ウォーレン・バフェット氏が大株主となっているクラフトハインツの業績が低迷しているという情報を聞いたけれど実際はどうなの?と考えている方のためにこの記事を書きました。
クラフトハインツは2015年の合併以降、様々な要因から業績が低迷しており、今後も調子の悪い期間は続くと考えられます。
そこで、この記事ではクラフトハインツの株価・決算情報・今後の見通しについて解説していますので、参考にしてください。
クラフトハインツとはアメリカの大手食品会社
2015年に投資会社のバークシャー・ハサウェイと3Gキャピタルがクラフトフーズとハインツの合併を発表し食品メーカーランク世界第5位のクラフトハインツが誕生しました。
合併したクラフトフーズとハインツはそれぞれが100年以上の歴史を持つ大企業でしたが、ウォーレン・バフェットがCEOのバークシャー・ハサウェイと投資会社3Gが半分ずつ出資することでハインツを買収し合併が実現したのです。
現在でもバークシャー・ハサウェイが大株主となっているため、投資家の間ではクラフトハイツはバフェット銘柄であると言われています。
クラフトハインツの株価の現状
クラフトハインツの株価の現状は下表に記載のとおりです。(2021年4月27日現在)
クラフトハインツの株価の現状 | 用語解説 | |
---|---|---|
株価 | 40.13ドル | 株式市場において実際に取引が約定した際の取引価格のこと |
PER | 13.19倍 | 株価が一株当たり純利益の何倍の値段で取引されているかを表す投資尺度こと |
配当利回り | 3.99% | 一株当たりの配当を一株当たりの価格で割った数値のこと |
基本的に、食品メーカーは急激に成長することがないためPERが13.19倍となっていますが、配当利回りは約4%と生活日必需品セクターの中では高い数値です。
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クラフトハインツの過去の株価チャート
下表はクラフトハインツの株価の過去のチャートです。
2015年の合併から株価は下落傾向にあり、2018年の決算では大規模な減損処理を行ったことで60ドル近くあった株価が30ドルにまで下落しています。
減損処理とは、固定資産に関する会計処理方法で投資した固定資産からその価格分の回収が見込めない場合に、資産の額を回収できる水準まで引き下げることです。
減損処理の際に、引き下げられた差額は当期の損失として処理されます。
また、コロナショックによる外出規制後の株価は回復傾向ではありますが、S&P500の回復力に比べるとそのパフォーマンスは劣るといったところです。
緊急事態でも需要の絶えない食料品販売は安定しているという人もいますが、ハイテク銘柄を含むS&P500に比べパフォーマンスが悪いことを考えると銘柄それぞれの特徴を踏まえ投資先を選別することが勝率の向上につながるといえます。
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クラフトハインツの2020年第4四半期決算
クラフトハインツが2021年2月11日(木)に2020年第4四半期決算を発表しました。
2020年第4四半期決算 | 用語解説 | |
---|---|---|
売上高 | 69億3900万ドル | 企業が商品・サービスなどを販売して得た代金のこと |
純利益 | 10億3200万ドル | 企業が得た収益からすべての費用を差し引いた純粋な利益のこと |
EPS | 0.80ドル | 当期純利益を発行済株式総数で割った1株当たりの純利益のこと |
クラフトハインツの売上高は前年同期に比べ6%増となり、市場予想平均であった68.2億ドルに対し69.39億ドルを記録しました。
株価の調子が良くないと言われているクラフトハインツですが、コロナウイルスの影響による外出自粛は食料品の需要を高める要因となったようです。
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クラフトハインツの配当実績をグラフでみる
下表はクラフトハインツの配当実績をグラフで表したものです。
米国株は、基本的に四半期ごとの配当支払いでクラフトハインツは3、6、9、12月に配当金が支払われます。
過去6年間の配当実績をみると、2016年以降業績の低迷に伴い配当実績も減少傾向にあることが分かります。
食品業界は業績が安定する傾向にありクラフトハインツの配当利回りは5%を超えているため高配当銘柄であることは間違いないのですが、ここまで実績が低下しているのを見ると安心できる投資先とはいいがたいでしょう。
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事業別にみるクラフトハインツの売上高
下表は事業別に見たクラフトハインツの売上高になります。
クラフトハインツの事業別売上高 | |
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事業 | 売上高 |
調味料、ソース | 64億3900万ドル |
チーズ、乳製品 | 54億8200万ドル |
インスタント食品 | 23億1000万ドル |
冷凍食品 | 25億7800万ドル |
肉と魚 | 26億900万ドル |
飲料 | 15億800万ドル |
コーヒー | 14億2300万ドル |
子供用栄養食 | 7億5500万ドル |
デザート | 9億5600万ドル |
ナッツ、スナック | 9億37万ドル |
その他 | 12億3500万ドル |
クラフトハインツはケチャップが有名なハインツ社とチーズが有名なクラフト社が合併することで出来た企業であり、売上高の数値からそれぞれの強みは合併後も色濃く残っていることが分かります。
それぞれが合併前から販売していた代表的商品は世界中で人気のため、多くの方が目にしているはずです。
上の写真は、ハインツ社が1876年から製造販売しており現在でも世界中で人気なトマトケチャップになります。
ハインツ社のトマトケチャップは普通のものに比べ味が濃いのが特徴で、1本に約10個ものトマトが使われているようです。
また、このケチャップは日本の飲食店などで使わていることもあり、現在でもクラフトハインツの売り上げを先導している人気商品といえます。
こちらはクラフト社が1945年に販売開始したパルメザンチーズです。
世界中で人気のこの商品ですが、日本においても大人気でほとんどのスーパーやコンビニで販売されています。
事業別の売上高を見ても分かるようにチーズ、乳製品はクラフトハインツの売り上げを調味料、ソースに続いて先導しているようです。
地域別にみるクラフトハインツの売上高
下表は地域別に見たクラフトハインツの売上高になります。
クラフトハインツの地域別売上高 | |
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国名 | 売上高 |
アメリカ | 183億5300万ドル |
カナダ | 21億9000万ドル |
イギリス | 10億2100万ドル |
その他 | 46億6800万ドル |
上の表から分かるようにクラフトハインツの売り上げはその大部分をアメリカが占めていますが、これはクラフトハインツの本社がアメリカ合衆国のイリノイ州シカゴに位置しており、主要な製造工場がアメリカにあることが大きな要因です。
クラフトハインツの株価の不調は今後も続くと予想
クラフトハインツは生活費必需品の販売を行っているため不況に強いと言われており、またウォーレン・バフェット銘柄であることから人気も高い銘柄でしたがこの記事で解説したように業績は悪化し株価も下落傾向にあります。
この出来事から分かるのは、世界中で知られている程有名な調味料や食品を販売している大企業ですらその価値を維持し続けることは難しいという事です。
さらに、今後はアマゾンのように食料品を電子上で取引できることが当たり前になっていくと安定だと考えられていた食料品メーカーの業績もどのようになるかわかりません。
このような理由からクラフトハインツの株価低迷期は今後もしばらく続いていくと予想できます。