NISAは税制優遇を受けられる投資として人気がありますが、デメリットが多いと噂を聞いた人もいるのではないでしょうか?
実はNISAにはいくつかデメリットがあるので、特徴を理解せずに始めてしまうと損をしてしまう可能性があります。
この記事ではNISAのメリットとデメリットを解説して、あわせて利用すべき人も紹介していきます。
始めるか悩んでいる人は確認しておきましょう。
【株初心者必見】NISAとは?NISAの基礎をわかりやすく徹底解説
NISAとは?
NISAは2014年1月から始まった、「少額投資非課税制度」です。
毎年120万円までの少額投資で、5年間の間は得られる利益が非課税になるお得な制度です。
本来、投資で得た利益は所得税と住民税で、20%程度の税金が発生します。
実際に得られる利益は80%程度なので、かなりお得に投資できる事が分かりますね。
売却で利益が出たとき、配当等を受け取るときどちらも非課税になるので、投資家から見ても大きなメリットです。
NISAの種類
NISAには、大きく分けて次の三つに分かれています。
- NISA(一般NISA)
- つみたてNISA
- ジュニアNISA
同じNISAですが利用できる人や、利用の仕方に違いがあるので、のちに紹介するデメリットにも関係します。
それぞれ特徴を解説していきます。
NISA(一般NISA)
対象者 | 日本国内在住の20歳以上の方 |
---|---|
投資可能期間 | 2028年まで |
年間投資上限額 | 120万円 |
非課税期間 | 投資した年から5年間 |
投資方法 | 投資上限額内の一括買付、積立も選択可能 |
一般NISAは20歳以上の人が受けられる基本的なNISAです。
NISAは個人の判断で最大120万円までの資産運用ができることから、ある程度の資産を持っている人たちに人気がある制度です。
投資方法はほとんどが一括買付で、積み立てを選ぶこともできます。
年間最大120万円、5年間で600万円分の投資が非課税でできるので資金力がある人には非常におすすめです。
つみたてNISA
対象者 | 日本国内在住の20歳以上の方 |
---|---|
投資可能期間 | 2042年まで |
年間投資上限額 | 40万円 |
非課税期間 | 投資した年から最長20年間 |
投資方法 | 定期かつ継続的方法による積立 |
つみたてNISAは「積立投資」専用の非課税制度です。
積立投資は、投資用のNISA口座(非課税口座)から、毎月や毎週など決まったタイミングで一定金額を引き落とし、継続的に買い付ける投資方法です。
投資対象は金融庁が定める一定の条件を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託です。
NISAと違って年間投資上限額も40万円と少なく、細かい金額を掛け続ける事ができる投資です。
ジュニアNISA
対象者 | 日本国内在住の0〜19歳の方 |
---|---|
投資可能期間 | 2023年まで |
年間投資上限額 | 80万円 |
非課税期間 | 投資した年から5年間 |
投資方法 | 投資上限額内の一括買付、積立も選択可能 |
ジュニアNISAは、進学や就職といった「子供の将来のための資産形成」を目的としたNISAです。
18歳である年の前年12月末までは、ジュニアNISA口座からの払い出しをすることができない仕組みになっています。
18歳未満で払い出す場合、ジュニアNISA口座内で生じた過去の利益が課税対象となってしまいます。
ジュニアNISAを利用すると家族全員のNISA口座を開設できるので、子供ひとりにつき80万円の非課税枠を利用することが出来てお得です。
子供がいる場合、ジュニアNISAは非常におすすめです。
つみたてNISA(積立NISA)のおすすめ銘柄・ネット証券を紹介!初心者にも分かりやすく徹底比較
NISAはデメリットがある
NISAは非課税でできますが、デメリットもいくつかあります。
- 投資の限度額が年間120万円
- 元本割れする可能性がある
- 損益通算ができない
- 投資できる商品は限られている
- 1人1口座しか持てない
- すでに保有している投資信託は対象外
便利な少額投資ですが、意外とデメリットも多いので利用前には確認しておきましょう。
以下にそれぞれ解説していきます。
投資の限度額は年間120万円
NISAの非課税投資枠は1年あたり120万円と決まっているので、それ以上かけることができません。
個別株投資を検討している人は、複数株を買うとオーバーしてしまう可能性があります。
例えば50万円の株式3銘柄に投資したい場合、3銘柄目は残りの非課税投資枠20万円が残っていてもNISAで購入することができなくなります。
他にも投資単位が120万円を超えている銘柄はNISAで投資できないので、投資に制限がかかります。
元本割れする可能性がある
NISAには元本割れの可能性があります。
NISAで投資できる銘柄は金融機関ごとに利用者へのおすすめを厳選しているものの、完全にプラスになる元本保証はありません。
投資である以上は最初の資金よりも運用結果が減ってしまう元本割れのリスクがあるので気をつけましょう。
NISAのメリットを活かそうと運用を始めても、元本割れしてしまうと非課税のメリットがない上に損をするだけです。
