「つみたてNISAの銀行変更はできるの?」
「一般NISAからの変更はできる?」
NISAは投資の利益を非課税にできる制度なので、利用している人も多いです。
しかし、途中でNISAの銀行変更をしたい場合や、一般NISAからつみたてNISAに変更したい場合もあるでしょう。
この記事ではつみたてNISAの銀行変更の手順と、一般NISAからつみたてNISAに変更する方法について解説します。
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つみたてNISAの銀行変更は年一回
つみたてNISAに関わらず、NISA口座は一人1口座しか持てません。
一度に複数のNISA口座を持てないため、銀行を変更したい場合は変更手続きをする必要があります。
しかし、つみたてNISAの銀行変更は年一回しか行うことが出来ません。
銀行から証券など、金融機関を変更する場合は変更したい年の前年の10月1日から、変更したい当年の9月30日までに変更手続きをしなければなりません。
例えば2022年までA銀行を利用して2022年・2023年・2024年からB証券会社を利用する場合、次の期間内で変更手続きを提出する必要があります。
2022年 | 2023年 | |||
---|---|---|---|---|
1月~9月 | 10月~12月 | 1月~9月 | 10月~12月 | |
2022年分の口座変更 | 〇 | |||
2023年分の口座変更 | 〇 | 〇 | ||
2024年分の口座変更 | 〇 |
2023年分のNISAから別の金融機関を利用したい場合は、2022年10月から2023年の9月までに変更手続きを行うことになります。
すぐに変更できるわけではないので、注意しましょう。
前年に買付があると変更できない
NISA口座の変更は期間が決められていますが、他にもNISA口座で前年に買付があった場合変更できない決まりもあります。
変更したい年分の属する年の1月1日以降に買付があるとその年は金融機関の変更ができなくなります。
例えば2022年2月にNISA口座で買付を行った場合、9月までに申請しても2022年分は変更できず2023年度分の口座変更をすることになります。
NISA口座を変更したい場合はNISA口座を利用しない期間を作っておきましょう。
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つみたてNISAを他社へ変更する手順
つみたてNISAを他社へ変更する手順は次の通りです。
- 利用している金融機関に変更書類を申請する
- 金融商品取引業者等変更届け出書を提出する
- 勘定廃止通知書を受け取る
- 新しく口座開設する金融機関に申請書類を提出する
つみたてNISAに関わらず、NISAの口座変更手順は基本的に同じです。
事前に現在登録している金融機関から変更書類を受け取る必要があるので、できるだけ早めに連絡しておきましょう。
以下にそれぞれのステップについて解説していきます。
利用している金融機関に変更書類を申請する
まずは現在利用している金融機関に変更する旨を連絡して、書類を申請します。
変更の連絡は電話で直接行うか、ネット上で申請します。
変更の申請が完了すれば、1週間前後で「金融商品取引業者等変更届出書」が送られてくるので、送られてくるのを待ちましょう。
変更先の金融機関が決まっている場合は、この間にどのファンドを購入するか決めておくと良いかもしれません。
金融商品取引業者等変更届出書を提出する
金融商品取引業者等変更届出書が変更前の金融機関から送られてくるため、必要事項を記入して返送します。
金融商品取引業者等変更届出書に記入する内容は氏名や住所など基本的な内容を書くだけでよいので、5分程度で書くことができます。
提出時には本人確認書類のコピーが必要なので、再提出のすることのないように気をつけましょう。
勘定廃止通知書を受け取る
金融商品取引業者等変更届出書を変更前の会社に返送してから1週間程度で、勘定廃止通知書が送られてきます。
勘定廃止通知書は変更後の金融機関に提出する必要がある書類なので、大切に保管しましょう。
NISA口座の変更手続きを申し込んでから、勘定廃止通知書を変更前の金融機関から受け取れるまでに約2週間~3週間かかります。
新しく口座開設する金融機関に申請書類を提出する
勘定廃止通知書が準備できれば、新しく口座開設する金融機関に申し込み書類を提出します。
提出する書類は先ほど変更前の金融機関から受け取った「勘定廃止通知書」と、口座開設書類の「非課税口座開設届出書」です。
非課税口座開設届出書も記入事項は氏名や口座番号などの基本情報だけなので、提出自体はすぐにできるでしょう。
変更前の金融機関での手続きをしている間に、記入しておくとスムーズに変更手続きが行えます。
書類を提出すると変更手続きが完了して新しいNISA口座で運用が可能になりますが、申請書類を提出してから1~2週間程度かかります。
変更手続き初めから計算すると1か月程度かかる計算なので、変更期間のぎりぎり(9月)に変更手続きをする場合は翌年度分に変更手続きが間に合わない可能性があります。
変更することを決めている場合は、できるだけ早いタイミングで変更手続きを済ませておきましょう。
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つみたてNISAの口座を銀行変更するメリット
つみたてNISAの口座を銀行変更や他の金融機関に変更をするメリットとしては、次の2つが挙げられます。
- 投資対象が広がる
- 手数料が安くなる
- 口座変更のキャンペーンがある
NISAは一人1口座しか持てないため、口座変更することで投資対象が広がります。
投資初心者の頃適当に金融機関を設定した場合、口座変更をした方が良い場合があります。
以下にそれぞれ解説していきます。
投資対象が広がる
銀行や証券会社などそれぞれの金融機関によって、取り扱っている商品の種類と数が異なります。
例えば銀行は株式投資信託がメインなのに対し、証券会社では株式やETF、REITなど幅広い商品を取り扱っています。
また証券会社やネット証券の場合はNISAの商品数も多く、SBI証券や楽天証券では151種類のファンドがあります。
