NISA

つみたてNISA(積立NISA)はデメリットが多い?利用上の注意点・リスク軽減のコツを紹介

編集者:Money Theory編集部
つみたてNISA デメリット

年間40万円の非課税枠が20年間利用でき、最大800万円までの資産が積み立てられる非課税制度「つみたてNISA」は、長期運用・分散投資、積み立て方式の3要素を軸にしていることから、投資初心者におすすめといわれています。

一見、利用メリットが大きいつみたてNISAですが、同じ非課税制度の「一般NISA」とは異なる点が多々あるだけじゃなく、つみたてNISAにしか見られないデメリットも存在し、一部の経験者からは「つみたてNISAは初心者向きじゃない」と言われています。

そこで今回は、つみたてNISAが初心者向きじゃない理由と、利用上のデメリットを解説すると同時に、つみたてNISAを利用する上で気を付けることを紹介します。

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つみたてNISAを始めない方がいい理由

つみたてNISAを利用して資産運用は、長期運用と分散投資によるリスク軽減が図れると同時に、最低100円から積立投資ができるというメリットが得られます。

冒頭でも紹介しましたが、いずれも投資初心者にとっては大きな利点になる要素です。

しかし、一部の投資経験者からは、「つみたてNISAは初心者向きじゃない」と、言われています。

なぜ、「初心者向きじゃない」と言われているのか、その理由として考えられるのが、以下の3点です。

つみたてNISAを始めない方がいい理由
  • 資産をすぐに増やすことができない
  • 元本保証がない
  • 損得問わず税金が課せられる

資産をすぐに増やすことができない

つみたてNISAは、長期に渡って少しずつ資産を積み立てていくことを前提に資産運用を行っていく投資方法です。

少額から積み立てられることをメリットに思う方もいれば、デメリットに感じる方もいます。

少額投資は、ローリスクで投資の基礎が学べる一方、得られるリターンが少ないというデメリットが付いてきます。

ゆえに、少額から積み立てていった場合、最初の数年間の利益総額は少なく、長期運用の持ち味の複利効果が十分に得られないという点からつみたてNISAを始めない方がいいと言われています。

元本保証がない

つみたてNISAを含め、一般NISAなど、元本保証が設けられていない投資方法では、金融商品を購入した時の価額からマイナスになる元本割れリスクを引き起こす可能性があります。

つみたてNISAは、投資信託を活用して資産運用を行っていきます。

その時に購入する信託商品は、その時の経済状況の影響を受けて常時、価額の値動きが見られ、プラスになるときがあれば、マイナスになるときもあります。

とはいえ、購入する信託商品の特徴と仕組みを理解していれば、元本割れリスクの軽減及び、回避はできます。

損得問わず税金が課せられる

つみたてNISAを利用している間の20年間は、年間40万円までの非課税枠が設けられているので、湧く範囲内であれば20.315%の所得税がかけられることがありません。

しかし、非課税期間終了した後は、保有資産が課税口座に移動します。

投資家の中には、課税口座に移ってから保有する信託商品を売却される方もいます。

例えば、非課税期間が終わって、課税口座に移行する時の資産額が30万円だった資産が移行後、35万円になった場合、増額した5万円に対して所得税が課せられます。

また30万円を下回ったとしても税金が課せられます。

つみたてNISAに見られるデメリット

つみたてNISAが投資初心者におすすめしない理由を3つ紹介してきました。

ここからは、前節で使用介した理由と絡めて、つみたてNISAに見られるデメリットを4つ紹介します。

つみたてNISAが抱えるデメリット
  • 損益通算・繰り越し控除の利用ができない
  • 含み損のまま非課税期間が満了を迎える
  • 投資信託のみしか利用できない
  • 非課税枠のロールオーバーができない

