株式で投資運用していると「シーゲル流」という言葉を耳にしたことがあると思います。
シーゲル流は米国投資家の間で実践している人が多く、国内でもシーゲル流の理論が浸透しつつあります。
今回は、シーゲル流の株式投資はどんなものなのか詳しく解説していきます。
「シーゲル流の株式投資をはじめてみたい!」「シーゲル流の理論を学びたい」という人は必見です。
シーゲル流の魅力だけでなく注意するポイントやデメリットも解説するので、リスクを把握して投資戦術に組み込んでみてください。
シーゲル流株式投資とは?
引用元:日経マネー
シーゲル流はジェレミー・シーゲルという経済学の名門である米国ペンシルベニア大学の減益教授が唱えている理論です。
ジェレミー・シーゲル氏は、米国の株式市場において有名な専門家で現在70際を超えていますが、米国メディアに出演するなど活動的な姿勢を見せています。
シーゲル流を簡単に説明すると、ディフェンシブ銘柄への長期投資の優位性をデータから証明し、長期投資を浸透させた理論です。
過去200年のデータから証明しているので、根拠も強く米国投資家の間では多くの人が実践に取り入れています。
長期投資で利益を得る理論
シーゲル流は基本的に株を長期保有する手法で、短期的に成長する銘柄というより安定している高配当株を保有します。
国内の市場では数十年前、短期投資が主流でしたがシーゲル流は短期投資の理論とは異なる展開で利益を効率良く得ていく理論です。
国内でもシーゲル流の支持者は非常に多く、ここ数年の米国株のパフォーマンスが良いことも後押しされシーゲル流に大きな説得力を与えています。
シーゲル流株式投資の投資理論
シーゲル流の株式投資は、大きく分けて3つの理論に基づいて運用します。
シーゲル流のポイント
- 株は高い収益を得られる投資
- 配当金を再投資して利益効率を上げる
- 不景気時でも安定している企業銘柄を選択する
シーゲル流の理論をまとめた「株式投資の未来」という本があり、上記のポイントをより詳細に書かれています。
1950~2003年までの豊富な資料データに基づいて、株式投資の優位性や配当を再投資に回す重要性を解説しているので、シーゲル流をより詳しく知りたい人は必見です。
現代の投資家にも大きく影響を与える一冊となっているので、シーゲル流の株式投資をしっかり学びたい人は購入を検討してください。
株式投資が圧倒的に高い収益を得られる
シーゲル流では、株や債券・金などのトータルリターンを比較して株が最も高い収益を得られることを示しています。
シーゲル氏のデータによると、1802年に株式投資した1ドルは2001年に597,485ドルになっています。
株式 | 597,485ドル |
---|---|
長期国債 | 1,072ドル |
短期国債 | 301ドル |
金 | 1.39ドル |
通貨 | 0.07ドル |
短期的に株式相場を見ると、荒い値動きをしていますが長期的パフォーマンスを見ると他の投資より圧倒的にリターンが大きいことがわかります。
株式は経済状況に株価が左右されてしまいますが、シーゲル流での理論は長期的目線でみると回復してしっかりリターンを生み出すということです。
実際にコロナショックで暴落した株価も1年経った今では回復傾向にありますし、短期的落下に焦らず保有していれば平均して年率7%のリターンを狙えるということです。
配当金を再投資して投資効率を上げる
高い配当金をだしている成熟企業に投資し、配当を投資に回すとリターンが期待できるという理論です。
実際にシーゲル氏が著者の「投資の未来」ではキャピタルゲインの比率と配当金を再投資に回した場合のトータルリターンの比率を紹介しています。
年平均のリターン差が2.5%程度となっていますが、30年以上繰り返すと結果的に利益率が30倍以上差になった結果がでました。
これは株式投資の長期投資は、配当金を再投資に回すのがベターで、トータルリターンを高める上で重要ということを示しています。
不景気時にも業績が落ちない高配当銘柄を長期保有する
シーゲル流では、高配当株が重要ということを何度も説いています。