長期的に投資をする場合、さまざまな商品に投資ができる証券会社にNISA口座を変更すると資産運用しやすいです。
手数料が安くなる
NISAの金融機関を変更することで、手数料が安くなるケースがあります。
例えば銀行が販売する投資信託の商品は信託報酬が0.3%付近の商品が多数ありますが、ネット証券であれば信託報酬が0.1%付近の商品もあります。
つみたてNISAは20年間運用し続けるため、長期的に見れば数万円~数十万円の手数料差になることもあります。
手数料をできるだけかけずにNISAを活用できる面でも、金融機関を変更するのはメリットです。
口座変更のキャンペーンがある
NISA口座を変更する際、変更先の金融機関では口座変更のキャンペーンを行っていることが多いです。
証券会社 | キャンペーン内容 |
---|---|
SBI証券 | 国内株式手数料は買付・売却ともに一律0円に、海外ETFも買付手数料が0円 |
AUカプコム証券 | 新規口座開設+投信10万円以上の買付で現金4,000円プレゼント |
松井証券 | 国内株式、国内ETF、国内REITの売買手数料無料 |
以上のように手数料無料などのキャンペーンを行っている金融機関が多いため、変更してからNISAの運用がお得になります。
NISAの銀行変更するデメリット
NISAの銀行変更をすると、次のデメリットもあります。
- ロールオーバーができない
- 変更手続きに時間がかかる
変更手続きに時間がかかることは前述した通りですが、それ以上にロールオーバーができないことがデメリットとして大きいです。
ロールオーバーの解説も含めて紹介します。
ロールオーバーができない
ロールオーバーとは、NISAで非課税期間(5年)が終了した際に、保有している金融商品を、翌年の新たな非課税投資枠に移管することです。
同一の金融機関であればロールオーバーができるため同じ商品を10年保有することもできますが、金融機関を変更してしまうとロールオーバーが出来なくなります。
一般NISAを利用している場合は、ロールオーバーが出来なくなることを理解してから口座変更するか決めましょう。
またつみたてNISAの場合は20年の非課税期間の後にロールオーバーがそもそも出来ません。
そのためつみたてNISAの場合は口座変更するデメリットは少ないです。
変更手続きに時間がかかる
前述もしましたが、NISA口座の変更手続きには1か月程度かかります。
変更している間に何らかの価格変動があって利益を逃すこともあるので理解しておきましょう。
また変更手続きは期間が決まっているので、いつでも好きなタイミングで変更できないことにも注意が必要です。
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一般NISAからつみたてNISAへ変更する場合の注意点
NISAは一人1口座しか持てませんが、一般NISAからつみたてNISAへ変更することは可能です。
ただし、一般NISAからつみたてNISAに変更する場合はそれぞれの特徴を理解しておく必要があります。
一般NISAからつみたてNISAに変更する場合は、次の点に注意しましょう。
- つみたてNISAは投資できる商品が少ない
- つみたてNISAは年間40万円までしか投資できない
一般NISAからつみたてNISAに変更することでリスクを抑えて楽に投資ができるのは魅力的ですが、その分デメリットもあります。
以下にそれぞれ解説します。
つみたてNISAは投資できる商品が少ない
つみたてNISAは金融庁の指定した投資信託にしか投資できません。
つみたてNISAは長期的な資産形成を目的にしているため、金融庁によってリスクが低いとみなされた投資信託にしか投資できない仕組みになっています。
一般NISAであれば株式などにも投資できるので、投資の幅は格段に狭くなります。
しかし、つみたてNISAは手数料が無料なので、一般NISAに比べて投資に余分な資金をかけずに進めることができます。
投資にかける時間と資金を減らすことができるメリットがあるので忙しい人や資金を貯めたい人にはつみたてNISAがおすすめです。
つみたてNISAは年間40万円までしか投資できない
一般NISAの最大投資額は年間120万円ですが、つみたてNISAは年間40万円までしか投資できません。
投資資金が余っていても、さらに利益を出そうと思ってもできない仕組みです。
投資資金をかけて利益を狙いたい人は、一般NISAを利用してロールオーバーした方がお得です。
しかし、年間の投資額を抑える目的の人には最適です。
一般NISAからつみたてNISAに変更する手順
同一金融機関での変更
同一金融機関で変更する場合、次の手順になります。
- 登録している金融機関に連絡して区分変更申込書等を受け取る
- 必要書類を提出して1週間程度で完了
同一金融機関での変更の場合は、現在登録している金融機関に連絡して書類をもらってから提出すればすぐに口座変更が可能です。
口座変更までの期間も1週間程度で済みます。
変更手続きには本人確認書類のコピーが必要なので、準備しておきましょう。
別の金融機関に変更
別の金融機関でつみたてNISAを始める場合は、基本的な流れは前述した銀行変更の流れと同じです。
変更前の金融機関から勘定廃止通知書を受け取るところまでは同じで、変更後の金融機関に提出する「非課税口座開設届出書」で、つみたてNISAの区分を選択するだけです。
口座変更にかかる期間も大体1か月程度なので、急いでいる場合はできるだけ早く口座変更を行いましょう。
また一般NISAからつみたてNISAに変更する場合も、変更前の一般NISAでは1月以降の買い付けを行っていると変更できません。
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つみたてNISAの銀行変更は約1か月かかるので早めに対応しよう
つみたてNISAに関わらず、金融機関を変更する場合は約1か月かかります。
また変更のタイミングは変更したい年度の前年の10月~当年9月の間に変更手続きを完了する必要があるので、早めに行動しましょう。
NISA口座を変更すると投資対象を増やすことができるメリットがあるので、長期的に投資を続けていく人は変更しておくことがおすすめです。