損益通算・繰り越し控除の利用ができない

つみたてNISAを利用していても、元本割れによる損失を被るときがあります。

普通、損失を被った場合、損益通算や繰越控除を利用して、獲得利益分から損失額を相殺して、課税額の減額を図りますが、つみたてNISA利用中は、損得問わず、税金がかけられないので、損益通算と繰り越し控除の利用ができません。

そもそも損益通算と繰り越し控除は、いずれも節税効果を持った税制優遇措置の1つです。

ゆえに、損得問わず税金が発生しないつみたてNISAでは、税制優遇のメリットが生かせないという点から、利用そのものができません。

含み損のまま非課税期間が満了を迎える

つみたてNISAには20年間の非課税枠が設けられているわけですが、運用方法として活用する信託投資が含み損を持った状態で非課税期間を終了してしまうケースが稀にあります。

非課税期間を終えれば、必然的に課税口座に資産が移動することとなり、利益が出た状態で信託商品の売却を済ませたり、損切を取った場合でも、課税口座に資産がある以上、損得を問わず、税金を納めなければなりません。

投資信託のみしか利用できない

一般NISAでは、国内株式投資や海外株式投資、投資信託など、NISA対応の投資商品の利用ができますが、つみたてNISAは、投資信託のみの利用しかできません。

加えて、購入できる銘柄も金融庁が設けた長期運用・積み立て方式、分散投資の3要素を満たす215銘柄の中から購入して資産運用を行うようになっています。

購入できる銘柄の多くは、日経平均株価やアメリカのS&P500などに連動しているものが中心になりますが、いろんなものを購入して資産を積み立てていきたい方には不向きな側面をもっています。

非課税枠のロールオーバーができない

年間非課税枠を超過した場合、一般NISAであれば、翌年の非課税枠を利用して超過した分を非課税にできるロールオーバーの利用が可能です。

しかし、つみたてNISAでは翌年の非課税枠を前倒しで利用するロール―オーバーの利用ができません。

理由は、つみたてNISAが2042年までの制度として運用されており、投資信託で銘柄の購入ができるのもその年までとなっています。

また使いきれなかった非課税枠を翌年以降の非課税枠に持ち越すことも不可能となっています。

つみたてNISAを始めて損する人の特徴3選

つみたてNISAが持つ3要素「長期運用・分散投資・積み立て」を前提に資産運用を行っていけば、多少のリスクを背負ったとしても、資産形成が効率よく行えます。

しかし、これはあくまで、「長期運用・分散投資・積み立て」を守って資産運用を行った場合の話しです。

つみたてNISAを利用する上で、以下の考え方を持っている方が当投資方法を利用した場合、リターンよりもリスクの方が大きくなる可能性が高まります。

つみたてNISAで損する可能性がある人
  • 高利益獲得を狙っている方
  • 価格変動に動揺して損切をする方
  • つみたてNISAだけで老後資金を作ろうとしている方

ここでは、つみたてNISAの利用が向かない人の特徴を1つずつ紹介します。

高利益獲得を狙っている方

1つ目は、高利益獲得を狙っている方です。

冒頭でも紹介したように、つみたてNISAは少額で長期運用を前提に進めていく投資方法です。

資産を作るというよりも、資産を育てていくというところに焦点を当てているため、短期間で利益を獲得していくスタイルを軸にしている方には不向きです。

価格変動に動揺して損切をする方

つみたてNISAの非課税期間は、20年間と一般NISAに比べて約4倍もの年数をかけて運用していくので、複利的効果によって効率よく資産を増やすことができます。

とはいえ、元本保証が設けられていない以上、日々の価格変動で損することもあります。

その時、自分で損失額を決定する損切を行って、損失を最小限にするという方法がありますが、損切は、損失額を最小限に留められる一方、複利効果の恩恵が十分に得られないデメリットがあります。