高配当株の場合、下落相場でも高い利回りを積みますことによって損失を抑え、株価が上昇した時の利益回復が早くなります。
更に上昇相場では、配当を投資に回すことによって収益が加速する為最も効率の良い長期投資が実現します。
成長株に投資して一攫千金を狙おうとしている投資家が多く、実際に成長株を手にして数億円得た投資家もいますが、企業が倒産せず成長を見続けられる企業を見つけるのは非常に難しいです。
実際リーマンショックが起きた時に新興企業が消えてしまいました。
シーゲル流は、不景気時にも業績を落とさない銘柄を長期保有して配当を投資に回すことで結果的に成長株に投資するよりリターンを期待できる理論になっています。
シーゲル流の株式投資は高配当株がポイント
シーゲル流の株式投資は高配当株がポイントで、これから成長する株ではなく安定して高配当を出し続けている成熟企業株に投資します。
米国株式は配当利回りも高く、配当金を投資に回し続けるとリターンをより大きく成長させることができます。
20年で400倍になったアマゾンなど一攫千金を狙える株がありますが、アマゾンでもITバブル崩壊時に株価を95%落としているので、保有を継続すると考えられる投資家は居ません。
どんな相場状況でも安定して居る高配当銘柄に投資することこそ、長期投資で成功するコツとなります。
シーゲル流株式投資の注意点
シーゲル流は魅力的な理論展開で、実践している投資家も多くいますが、いくつか注意すべきポイントがあります。
どんな完璧に近い理論であっても、損益がマイナスになってしまう期間は必ずあります。
コロナショックやリーマンショックのように、予想外の暴落で安定している企業銘柄も下落しています場合があります。
シーゲル流は長期投資にとって非常に有効的な理論ですが、欠点も存在することを把握してどのような場面でもリスクヘッジできるようにしておきましょう。
分散投資が重要
シーゲル流で注意すべきポイントは、シーゲル流の投資戦術で投資する銘柄を1本化しないということです。
銘柄を1本に絞ってしまうと、1つの企業がだめになっただけで資産をすべてうしなってしまいます。
よって分散投資で最低でも10~20銘柄の購入をおすすめします。
シーゲル流株式投資のメリット・デメリット
シーゲル流の株式投資にはメリットもありますが、デメリットも存在します。
メリットをしっかり有効活用させつつデメリット面をカバーできれば利益効率を向上できるので、シーゲル流で長期投資を考えている人は、メリット・デメリットを把握してどのような場面でも対応できるようにしておきましょう。
【メリット】長期保有で利益を狙える
シーゲル流のメリットは、長期保有でかなりの利益を狙えることです。
数十年単位でのリターンをみているので、短期的利益は望めませんがトータルリターンを見るとかなり大きな利益になります。
短期投資よりもリスクを抑えて運用できるので、初心者でも手軽にシーゲル流を取り入れることができます。
【デメリット】金利の影響を受けやすい
リーマンショック以降、株式市場が安定してきた要因の一つに金利があります。
アメリカの政策で金利が低金利状態になっている為、国債の利回りが低く株式投資で配当をもらう方が効率良く利益を増やせるといわれていました。
しかし、2016年以降から利上げを行い金利が2%前後まであがったので、個別株のリスクを追うより国債を購入してリスクを抑えてリターンをもらう方法が良いと考える投資家も増えてきています。
米国株式が順調に右肩上がりを見せてくればよいのですが、国債に傾くとシーゲル流の投資戦術は機能しないと懸念されています。
シーゲル流株式投資は低リスクで利益を継続的に狙える
シーゲル流の株式投資は、リスク抑えて利益を継続的に狙えるのでおすすめです。
長期保有なので短期的に大きな利益を得ることはできませんが、成長株に投資するリスクより低いリスクで運用できます。
リスクリターンを総合的に考えるとかなり効率の良い投資戦術とされているので、興味のある人は運用方針に組み込んで見ましょう。