AMC Entertainment Holdingsはアメリカの映画館などの展示事業を手掛けている会社です。
2017年ごろから株価が停滞し続けて、コロナショックでついに倒産するかという数値まで落ち込んでから、数日で株価が急騰したことで注目を集めました。
2020年5月11日朝の取引では4.1USドルから一時最高6.41USドルまで上昇しています。
株価の急激な変動はそれほど起こることはありませんがAMCはなぜこれほどまでに株価が急騰したのでしょうか?
この記事ではAMCの株価が急騰した理由と今後の見通しについて解説していきます。
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AMCの株価が急騰した理由
AMCの株価は2017年ごろから落ち込んでいましたが、2021年5月に急騰しました。
コロナショックがあったのにも関わらず、このタイミングで株価が急騰した理由としては、次の理由があります。
- 株主優待制度の導入
- Amazonが買収するデマ
- ミーム株として注目を集めた
株価が急騰する場合、たいていの場合はいくつかの理由が絡み合って高騰します。
以下にそれぞれ解説していきます。
アメリカでは珍しい株主優待制度の導入
AMCの株価が急騰した理由として、アメリカでは珍しい株主優待制度の導入が挙げられます。
日本では株主優待制度はかなり手厚く一定数以上の株を保有していると株主優待が受け取れますが、米国株ではかなり珍しい制度です。
AMCは株式を保有する人全員に無料でポップコーンを販売すると言った、個人を囲い込む株主優待を導入しました。
アメリカでは珍しい株主優待制度だったこと、株式を保有していれば誰でも貰える制度だったことも重なり非常に注目を集め株価が高騰しました。
AMCの株主優待制度の導入は「奇策」と報道されており、それまでの米国株ではほぼあり得ない手段だと言ってもいいでしょう。
結果的に、奇策がハマり倒産寸前から株価の高騰を成功しています。
Amazonが買収するデマ
経営危機に陥ったAMCをAmazonが買収するのではないかという報道がされたことも、AMCの株価が急上昇した理由の一つです。
実際の記事では情報源も書かれておらず、「話し合いが成立するかどうかは不明」と書かれているため本当かわからない記事でしたが、信じた人は多く株価は上昇しました。
Amazonが映画事業を手掛けるAMCを買収しようとするのはある程度現実味があったため、報道までされると真実味が高かったのでしょう。
実際には買収されることはなかったですが、デマを信じた人による株価の上昇が起こりました。
ミーム株として注目を集めた
ミーム株とは、企業の業績とは関係なく、SNSやインターネットなどで拡散されて短期間で株価が急上昇した銘柄を指します。
AMCも株主優待とAmazon買収のデマにより、短期間で株価が急上昇したためミーム株として注目されました。
ミーム株のすごいところは、事情を知らない人も株を購入することでさらに株価が上昇することです。
人気が人気を呼ぶ、と言ってもいいでしょう。
AMCは株式優待とAmazon買収デマが重なり非常に注目を集めたため、話題性は抜群でした。
何故株価が上昇しているかもわからず株を購入する人もいたため、一時最高6.41USドルまで株価が上昇しました。
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AMCの業績
AMC Entertainment Holdingsの2019年~2021年の業績は次の通りです。
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
売上高 | 5,471 | 1,242 | 2,527 |
営業利益 | 136 | -4,102 | -930 |
経常利益 | -171 | -4,529 | -1,280 |
最終利益 | -149 | -4,589 | -1,269 |
最終1株益 | -1.44 | -39.15 | -2.66 |
1株当たりの純資産 | 16.54 | -6.35 | -3.46 |
自己資本比率 | 21.6 | -27.8 | -16.5 |
2020年のコロナショックで大きく売上高と利益は下落しましたが、再注目を集めた2021年である程度回復しています。
しかしそれでも以前のような水準に戻ったわけではなく、業績自体はコロナショック明けの他の企業とたいして変化はありません。
このような会社の株でも、ミーム株として注目されれば株価の急騰が起こるので、日々の情報収集は重要です。
売り上げが大きく伸びたわけではない
AMCは株価が急騰しましたが、売上自体が大きく伸びたわけではありません。
むしろ株価が急上昇したおかげで再び人気が出て2021年の売上が向上したともいえます。
AMCは典型的なミーム株で、業績ではなく話題性にひかれて株を購入した人が多かったことが分かります。
実際には株主優待の導入で利益も減っているでしょう。
ですが株価が急上昇すれば動かせる資本が増えるので、再び売り上げを伸ばすことも可能です。
