の資金調達だからです。
Q-Boardの特徴
では、Q-Boardの主な特徴はどのようなものなのでしょうか。
最も大きな特徴は、上場の審査基準が他の新興市場に比べて大幅に緩いことでしょう。
そのため、成長の可能性が認められさえすれば、新興市場でも上場しやすいのです。
また、ただ審査基準が緩いだけではなく、市場の信頼性を得るために独自の施策も行っています。
Q-Boardでは、上場後3年を経過するごとに事業の現状及び今後の事業展開などを記載した書類を提出することが義務づけられているのです。
また、上場後3年間は年2回の投資家向け説明会の開催をすることも義務付けられています。
さらに、上場審査基準に上場会社監査事務所の監査を受けていることを規定化しており、しっかりと企業が成長しているのかを監視できるような施策になっています。
Q-Boardの上場基準
先ほど申し上げたように、Q-Boardの上場基準は、その他の新興市場に比べて非常に緩いものとなっています。
過去の実績は求めずに今後の成長が期待できる企業を対象としているためです。
では、Q-Boardの具体的な上場基準はどのようなものなのでしょうか。
主な上場基準は以下のようになっています。
- 上場時に500単位以上の公募を行なうこと
- 上場時見込みの株主数が200人、上場時時価総額3億円以上
- 上場対象の理由である事業に係る売上高が計上されていること
- 上場時の純資産額が正であること
- 事業を継続して1年以上行なっていること
また、上場廃止についてもQ-Board独自の基準が設けられています。
なお、Q-Boardから本則市場への市場変更を行なう場合は、本則市場の審査基準に適合する必要がありますが、本則市場からQ-Boardへの市場変更は認められていないことに注意してください。
Q-Boardは新興市場の1つ!証券取引所と新興市場につて解説
証券取引所とは
株の売買、つまり株式投資は証券取引所で行われています。
では、証券取引所とはどのようなところなのでしょうか。
証券取引所…大勢の投資家たちが株を売買するところ。「株を買いたい人」「株を売りたい人」が集まって市場を形成する
株式投資は、企業の株を金融庁に登録された証券会社を通して売り買いすることです。
株を買いた人は証券会社に「買い注文」を出します。
その注文は市場である証券取引所に出され、そこで取引が行われます。売る場合も同様です。
つまり、株式投資をするには、証券会社を通して証券取引所に注文を出す必要があるということです。
証券取引所は全国に4カ所
では、証券取引所は日本にどれくらいあるのでしょう?
答えは、以下の4つです。
- 東京(東証)
- 名古屋(名証)
- 札幌(札証)
- 福岡(福証)
このうち、東京にある東京証券取引所が上場数や取引数が圧倒的です。
テレビなどでもよく「東証一部上場」という言葉を耳にするかと思いますが、それはこの東京証券所のことです。
もちろん地方にも優良な銘柄が存在していますが、地方の証券所に上場している企業の多くは東証にも上場しています。
そのため、特に初心者の方は東証で取引することをおすすめします。
また、東証をはじめとするそれぞれの証券取引所のなかで、さらに市場が分かれています。
例えば、東証だったら、東証一部、東証二部、東証マザーズなどです。
このようないくつかの市場のうち、最も上場条件が厳しいのが一部です。
今回ご紹介しているQ-Boardは、4カ所の証券取引所のうち福岡証券取引所の市場の1つであるということです。
Q-Boardは福岡証券取引所の新興市場
では、さらに詳しくご説明していきます。
先ほどQ-Boardは、4カ所の証券取引所のうち福岡証券取引所の市場の1つだとお伝えしました。
より具体的に言うと、Q-Boardは福岡証券取引所の新興市場のひとつなのです。
では、新興市場とはなんでしょうか?
