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デフォルト(債務不履行)とは?日本財政や生活への影響、デフォルトの事例も紹介

編集者:Money Theory編集部
金融におけるデフォルトとは? デフォルトリスクを判断する方法から事例まで徹底紹介

「デフォルト」という言葉は、コンピュータの初期設定、スポーツで棄権する事など、様々な意味合いがあります。

デフォルトは金融において、債務不履行のことを指します。

投資を始めた人は見かけることも多く、気になっている人が多いでしょう。

この記事ではデフォルトの定義や種類について解説したうえで、デフォルトリスクを判断する方法から具体的な事例まで解説していきます。

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デフォルト(債務不履行)とは?

デフォルト(債務不履行)とは?

デフォルトとは債務不履行のことで、債券の元利払いや償還ができなくなるなど、債務者が故意や過失により債務の本旨に従った履行をしないことを指します。

債券発行元の財政悪化などから債務の返済が出来なくなった場合に、デフォルトとなってしまいます。

英語で書くと「default」で、先に説明したようにコンピュータやスポーツの場面でも使われる言葉になります。

債務不履行とは、簡単に言えば約束が守られないことです。

例えばお店で何か商品を購入するときに、お金を支払ったのに商品が渡されない、というのが債務不履行(デフォルト)に当たります。

  • お店 お客が求める商品を渡す義務(債務)・お金を受け取る権利(債権)
  • お客 お金を支払う義務(債務)・商品を受け取る権利(債権)

