投資信託

投資信託の主なリスクは?リスクを軽減するポイントも徹底解説

編集者:Money Theory編集部
投資信託の主なリスクは?リスクを軽減するポイントも徹底解説

投資信託は比較的リスクが低い投資方法だと言われています。

しかし、だからといってノーリスクというわけではありません。投資には少なからずリスクが付きまとうものです。

リスクを理解し対処法を知ることで、リスクは軽減することが可能です。

そこで今回は、投資信託にはどのようなリスクがあるのか、またリスクを軽減させるにはどうしたらよいのか、詳しく解説していきます。

投資信託は比較的リスクとリターンの関係性

まずは前提として、投資信託がどのようなものか、またリスクとリターンの関係性をご説明いたします。

「もう理解している」という方は読み飛ばしていただいて構いません。

そもそも投資信託とは?プロが運用してくれる投資

投資信託…投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、資産運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品のこと。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される

投資信託は、その名の通り「信じて託す」投資です。資産運用のプロを信じて自分の資産を託し、投資が成功すれば、投資信託のお金、そして投資家が預けたお金も増えるのです。

投資信託は、投資家から集めた資金を元に「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3機関が役割を分担し、運用されています。

  • 販売会社…投資信託の募集や販売を行う。投資家から資金を集める
  • 運用会社…資金をもとにファンドを組んで信託銀行へ運用の指示をする
  • 信託銀行…運用会社の指示をもとに受託した資金を株式や債券に投資する

つまり、簡単に表すと以下のような位置関係となります。

投資家⇒販売会社⇒運用会社⇒信託銀行

このように3つの機関を通して得られた収益は、販売会社を通して分配金や基準価額へ上乗せされて、最終的に投資家へ還元される仕組みとなっているのです。

投資信託のリスクとリターンは表裏一体

投資信託だけではなく、世の中の定石として言えるのですが、リスクとリターンは表裏一体です。

例えば、同じ投資信託でも新興国に投資するような商品は「リスクが大きい分リターンも大きい」です。

反対に、国内に投資するような商品は「リスクが小さい分リターンも小さい」です。

つまり、大きな利益を得られる可能性が高い場合、その分リスクも大きくなり、損失の可能性も高まる、ということです。

一言に投資信託と言っても、その内容は様々です。商品内容によってリスクが大きいものもあれば小さいものもあります。投資信託のリスクとリターンの程度を考え、ご自分に合った商品を選ぶことが大切です。

投資信託の気を付けるべき主なリスク

では、具体的に投資信託にはどのようなリスクがあるのでしょうか。

ここでは、投資信託において気を付けてほしい主なリスクを7つご紹介いたします。敵を制すには敵を知ることから始めましょう。

投資信託におけるリスクの一覧としては以下の通りです。

  1. 株価変動リスク
  2. 信用リスク
  3. 金利変動リスク
  4. カントリーリスク
  5. 流動性リスク
  6. 為替変動リスク
  7. REITの価格変動リスク

それぞれ詳しくご説明いたします。

①株価変動リスク

投資信託のリスク1つ目は、株価変動リスクです。

株価変動リスクは、投資信託だけでなく株式投資においてもよく上げられるリスクです。

株価は定価という概念がありません。常に、国内・海外の経済情勢や政治情勢、企業の業績を反映し、変化し続けています。

そのため、例えば1株1000円で買った銘柄が1株800円となってしまうこともあり、結果的に損をしてしまう可能性があります。

②信用リスク

投資信託のリスク2つ目は、信用リスクです。

少し難しいので、かみ砕いてご説明いたします。

投資信託は、もともと利息や償還金がいくら程度もらえるかが設定されています。

しかし、債券や株式の発行もと(企業や国)が財政難などを理由に設定されていた金額を払えなくなってしまう場合があり、これが信用リスクです。

③金利変動リスク

投資信託のリスク3つ目は、金利変動リスクです。

金利変動リスクとは、金利が変動する可能性のことです。

一般的に、市場金利が上昇すると債券価格は下落します。反対に、市場金利が下落すると債券価格は上昇します。

金利と債券価格は反比例であると認識しておきましょう。

④カントリーリスク

投資信託のリスク4つ目は、カントリーリスクです。

投資信託のなかには、海外に投資できる商品も多く存在します。そのため、投資の対象国や地域で、政治や経済状況に変化が生じてしまった場合、市場が想定外に大きく変動することがあります。

