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投資信託はインサイダー取引の対象?インサイダーの基準と気を付けるポイントを解説

投資信託 インサイダー取引

投資信託はインサイダー取引に含まれるのか

では、まずは投資信託はインサイダー取引に含まれるのか、またそもそもインサイダー取引と投資信託はどのようなものか、丁寧にご説明していきます。

定義を理解していないと、知らないうちにインサイダー取引を行い、犯罪に手を染めてしまう可能性があります。「投資信託」「インサイダー取引」を理解しましょう。

投資信託はインサイダー取引に含まれない

結論から申し上げますと、投資信託はインサイダー取引に含まれません

日本取引所グループJPXは以下のように述べています。

ETF、株式投資信託は、原則として、インサイダー取引規制の対象である「特定有価証券等」ではありません。
もっとも、ETF、株式投資信託であっても、例えばいわゆる自社株投信のような、信託財産を特定の上場会社等の特定有価証券のみに対する投資として運用する旨を信託約款に定めた投資信託の受益証券や、同様の旨を規約に定めた投資法人の発行する投資証券などは、「特定有価証券等」に該当するものとして、インサイダー取引規制の対象となることがあります。

つまり、投資信託自体はインサイダー取引の対象になりませんが、その投資信託が自社の証券のみで構成されている場合は、インサイダー取引の対象になり得るのです。

基本的には投資信託はインサイダー取引にはなりませんが、場合にはよってはインサイダー取引の対象になってしまうと覚えておきましょう。

そもそもインサイダー取引とは?

次に、インサイダー取引がどのようなものかもう一度しっかり理解しておきましょう。

インサイダー取引…企業や株式市場の内部関係者が特別な地位を利用して得た情報を利用して、株式の売買で利益を上げること

そもそも、インサイダーとは「内部者」という意味です。

株式投資で利益を上げるには情報が非常に大切であることは皆さんご存知かと思います。情報によって株価は上下するからです。

なかでも、企業のなかに関わっている関係者しか知ることができない情報は、株価に直結する重要なものが多いですよね。言ってしまえば、スタバやタリーズのドリンクの作り方だって大切な内部情報なのです。

このような、会社内部の人間が関係者である立場を利用して株を売買して儲けることを「インサイダー取引」と言います

インサイダー取引は犯罪として規制されている

インサイダー取引を容認してしまうと、会社の上層部や内部関係者ばかりが市場で儲けてしまいます。これでは不公平ですよね。

そのため、インサイダー取引は犯罪として規制されています。

違法行為 罰則
公表前の企業の情報を知ることができる内部者が,情報が一般公開される前にその会社の株を売り買いすること 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(インサイダー取引によって得た財産は没収)
法人の場合は、5億円以下の罰金

インサイダー取引は非常に重い罪に問われます。

どれくらい重い罪かと言いますと、医療ミスや飲食店での食中毒などが原因で人が死亡した場合は、「業務上過失致死罪」で5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科されますが、インサイダー取引の罰則は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金です。

つまり、インサイダー取引は人の命が係わる業務上過失致死罪よりも重い罰則が科せられるのです。

投資信託とは?プロがお金を増やしてくれる仕組み

では、インサイダー取引を理解したところで、投資信託について詳しく解説していきます。

投資信託…投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、資産運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のこと。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される

投資信託は、その名の通り「信じて託す」投資です。資産運用のプロを信じて自分の資産を託し、投資が成功すれば、投資信託のお金、そして投資家が預けたお金も増えるのです。

投資信託は、投資家から集めた資金を元に「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3機関が役割を分担し、運用されています。

  • 販売会社…投資信託の募集や販売を行う。投資家から資金を集める
  • 運用会社…資金をもとにファンドを組んで信託銀行へ運用の指示をする
  • 信託銀行…運用会社の指示をもとに受託した資金を株式や債券に投資する

つまり、簡単に表すと以下のような位置関係となります。

投資家⇒販売会社⇒運用会社⇒信託銀行

このように3つの機関を通して得られた収益は、販売会社を通して分配金や基準価額へ上乗せされて、最終的に投資家へ還元される仕組みとなっています。

つまり、投資家自身が自ら取引を行うことはありません。

投資信託がインサイダー取引に含まれない理由

では、なぜ投資信託はインサイダー取引に含まれないのでしょうか。

理由として最も大きいのは上記でも申し上げたように、投資家自身が取引きを行うことがないからです。

そもそもインサイダー取引に該当するのは6つの要件をすべて満たした場合です。今からご紹介する6つの要件をすべて満たさなければ、インサイダー取引にはなりません。

その要件とは以下の6つです。

  1. 内部者であること
  2. 株式の発行もとであること
  3. 重要な情報であること
  4. 故意であること
  5. 公表前であること
  6. 株式投資を行うこと