いまだに自己資本比率はマイナス
自己資本比率とは、返済不要な自己資本が全体の資本のうち何%を占めるかという割合です。
自己資本比率が少なければ少ないほど他人の資本で賄ってもらっていることになるので、倒産しやすい会社ということになります。
AMCは株価が急騰しましたが、自己資本比率はマイナスのままです。
株価自体は急騰しましたが、今後いきなり倒産する可能性もあるので、株価だけで株を購入しないように気をつけましょう。
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AMCの配当実績
AMCの配当実績は、次の通りです。
発表日 | 支払額 | 利回り |
---|---|---|
2018-11-01 | 0.2$ | 1.4% |
2019-10-25 | 0.2$ | 2.44% |
2020-02-27 | 0.03$ | 0.61% |
2020年の配当で大きく配当利回りが下がったため、株を手放す人が非常に多かったです。
2021年以降の配当は0$となっているので、今後業績が回復した場合に再び配当が貰えるようになる可能性はあります。
現時点では配当実績がないので、配当金目当てで購入する株ではありません。
株価急騰後も配当は0$のまま
配当金をいくら分配するかは会社によって異なるので、利益を出している会社が配当金を出さないこともありますし、反対に利益がなくても配当金を配る会社もあります。
AMCの株価自体は急上昇しましたが、売上高が回復したわけではなく依然として赤字決済が続いています。
そのため株価が急騰した2021年以降も配当金が0$のまま変わっていません。
今後の業績によっては、配当金が出る可能性はあります。
AMCの株価は2022年現在下落している
ミーム株として非常に注目を集めたAMC株ですが、2022年現在株価は徐々に下落しています。
アメリカでは珍しい株主優待などで注目を集め一時的に株価は急騰しましたが、実際の業績自体は赤字です。
自己資本比率も低くいつ倒産してもおかしくないので、これ以上は上がらないと判断した株主が徐々に株を売却していき株価が下落しています。
一時は62.55ドルまで上昇した株価ですが、徐々に下落していき現在は15.71ドルとなっています。
株価が急上昇する前が9ドル前後だったことを考えると、再び似たような水準まで下がっていると言っても過言ではないでしょう。
コロナショックが終われば再び上昇もあり得る
AMCは映画などの展示事業を手掛けている会社なので、コロナショックの影響をかなり受けています。
業績を見てもわかりますが、2019年から2020年にかけて売上がかなり下がっています。
そのため、反対に考えればコロナの影響が少なくなっていけば再び売り上げが上昇すると考えられます。
業績が回復すれば再び株価も上昇することが多いので、コロナ後の動き、コロナ禍での対策に期待です。
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AMCのようなミーム株を狙うのは危険
ミーム株はSNSなどで拡散されて急激に株価が変動する銘柄のことを指しますが、ミーム株を狙って購入するのは避けた方が良いでしょう。
ミーム株の取引きでは、次のような危険があります。
- 株価の変動が激しい
- 米国株は株価の株価の変動ストッパーがない
ミーム株の株価急上昇は非常に魅力的ですが、デメリットが大きいのであまりお勧めできません。
以下にそれぞれ解説していきます。
株価の変動が激しい
ミーム株は短期間での株価の変動が非常に激しいので、リスクが大きいです。
あくまでミーム銘柄の需給バランスは、インターネットで作られた一過性のモノです。
インターネットで発信され、情報や有名人の発言により需給バランスが急激に崩れ、株価が大きく変動します。
AMCのように株価が急上昇することもあれば、反対に急落する可能性もあります。
またAMCのように業績がそれほど良くない会社の場合、株価が一時的に上昇してもすぐに下落することが予想されます。
リスクが大きい銘柄なので、確実に利益を出したい投資には向いていません。
米国株は株価の株価の変動ストッパーがない
AMCのような米国株には、株価の変動ストッパーがありません。
そのため利益を出せれば大きいですが、反対に負けたときのリスクは計り知れないものになります。
AMCは1日で90%近く株価が変動したほどなので、逆に下がることもあり得ます。
日本株では一応ストッパーとなるストップ高とストップ安があるので、米国株ほど急激に株価が変動することはありません。
しかしそれでも1日数十%株価が変動することはあるのでどちらにせよミーム株は購入しない方が良いでしょう。
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AMCの株価は急騰したがミーム株の購入は避けるべき
AMCの株価は話題性が多く短期間で急上昇したミーム株です。
業績に関わらず株価の変動が起こりましたが、実際にミーム株を購入するのはリスクが高すぎるので避けた方が良いでしょう。