また、元本割れしたまま課税口座への移管を行った場合、移管時点の金額から計算した利益に税金が発生してしまいます。
移管するとNISAを使わなかった時よりも損失額が多くなってしまうこともあります。
NISAを活用するためには元本割れしないように、投資の知識も身につけておく必要があるので気をつけましょう。
損益通算ができない
NISAは損失が発生しても損益通算ができません。
NISAは株式を売買して利益が発生しても非課税となりますが、損失は税計算上ないものとみなされるので計算できません。
例えばNISAではない課税口座で、同一年内にA株式で50万円の利益が発生し、B株式で50万円の損失が発生すると、利益と損失を相殺して損益通算が可能です。
ただし同じ売買でもA株式が課税口座でB株式がNISA口座であった場合、B株式の損失は損益通算に利用できないため、A株式の売買による50万円の利益に対する税金、約10万円を納める必要があります。
NISAで利益を出せれば問題ありませんが、損失を出した時は非課税の恩恵が受けられないので気をつけましょう。
投資できる商品は限られている
NISAの投資できる商品は限られているので、自分が投資したい銘柄に投資できない可能性もあります。
NISAは国内株式や投資信託など、豊富な種類の銘柄から金融商品を選ぶことができるので、つみたてNISAよりも幅広い銘柄があります。
SBI証券や楽天証券では2,600本以上の投資信託に投資が可能なので、かなり数は多いと言えるでしょう。
ただし、合計の銘柄数が多くても、NISAの対象となっていない金融商品はあります。
NISAに加入した後に狙っていた投資先が対象外だった、なんてことがないように注意しましょう。
1人1口座しか持てない
NISA口座は1人1口座しか持つことができません。
複数の金融機関でNISA口座を1つずつ所有する運用方法を取れないので、最初にNISA口座を作った金融機関で売られる商品を購入することになります。
NISA口座を作った後に希望の金融商品がなかったから、他の金融機関で新たに作成することはできません。
NISA作成後に金融機関を変更することはできますが、商品を購入した後だと1年後の変更まで待つ必要があります。
NISA口座の途中変更は非常に手間がかかるので、最初にNISA口座を作る金融機関選びをしっかりしておかないといけません。
既に保有している投資信託などは対象外
NISA口座以外ですでに保有している金融商品は、非課税の対象にならない点も気をつけましょう。
NISAの非課税対象になるのはNISA口座で新たに購入した金融商品だけです。
120万円の範囲内でも元々保有している株式は移管できないので、すでに持っている人は注意が必要です。
これから購入した分だけが非課税の対象に入ると覚えておきましょう。
NISAのメリット
NISAにはいくつかデメリットがありますが、何も悪い点だけではありません。
NISAのメリットは次の3点です。
- 利益が非課税
- 投資はじめから5年間は非課税
- NISA口座なら手数料無料の金融機関が多い
基本的にNISAのメリットは非課税で投資ができる点です。
以下にそれぞれ解説していきます。
利益が非課税
NISAの最大のメリットは、NISA口座では年間投資額120万円までは利益が非課税になることです。
通常の投資の場合、次の3点がかかるので利益が20.315%課税対象になります。
- 所得税:15%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
利益が50万円の利益が出せても、税金で10万円程度取られてしまうので、NISAでの投資は非常にお得です。
まだ投資について知らない人は銘柄も自分で選ぶことが少ないはずなので、NISAを利用するとお得に運用できます。
投資はじめから5年間は非課税
NISAは投資を始めてから5年間は非課税期間が続きます。
年間120万円までとは決まっていますが、5年続けると600万円と動かせるお金はかなり多いです。
これ以上に資金を使いたい人は物足りないかもしれませんが、少額でコツコツ続けたい人はちょうどいい塩梅だと言えるでしょう。
また5年過ぎた後は非課税になりますが、ロールオーバーという制度を使えばさらに期間を延長できます。
ロールオーバーに関しては次の章で解説しています。
NISA口座なら手数料無料の金融機関が多い
国内株式や投資信託の取引手数料が無料になる金融機関が多いです。
主要な3社を見ても、次のようにNISA口座は手数料が無料になっています。
投資金額 | 非NISA口座 | NISA口座 | |
---|---|---|---|
SBI証券 | 10万円 | 99円 | 0円 |
30万円 | 275円 | 0円 | |
100万円 | 535円 | 0円 | |
松井証券 | 10万円 | 0円 | 0円 |
30万円 | 0円 | 0円 | |
100万円 | 1,100円 | 0円 | |
楽天証券 | 10万円 | 99円 | 0円 |
30万円 | 275円 | 0円 | |
100万円 | 535円 | 0円 |
NISA口座を開設できる証券会社は多いです。始める前に手数料も確認するようにしましょう。
5年間の非課税期間が終わってからの対策
NISAは最長5年間が非課税とされていますが、5年が過ぎた後はどうすればいいのでしょうか?