ものを売買する際、必ず上記のように債務・債権関係が成立します。

商品が渡されない、というのはお店側が商品を渡す義務(債務)を果たしていないので、債務不履行と言います。

債券におけるデフォルト

債権とは、簡単に言えば国や企業が資金を調達するために発行する借用書です。

投資家に債券を買ってもらうことで、発行元は資金を調達でき会社を運営できます。

そのように使われる債権におけるデフォルト(債務不履行)とは、以下のような事例を指します。

  • 債券の利払い日に利息が支払われない
  • 債券金額が返済できない

債権は利子をつけて返金することを前提に、投資家から事前にお金を借りる行為です。

「会社を運営するためのお金をもらえば、利益がだせる」とアピールすることで、投資家からお金をもらいます。

約束していた利息を支払わないことは、「後で利子をつけて返金する」という債務を放棄していることになるので、債務不履行(デフォルト)と言えます。

デフォルトの種類

デフォルトには、債務不履行の状態による3つの種類があります。

  • 履行遅延 履行が遅れること
  • 履行不能 履行できなくなること
  • 不完全履行 履行したが不十分なこと

債務不履行だからと言って、利息や額面金額が全て戻ってこないわけではなく、多少返ってくる場合や返金日が遅れるケースがあります。

どちらにせよデフォルトになった場合、投資家へのダメージは大きいです。

そのため投資をする場合は、デフォルトしない企業を分析して投資することが重要になります。

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デフォルトリスクを判断する方法は格付け

デフォルトリスクを判断する方法 格付け

デフォルトする可能性がある企業には投資しないように気を付ける必要があります。

ですが、財務諸表を分析してデフォルトしない企業を選ぶ、というのは投資初心者には非常に困難です。

ですが、デフォルトリスクを判断する方法として「格付け」というものがあります。

格付けを見れば、デフォルトしそうな企業を瞬時に判断できるので、比較的安全に投資できます。

格付けとは

格付けとは、第三者の格付け機関が債券の発行元の利払い状況や返済の確実性などを客観的に評価して順位付けしたものです。

アルファベットに+・-、数字などの符号で信用度合いをランク付けしています。

格付け会社によって表記は異なりますが、一般的にはAAA(トリプルA)がもっとも信用が高い債券となっています。

BBB以上であれば投資適格格付けと呼ばれ、デフォルトの可能性が低いとされているので、デフォルトしない企業を選びたい場合はBBB以上の会社を選ぶと良いでしょう。

反対にBB以下の企業は「投機的格付け」と言われており、デフォルトしやすい、してもおかしくない会社だと判断できます。

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デフォルトが株式市場に与える影響

当然ですが、デフォルトは株式市場と株価に影響を与えます。

企業の社債がデフォルトした場合、社債発行企業の株価は大きく下がります。

デフォルトした企業は約束したお金も払えない企業だとみなされるので株主が離れ、上場廃止にもなりやすいです。

またデフォルトが起こるとその会社だけにとどまらず、同業他社や株式市場全体にマイナスの影響が出てしまうこともあるので悪影響を及ぼします。

ただし、反対に「次はこの業種が来る」と分析されると、他業種企業では一部株価が上昇する可能性があります。

デフォルトするとどうなる?

デフォルトが起こると投資家は不利益を被ると解説しましたが、その後の対処法がどのように為されるか気になっている人は多いでしょう。

デフォルトには種類があるので、完全に投資額が無駄になることは少ないですが、投資家や銀行からすればかなりの不利益になります。

デフォルトが起こった際の対処法は、次の2つのケースによって異なります。

  • 会社更生法適用 債務の返済が難しい企業を倒産させずに支える手続き
  • 事業再生ADR 裁判所の手続きを介さない経営再建方法

会社更生法を適用する場合は手続き書類を提出した場合にデフォルトとみなされますが、事業再生ADRの場合は個人間で取引をするのですぐにデフォルトになるわけではありません。

二つのケースにおける対処法を解説していきます。

会社更生法適用の場合

会社更生法適用は、債務の返済が厳しい会社を再建させるための手続きとなります。

債権者・株主などの利害を調整しながら再建をはかります。

デフォルトとなった社債は原則的に「一般債券扱い」となります。

ただし、電力債のような担保付債券の場合は「担保付債権扱い」となり、一般債権よりも優先されます。

会社更生法適用の場合はそれぞれの返済率ごとに返金(償還)されます。

もちろん完全に返金されることはなく、金額で言えば20~30%程度の返金率になるので、投資家からすればかなり大きな損失です。

事業再生ADRの場合

事業再生ADRは裁判所を利用しない再建方法になります。

会社更生法と比較すれば手続きが簡素な点、すぐにはデフォルトにはならない点が特徴です。

事業再生ADRでは社債の利払い延期等の内容が含まれていないので、そもそもデフォルト(債務不履行)にはあたりません。

ですが事業再生ADRを利用しても社債が返済できず、後にデフォルトになったケースはあります。

デフォルトになった場合は会社更生法適用時と同じように、決められた返済率に従って返金されるので、同じようにかなり少ない割合しか返金されません。

デフォルトになる前には格付けが下げられているので、投資家で会社経営が怪しいと思った場合はデフォルトする前に切ることが大切です。

デフォルトの事例

デフォルトの事例

デフォルトは先ほど紹介した2つのケースで起こりますが、次に実際にあった事例を解説していきます。

  • マイカル
  • JAL(日本航空)
  • 日本エスコン
  • アイフル

意外にも聞いたことがある会社が多いでしょう。

デフォルトは中小企業だけではなく、大企業でも起こりうるので常に格付けを注意しておく必要があります。

以下に具体的な損失額などを紹介していきます。

マイカル

マイカルは、全国展開していた大手総合スーパーで、2001年に経営破綻による会社更生法適用でデフォルトとなりました。

2000年10月のマイカル第27回債の発行時には格付けは、JCRという格付け会社の評価でA-だったので、かなりデフォルトはしづらいと考えられていました。

ですが2001年9月に破綻する前までに徐々にB格、C格、Dと格下げしていき、経営破綻したときにはBBBランクを大きく下回っていました。

このように短期間で格付けが一気に変わることがあるので、ランクが高い企業に投資したと言っても安心はできません。

マイカルのデフォルト後は財産の再分配により、一部は投資家のもとに返還されましたが、投資家に戻ったのは額面の10%~30%ほどでした。

JAL(日本航空)