具体的には、外国の外貨不足などの経済的要因、外国政府の資産凍結などの政治的理由、外国の社会情勢の混乱など様々あります。

上記のような場合、予定通りの運用はできなくなってしまうので、利益にも当然悪い影響が出てしまいます。

⑤流動性リスク

投資信託のリスク5つ目は、流動性リスクです。

流動性とは、有価証券等の売買のしやすさです。

株式売買は売り注文と買い注文の需要と供給が一致することで初めて成立します。

ある証券を売りたい人が多くいても、買いたい人がいなければ売買が成り立ちません。この状態を流動性が低いと言います。

流動性が低い銘柄だと、売りたい値段よりも低い値段でしか売ることができません。これでは儲けることは難しいですよね。

流動性が高い証券が含まれている商品を選んだ方が無難だということです。

流動性が高い…人気があり売買が盛ん
流動性が低い…任意がなく株を売るのが困難

⑥為替変動リスク

投資信託のリスク6つ目は、為替変動リスクです。

為替変動リスクとは、為替レートが変動する可能性のことです。

気を付けてほしいのは、海外の資産に投資する投資信託の場合、一般的には円高になればマイナス、円安になればプラスの影響があります。

海外の国や資産の債券や株式が含まれている投資信託は、基本為替変動リスクがあることを覚えておきましょう。

⑦REITの価格変動リスク

投資信託のリスク7つ目は、REITの価格変動リスクです。

REITとは、不動産を投資対象とする投資信託のことです。そのため、REITの価格は、不動産市況や金利動向など、不動産を取り巻く様々な環境に影響をうけます。

そのため、REITを組み入れた投資信託の場合、REITの価格が下落すると基準価値まで下落してしまう要因となります。

投資信託のリスクを軽減させる3つのポイント

投資信託には、実は様々なリスクがあるとお分かりいただけたのではないでしょうか。

残念ながら、上記のリスクを全く無くすことはできません。しかし、正しい知識のもと対処法を実行することで、リスクを軽減させることは可能です。

そこでここからは、投資信託のリスクを軽減させる2つのポイントを徹底解説していきます。

具体的には、以下の2点です。

  1. 長期投資
  2. 分散投資をする

それぞれ詳しくご説明していきます。

①長期投資

投資信託のリスクを軽減するポイント1つ目は、長期投資をすることです。

基本的にどの投資方法でも、短期投資より長期投資のほうがリスクは軽減します。

なぜなら、長期保有するほうが短期保有に比べて変動リスクが緩やかになる傾向があるからです。

短期間では、運用成績に大きなばらつきが見られることが多いですが、長期保有によりリターンが平均に近づきます。

特に初めて投資信託を行う初心者の方は、長期投資を行うことをおすすめします。

②分散投資を行う

投資信託のリスクを軽減するポイント2つ目は、分散投資を行うことです。

いきなり「分散投資」と言われても何のことだか分からないと思います。そこでここからは、分散投資がどのようなものか、具体的に何を分散させればいいのか、ご説明していきます。