非課税期間が終わってからの対策としては、次の3つがあります。
- 非課税期間内に購入株式を売却する
- 課税口座に移管する
- ロールオーバーする
以下にそれぞれ解説していきます。
非課税期間内に売却する
非課税期間が終われば、所有している金融商品を売却するのも一つの手です。
NISAはいつでも金融商品を売却して利益に換えることができるので、最初から5年間だけ運用すると決めていればいいでしょう。
ただしNISAは必ずしも売却価格が購入価格を上回るとは限りません。
購入時の価格が50万円で売却時の価格が40万円だったとしたら、10万円の損失を出すので運用しない方がマシだったことになります。
しかもNISA口座の損失は損益通算が不可能で損失の繰越控除もできないので、NISA口座では利益を出さなければ運用のメリットは得られません。
とはいえ、損失を出している商品をいつまでも保有しておいてもメリットはないので、非課税期間が終われば売却するのが税額控除面では適していると言えるでしょう。
課税口座に移管する
課税口座へ商品を移管するのも一つの手です。
課税口座では利益が出た場合は税金も発生します。
非課税の状態から課税される状態になりますが、利用するタイミングを計れば有利に働きます。
例えば、非課税期間に30万円の利益を出して150万円になっている商品は、移管後に20万円の利益を出した場合は20万円分しか課税対象になりません。
課税口座に移管する場合、非課税期間が終了する時点での価格で移管が行われるため、移管時の価格で金融商品を購入したとみなされるからです。
そのため非課税時点で利益を出している場合は、課税口座に移管してからの課税範囲を減らすことができます。
非課税期間に損失を出した場合は注意が必要
ただし、非課税期間に損失を出した場合は注意が必要です。
例えば120万円で購入した商品が80万円になっている状態で課税口座に移管した後、20万円利益を出して100万円になった場合は、20万円分が課税対象になります。
合計で見ると20万円損失を出しているのに、課税対象に入ってしまいます。
そのため、非課税期間で損失を出している場合は、この後増えても税金がかかることを理解したうえで行動すべきです。
ロールオーバーする
ロールオーバーとは、翌年の非課税投資枠に移管することです。
NISA口座の非課税期間は5年ですが、ロールオーバーを行えば非課税期間を延長することができます。
ロールオーバーで翌年の非課税投資枠に移管すると、移管された金融商品は新たに購入されたものとされます。
そのため、非課税期間の5年間が新たにスタートすることになるので、実質的には期間を延長できることになります。
さらにロールオーバーは、移管する金融商品の価格が120万円を超えていたとしても可能なので、120万円で購入した金融商品が200万円になっていても、そのまま非課税投資枠に移管できることになります。
ただし、ロールオーバーすると移管した分の金額が翌年のNISAの非課税投資額120万円の中に組み込まれることになるので、その年は新しく金融商品を購入できなくなります。
NISAのメリット・デメリットから利用に向いている人
NISAのメリット・デメリットから利用に向いている人は次に当てはまる人です。
- 投資経験がある人
- 投資資金に余裕がある人
- 短期での資産形成がしたい人
NISAは非課税で投資できる非常に便利な手段ですが、メリットを活かせない人はあまり利用すべきではありません。
以下にそれぞれ解説していきます。
投資経験がある人
NISAは投資経験がある人に向いている制度です。
年間で最大120万円の非課税枠を利用できますが、利益を出すには自分で投資対象を選び売買のタイミングを判断する必要があります。
投資に対する専門的な知識が必要なので、初心者の人はメリットを最大限利用したい人には向いていないと言えるでしょう。
初心者でいきなり初年度から非課税枠をフルで活用するのは難しいので、投資初心者の人にとってはNISAのメリットを最大限に活かしづらいです。
投資経験があれば、自身の戦略に基づいた運用でNISAのメリットを最大限活かすことができます。
投資資金に余裕がある人
NISAは投資資金に余裕がある人に向いています。
少額からでもNISAを利用することはできますが、NISAの非課税枠120万円をフルに活用するためには年間120万円、合計600万円が必要です。
資金に余裕がある人の方が積極的に活用できるので、少額投資で始めるメリットは少ないです。
そこまで投資に使えない、という人は、最低100円から積立投資ができる「つみたてNISA」を選ぶのがおすすめです。
短期での資産形成がしたい人
NISAは短期で資産形成したい人におすすめです。
一般的に、金融商品での資産運用は10年以上の長期間を見越して行います。
NISAでの運用が非課税となる期間は5年間と短いので、短期での資産形成を行いたい人にはNISAが向いていると言えるでしょう。
またNISAの非課税枠は年間で最大120万円と決められていますが、運用益や配当金に対しては上限が設けられていません。
利益が多ければ多いほど非課税によるメリットも大きくなるので、「短期間で大きく稼ぎたい人」に特におすすめの制度になります。
反対に長期的な資産形成がしたいのであれば、コツコツと資金を積み立てていくことができる「つみたてNISA」を選ぶと良いでしょう。
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NISAはメリットとデメリットがある!自分に向いているか判断して始めよう
NISAはいくつかデメリットがある反面、利益が課税されないメリットがあります。
利益非課税の恩恵を受けやすい人はNISAを利用し、あまりメリットを活かせない人はわざわざ使う必要もないでしょう。
自分がNISAを使うべきかきちんと判断してから始めるようにしましょう!