それぞれ詳しくご紹介していきます。

①内部者であること

1つ目の要件は、「誰が」行ったかです。

インサイダー取引の対象となるのは、該当する上場企業の役員や社員が対象となります。

ここで最も注意してほしいことが、アルバイトやパート、派遣社員も範囲に含まれることです。

つまり、例えばあなたが学生でアルバイト先の企業の株を取引きして儲けた場合、インサイダー取引に該当してしまう可能性があるということです。

さらに、内部者の家族など近い立場にいる人も含まれると見なされた事例があるので、注意が必要です。

②株式の発行もとであること

2つ目の要件は、株取引を行った人物がその株式の発行元に関わりを持っていることです。

先程ご紹介したようにアルバイトやパート、派遣社員であっても、取引をした株の発行元に関わりを持っていればインサイダー取引に該当してしまうということです。

また、上場会社の本体だけではなくその子会社やグループ全体などなども対象になると覚えておきましょう。

投資信託は自分で取引を行うわけではないので、情報の使いようがありません。そのため、インサイダー取引の対象外となるのです。

③重要な情報を知っていること

3つ目の要件が、重要な情報を知っていることです。

重要な情報とは、インサイダー取引に役立つ内部情報や事実のことです。

例えば、企業の売却・買収、業務提携はもちろん、新製品情報や配当の積み増しなど。株価上昇の要因となり得る情報はすべてインサイダー取引の対象となります。

反対に、業績悪化や破綻といった株価下落の原因となる情報を知ったうえで、手持ちの株を売ったり信用売りをすると、こちらもインサイダー取引となるので注意してください。

この点、投資信託であっても自社の情報を知ったうえで、自社の証券が入った信用取引を買うとインサイダー取引に該当する可能性があるので気を付けてください。

④故意であること

4つ目の要件は、故意であることです。

つまり、前述したよう関係者しか知りえない内部情報を知ったうえで株取引を行うとインサイダー取引の対象となります。

特に注意してほしいのがインサイダー取引だった意識はないが行動はインサイダー取引に該当してしまう場合です。

具体例をあげてお話いたします。

「うっかり」インサイダー取引の具体例

大学3年生の花子さんは、最近株式投資を始めました。どの会社の銘柄を買おうか迷っていたところ、バイト先のカフェがとても美味しそうな新商品を発売することを店長から聞きました。ちなみに世間に公開されるのは3週間後だそうです。花子さんは、「この新商品は絶対ヒットする!」と思い、応援もかねてアルバイト先の会社の株を買いました。同じバイト先の友達にも「新商品が出るんだって」と伝えたところ、その友達も株を買いました。

この話を読んで「え、これで犯罪になるの…?」と思われる方が大半でしょうが、これは「インサイダー取引」に該当します。

この無自覚なインサイダー取引が最も気を付けなければならないケースです。グレーな取引はやらないのが無難です。

投資信託でも同様です。内部情報を知っている可能性があるとみなされてしまったら、たとえ知らなかったとしてもインサイダー取引に該当してしまう場合があります。自社の証券が入った信託投資には投資しないようにしましょう。

⑤公表前であること

5つ目の要件は、公表前であることです。

インサイダー取引に役立つ重要な事実を知った人が、その情報が一般の人の目に触れる前に株取引をすると、インサイダー取引となります。

反対に言えば、その重要な事実が公表された後であればインサイダー取引にはならないということです。

ちなみに、ここでいう公表には、2社以上の報道機関が一般の人たちの目に触れる方法で報道してから12時間後という定義があります。

この点、投資信託は自分のタイミングで取引を行えないので、インサイダー取引には該当しません。

⑥株式投資を行うこと

6つ目の要件は、株式投資を行うことです。

そもそも株取引を行って利益が出ることが問題なのですから、たとえ内部情報を知っても株取引をしなければ、インサイダー取引にはなりません。

つまり、投資信託であれば自分で取引を行うわけではないので、インサイダー取引に該当する可能性が低いということです。

投資信託は基本インサイダー取引にはならない

いかがでしょうか。

ポイントとして押さえてほしいことは、以下の2点です。

  • 基本的に投資信託はインサイダー取引に該当しないこと
  • 例外的に自社の証券が多く含まれている投資信託の場合は、インサイダー取引に該当してしまう可能性もある

上記2点を押さえて、投資信託を行うようにしてください。

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