新興市場…主にベンチャー企業などの振興企業が多く上場している市場のこと。主な新興市場は、東京証券取引所の「JASDAQ」や「東証マザーズ」、古屋証券取引所の「セントレックス」、札幌証券取引所の「アンビシャス」、福岡証券取引所の「Q-ボード」など。一般の市場よりも上場基準が緩く、設立間もない企業や赤字の企業も上場できる
つまり、新興市場とは簡単に言えば上場基準が緩い市場です。
そもそも上場とは何か、皆さんご存じですか?
上場…株式公開後、さらに証券取引所での売買が可能となること
つまり、上場ができなければ、多くの投資家に自社の銘柄を買ってもらうことが困難になるため、資金を集めることができないのです。
企業にとって上場するということは、企業価値・企業規模を大きくするために非常に大切なことだと言えるでしょう。
新興市場は、一般の市場(東証一部など)に比べて上場基準が低いため、ベンチャー企業など経営が安定していない企業も参入することができます。
そのため、今後の高い成長が期待できる一方で、業績は不安定なため株価の変動が大きいことが特徴です。
売買高が少ないなかで大量の買い注文や売り注文が出ることによって、株価変動の方向性が一方的になりやすいとも言えるでしょう。
Q-Board以外の新興市場
では、ここからは具体的な新興市場をそれぞれ徹底解説していきます。
現在の日本の主な新興市場は以下の5つです。
- 東京証券取引所「マザーズ(新興企業市場)」
- 東京証券取引所「JASDAQ市場」
- 名古屋証券取引所「セントレックス(成長企業市場)」
- 札幌証券取引所「アンビシャス」
それぞれ順番にご説明していきます。
東京証券取引所「マザーズ(新興企業市場)」
マザーズとは、Market of the high-growth and emerging stocksの頭文字をとって「Mothers」 です。
その名の通り「東証一部へのステップアップを視野に入れた成長企業向け」の市場です。
東証のうちの1つの市場です。
上場基準は一部・二部と比べるとかなり緩く、「高い成長可能性」が重視されています。
企業の成長過程の早い段階での資金調達の機会提供を目的としているため、既存の東証市場で要件とされる「利益の額」および「純資産の額または時価総額」について一定の過去の実績は求められていません。
そのため、経営が安定していない企業や経営規模が小さい企業も上場していることが多いです。
東京証券取引所「JASDAQ市場」
JASDAQ市場は、マザーズと同様に東証のうちのひとつの市場です。
マザーズ同様成長企業が集まる新興市場ですが、マザーズと大きく異なる点が2点あります。
1点目は、現在の形になるまでの過程です。
ジャスダックは日本初の成長・新興企業向けの市場ですが、もとは取引所ではなく、証券会社の店頭で売買する「店頭市場」として生まれました。
2004年には店頭売買から取引所へ転換しましたが、大阪証券取引所に吸収合併され「株式会社ジャスダック証券取引所」は解散しました。
その後、2010年に登場したのが新JASDAQです。
新JASDAQとは大阪証券取引所の新興市場であった「ヘラクレス」「NEO」と旧JASDAQ、3つの市場が統合されたものです。
そのため、マザーズより大きな新興市場となりました。今ご説明したように歴史が長いため、ベンチャーではない古参の銘柄が見られるのも特徴として挙げられます。
最終的には、2013年に東証に統合され新JASDAQも東証が運営することとなりました。
2点目は、ジャスダックは2部構成であることです。
2部構成とは以下の2つの市場です。
- スタンダード市場…上場に実績がある程度必要で「信頼性、革新性、地域・国際性」がコンセプト
- クローズ市場…赤字でも来性重視が重視される、参入しやすい
単純に上場の条件の厳しさで言えば
東証一部>東証二部>ジャスダック(スタンダード市場)>マザーズ≧ジャスダック(グロース市場)
となっています。
例えば、上場条件では
- 東証一部直接上場…株主数2,200人以上、時価総額250億円以上
- 東証二部…株主数は800人以上、時価総額は20億円以上