そもそも分散投資とは?リスク管理の基本

では、そもそも分散投資とはどのようなものなのでしょうか。

簡単にご説明すると以下のようになります。

分散投資…あえて一つのものに集中させず異なる性質のものに分散して投資すること

では、より詳しく解説していきます。

投資信託にリスクはつきものだからです。

しかし、リスクを把握し対策とることでリスクを軽減させることはできます。

リスクを軽減させる方法の基本が今回ご説明する「分散投資」です。

分散投資とは、その名の通り資産を様々な形で分散させることで、株式投資で起こりうるリスクを低減させる方法です。

例えば、100万円の資産を投資する場合、

  1.  A銘柄:100万円
  2.  A銘柄:40万円、B銘柄:30万円、C銘柄:30万円

では、②の方が資産分散できているため、万が一値下がりした際のリスクが低減されますよね。

一極集中投資はリターンが大きくなる可能性は高まりますが、その分失敗したときのリスクも大きくなることを絶対に忘れてはいけないのです。

では、具体的に何を分散投資すれば良いのでしょうか。

今回は、資産ではなく投資信託に絞ってお伝えしていきます。

投資信託において分散するものは、主に「時間」と「資産」の2つです。

それぞれ具体的にご説明していきます。

投資する対象を分散する「資産分散」

分散投資の方法1つめは、投資する対象を分散する「資産分散」です。

前提として、「資産三分割」という考え方をご紹介します。

資産三分割とは、全財産を「現金や預金」「不動産」「株などの有価証券」として三分の一に分けること、つまりバランスよく資産運用をするということです。

例えば、全財産を株式投資すべてにつぎ込んだ場合、うまくいけば大きな利益となりますが失敗したら全財産を失うことにもなりかねません。

1つに資産を集中させるのではなく、バランスを考えることが大切です。

そして、この資産三分割の考え方は投資信託をやるうえでも重要な考え方です。

投資信託をやる際に、1つの投資対象に全財産をつぎ込むのは大変危険です。

もし1つの投資対象の値動きが予測とは反してしまった場合、大きな損失を被ることになります。

しかし、複数の銘柄に投資していれば、もし1つの投資対象で損失を出してしまっても、他の投資対象のファンドで損失分をカバーすることができるようになります。

自身の資産をすべて失わないためにも、対象先が異なる投資信託商品を買うことでリスクを分散させるようにしましょう。

投資する時間を分散する「時間分散」

分散投資の方法2つめは、投資する時間を分散する「時間分散」です。

つまり、1つの銘柄に対し、一度に買うのではなく複数回に分けて買う方法です。

株価は常に一定ではなく毎秒ごとに変化し続けています。

つまり、先ほどご紹介した買ったときよりも値下がりしてしまう「株価変動リスク」が常に潜んでいるのです。

そこで、1つのファンドを複数回に分けて買うことで、株価変動リスクを軽減させるのです。

この投資方法を「ドル・コスト平均法」といいます。

ドル・コスト平均法…株式投資などの際に、定期的に一定金額分を買っていく方法。一定金額分を買うことにより、高値のときは少ししか買わず、安値のときに多く買うことができる

具体例を出してご説明していきます。

同じファンド20万円分を一度もしくは積立で購入した場合の平均購入価格を比較してみます。

1か月目 2か月目 3か月目 4か月目 購入金額合計 平均購入価格
基準価格 10,000円 12,000円 7,000円 11,000円 ーー ーー
一度に購入 200,000円 200,000円

(200,000口)

10,000円
積立で購入 50,000円 50,000円 50,000円 50,000円 200,000円

(208,551口)

9590円

このドル・コスト平均法を使うと、何がメリットになるのでしょうか。

答えは、基準価額が高い時には購入口数が少なくなり低い時には購入口数が多くなることです。つまり、平均の購入価格が時間分散したほうが安くなるのです。

ちなみに、このドル・コスト平均法が最も効果を発揮するのは横ばいトレンドのときです。

株を株価上昇時には少なく下落時に多く買うことで、平均単価を下げつつトレンドの転換を待つことができのです!

ぜひ試してみてください!

投資信託のリスクを理解して上手に向き合おう

いかがでしたでしょうか。

投資信託には投資信託ならではのリスクがあるとご理解していただけたのではないでしょうか。

しかし、上記でご紹介したように、投資信託のリスクを理解して適切な対処をすることで、確実にリスクを減らすことは可能です。

ぜひ今回の記事も参考にしながら、投資信託を始めてみてはいかがでしょうか。