JALは2010年に経営破綻により会社更生法を適用し、3,500億円の公的資金の投入で経営再建しました。

会社更生法適用時には株価の大幅な下落だけでなく、発行済みの670億円もの社債はデフォルトとなったのでかなり注目されました。

デフォルト後には財産の再分配が行われましたが、投資家に返金されたのは20%程度です。

JALはデフォルト後持ち直し、2012年9月19日東京証券取引所に再上場を果たしています。

JALのようにデフォルトした後も経営再建が上手くいって再上場を果たすケースも中にはありますが、再上場時の審査はかなり厳しくなるのでかなりレアケースだと言えるでしょう。

日本エスコン

日本エスコンは、分譲マンションの企画や販売をしていた企業で、2009年に事業再生ADRを申請し、約80億円の社債をデフォルトしました。

事業再生ADRを申請してデフォルトした最初の企業ということで、かなり注目を集めました。

日本エスコンは2本の国内SB総額80 億円と2本の私募債(残額34億2000万円)を発行していましたが、このうち同日に償還を迎えた第2回債(50億円)の返金が困難ん位なりました。

アイフル

消費者金融アイフルは、業績不振から2009年にADRを申請、約2,800億円の債券の返済猶予を申請しました。

2006年以降増大した利息返還請求による資金負担増や、リーマンショックなどをきっかけとした急激な資金調達市場の悪化により、資金調達力が弱体化した結果です。

同時期には消費者金融の武富士も債務不履行に陥りました。

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国がデフォルトする事例

債券の債務不履行は、企業が発行する債券に限ったことではなく、国が発行する「国債」もも債務不履行になる可能性はあります。

国は国民のために公共事業を行い、国債としてお金を借りて行います。

利息や償還日のために新たに国債を発行すれば一時期はしのげますが、徐々に行き詰っていきます。

実際に、次の国で国債のデフォルトが起こっています。

  • ギリシャ
  • レバノン
  • アルゼンチン

国債でも絶対に安全というわけではないことが分かりますね。

以下にそれぞれの事例を紹介します。

ギリシャ

2009年、ギリシャ政府による赤字隠ぺいが発覚したため、ギリシャ国債は格下げされました。

その後2015年には、返済期限を迎えた約2,200億円の国際通貨基金への負債を返済できない状態に陥りました。

国際通貨基金はギリシャを「延滞国」と認定し、デフォルトとなっています。

レバノン

レバノンでは2019年頃から経済が急速に悪化した結果、国家破綻の懸念が高まり、投資家の資金引き上げや国外からの送金の減少が発生しました。

2020年にはレバノン政府は償還期限を迎えた12億ドルの国債と、同年に返済期限を迎える46億ドルの支払い延期を発表したことでデフォルトとなりました。

アルゼンチン

アルゼンチンは最もデフォルトを起こしている国で、過去9回事例があります。

最大のデフォルトでもある2001年には、政府が約20兆円もの利払い停止を宣言し、アルゼンチンは事実上破産しました。

2001年のデフォルト後は極端なインフレになり、2015年には経済危機を脱出しました。

しかし2020年に9回目のデフォルトが発生し、支払期限の約5億ドルの利払いが停止しています。

国債を減らす手段がデフォルトしかない状態になっているので、今後もデフォルトがいつ起こってもおかしくはありません。

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デフォルトとは債務不履行による倒産

デフォルトは債務不履行のことで、JALなどの有名な大企業でも起こりえます。

デフォルトが起こると投資家には10~30%程度しか返金されないことがほとんどでかなり大きな損失になるので、投資する際は気を付けましょう。

デフォルトの起こりやすさを判断する指標として格付けがあるので、BBBランク以上の企業を選んでおくと良いです。