- マザーズ…株主数200人以上、時価総額は10億円以上
となっています。
ジャスダックでは株主数200人以上、時価総額の基準は設けられていません。
しかし、基準の項目や、求められる企業像は市場によって違います。そのため、一概にジャスダックが上場しやすいとも言い切れないのです。
名古屋証券取引所「セントレックス(成長企業市場)」
セントレックスは、名古屋証券所の新興市場です。
セントレックスは、高い成長の可能性があると認められる企業を対象として、資金調達等の経営課題を早期に解決し企業の一層の飛躍を促す市場として開設された市場です。
名証の一般市場において上場条件として定められている「流通株式数」、「流通株式比率」、「純資産の額」および「利益の額または時価総額」について一定の実績は求められていません。
そのため、成長途中の新興企業も参入しやすい市場です。
札幌証券取引所「アンビシャス」
アンビシャス市場は、札幌証券取引所の新興市場です。
アンビシャス市場は新ビジネスに挑戦する成長企業あるいは従来型の企業の経営上の工夫から、成長が期待される企業に対して、円滑にかつ機動的に資金調達を行うことのできる場を提供するとともに、投資家に新たな投資機会を提供することを目的とした市場です。
札証市場で一定の要件が必要とされる「上場株式数」や「株式の分布状況における少数特定者持株比率」について一定の過去の実績は求められていません。
株式市場の基礎知識
Q-Boardがどのようなものか、ご理解しただけたのではないでしょうか。
最後にこの機会に知ってほしい株式市場の基礎知識をご説明します。
株初心者の方はぜひ参考にしてください。
証券取引所は取引時間が決まっている
証券取引所は「平日の日中」に開いています。
具体的な取引時間を以下の表にまとめたので、ぜひチェックしてください。
証券所 | 前場 | 後場 |
---|---|---|
東京証券取引所 | 9:00~11:30 | 12:30~15:00 |
名古屋証券取引所 | 9:00~11:30 | 12:30~15:30 |
札幌証券取引所 | 9:00~11:30 | 12:30~15:30 |
福岡証券取引所 | 9:00~11:30 | 12:30~15:30 |
後場は東京証券取引所のみ15時までとなっていますが、大きな違いはありません。
以下、初心者の方に絶対に押えてほしいポイントです。
- 立会時間(たちあいじかん)…取引ができる時間
日本の証券所の特徴は、お昼休憩があること - お昼休憩の前を「前場」(ぜんば)、お昼休憩の後を「後場」(ごば)という
- 証券取引所の休日…土日祝日(振替休日含む)、大晦日と正月三が日
まとめると、株式投資の取引時間は主に「平日の日中である」ということです。
株の注文は24時間可能
株式市場は今ご紹介したように、平日の日中にしかあいていません。
しかし、株の売買の注文自体は24時間可能なのです。
では、どうすれば24時間注文ができるのでしょうか。
そもそもの前提として、株式投資をするには証券所で口座を開設しなければなりません。
その際、実店舗がある「総合証券」と実店舗がないネット上の証券会社である「ネット証券」のどちらかを選ぶ必要があります。
ネット証券がおすすめです。
なぜなら、ネット証券であれば取引時間後も「買い注文」や「売り注文」を出すことが可能だからです。
つまり、ネット証券であれば、買い注文や売り注文といった注文は、ほぼ24時間かつ土日もすることができるのです!
ちなみに、取引時間後の注文は翌日の注文として扱われます。
また、「ほぼ24時間」とお伝えしましたが、それは前場終了時・後場終了時には注文が入り乱れるので受付を停止したり、システムメンテナンスの時間も注文ができないためです。
細かい時間は証券会社によって異なるので、ご自身の証券会社のホームページをチェックしてみてください。
Q-Boardのポイント
- Q-Boardとは福岡証券取引所の新興市場。上場条件が他の市場に比べて緩いのが特徴
- 福岡及び九州の発展を目的に開設された
Q-Boardの関連キーワード
・新興市場
・上場
・東証
・証券取引所