また下落した分は時間をかけて回復していきます。

なので、価格変動に一喜一憂して損切を行うような感情的な人には不向きです。

つみたてNISAだけで老後資金を作ろうとしている方

年間40万円まで積み立てられるつみたてNISAを20年間、満額近くまで積み立てた場合、最大800万円までの資産が作れるわけですが、利用年数や獲得利益に上限が設けられている以上、十二分な老後資産を蓄えることは不可能です。

昨今の老後資金2000万円問題然り、年金受給額が減額傾向にある今、つみたてNISAの利用と合わせて、別途資産運用の方法を用意しておくことが望ましいです。

つみたてNISAで失敗しないコツ

ここまで、つみたてNISAが抱えるデメリットや初心者におすすめしない理由などを紹介してきましたが、金融庁が前提にしているつみたてNISAの運用方法を順守すれば、失敗することはなく、複利効果によって効率よく資産形成が行えます。

ここでは、つみたてNISAを活用していく上で遵守すべきポイントを紹介します。

長期運用で積立ていく

第一に遵守すべきことは、長期運用を前提に資産の積み立てを行っていくことです。

つみたてNISAで購入できる信託商品の多くは、「長期運用・分散投資・積み立て」の3要素を満たすものばかりで、いずれも長期成長が見込めるものが多いです。

また世界経済は、昨今のコロナショックやリーマンショックなどの金融ショックを幾度と経験していますが、右肩上がりで成長をし続けています。

つみたてNISAの特徴ともいえる長期運用を軸に据えれば、リスク軽減はもちろんのこと、複利効果によって、効率よく資産を育てることができます。

プロに相談しながら進めていく

つみたてNISAが持つ、20年間の非課税期間を活用していく間、利益獲得のチャンスがあれば、損失を被るときもあります。

しかし、その間も投資を続けていくので、ちょっとの損失を被っても動じない精神力と判断力を育むことができます。

とはいえ、商品の売買は自分の裁量で進めていくのが分からないという投資家も多いです。

そんな時は、お金のプロと呼ばれるIFA(ファイナンシャルアドバイザー)や、口座開設を行った証券会社のサポートサービスを利用してみましょう。

自分だけの力で解決できないときは、専門家の力を借りるのも1つの手としておすすめです。

他金融商品と合わせて資産を積み立てる

前節でも紹介したように、つみたてNISAを満期満額利用したとしても、最大800万円までで、老後資金に割り当てるには、少々物足りないレベルの金額です。

もし資産運用を始める目的が、老後資金であるなら、つみたてNISAとは別で資産運用の方法を作っておくのがおすすめです。

ただし、別の投資商品で資産形成を行う場合は、20.315%の税金が課せられることを頭に入れておきましょう。

つみたてNISA口座開設がおすすめの証券会社

最後に、銘柄件数と手数料、最低積立金額の3つを比較した結果、これから積み立てNISAを始められる方におすすめの証券会社を3社紹介します。

証券会社 楽天証券 SBI証券 松井証券
楽天証券 SBI証券 松井証券
つみたてNISA
銘柄件数
181銘柄 183銘柄 173銘柄
つみたてNISA
(手数料)
無料 無料 無料
最低積立金額 100円 100円 100円
積立頻度 毎月/毎日 毎月/毎週/毎日/複数日 毎月/毎日

楽天証券

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ここまで、つみたてNISAが初心者向きじゃない理由と、利用上のデメリットを解説すると同時に、つみたてNISAを利用する上で気を付けることを紹介してきました。

つみたてNISAは、少額投資による長期運用を前提に試算を育てていく投資方法で、実施期間が長ければ、複利効果によって効率よく資産の積み立てができます。

しかし、つみたてNISAには、高利益獲得ができなかったり、資産形成の手段が投資信託に限られているなど、様々なデメリットがあります。

とはいえ、つみたてNISAを利用する人にとって、制度本体がメリットになるか、デメリットになるのかは、その人の資産状況であったり、活用を始める目的や経験によって変わっていきます。

また不安なときは、お金のプロや証券会社に勤めているスタッフに相談しながら進めていくのも1つの手です。