NISA

新NISA制度の仕組みとは?従来のNISA制度との違いを徹底解説

編集者:Money Theory編集部
新NISA制度の仕組み

現在、金融庁が設けている非課税制度NISAには、一般NISAとつみたてNISAの2種類と、未成年者を対象にしたジュニアNISAの3種類の非課税制度が用意されています。

その中の1つ、ジュニアNISAは20223年12月末で廃止になると同時に、2024年1月から新NISA制度へと移行し、現行の一般NISAとつみたてNISAに大きな変化が訪れます。

今回は、新NISA制度の内容の解説と合わせて、現行のNISA制度と新NISA制度の違い、利用上のメリット・デメリット、オーバーロール実行時の注意点を解説します。

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新NISA制度の内容・現行のNISA制度との違い

ここでは、2024年1月導入される新NISA制度の内容を、現行の一般NISAとつみたてNISA、ジュニアNISAに当てはめて制度内容の違いを解説します。

2階建て構造の新NISA

新NISA制度

新NISA制度の大本は、一般NISA制度の改定になります。

以下は、現行の一般NISAと新NISA制度の違いです。

現行の一般NISA 新NISA制度
利用できる方 日本にお住まいの18歳以上の方
口座開設可能数 1人1口座
非課税構造 1階建て構造 2階建て構造
非課税投資枠 年間120万円まで
  • 1階:新規投資額で毎年20万円が上限
  • 2階: 新規投資額で毎年102万円が上限
非課税対象 株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が対象
  • 1階:一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が対象
  • 2階:株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益が対象
非課税期間 最長5年間
投資可能期間 2014年~2023年 2024年~2028年

大まかな変更点は、非課税対象が詳細になったことと、非課税枠が2階建て構造に切り替わったこと、そして、投資可能期間が2024年~2028年になったことです。

例えば、非課税の対象になっていた金融商品で見た時、現行の一般NISAは、国内外の株式や、投資信託、REITなど、仮想通貨やFXを除いた金融商品を中心に投資が行えました。

一方、新NISA制度では、一般NISAが投資対象にしていた金融商品がすべて2階部分の枠内で取引が行えるようになり、非課税枠も102万円に減額しています。

次いで、1階部分には、一定の投資信託を対象に年間20万円の非課税枠が設けられています。

この一階部分で買い付けができる金融商品は、主につみたてNISAで買い付けができていたETFを含む投資信託を対象にしています。

つまり、新NISA制度とは、現行の一般NISAとつみたてNISAが持つそれぞれの良さを統合して生まれた新非課税制度ということになります。

つみたてNISAが5年間延長

2024年から新NISA制度が導入されることによって、つみたてNISAの口座開設期間が5年間延長、口座開設可能年齢が20歳から18歳に引き下げが実施されます。

大まかな変更点は、この利用期間の延長措置のみで、それ以外の仕組みに変更点はありません。

なお、口座開設引き下げは、2023年1月から実施されます。

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ジュニアNISAの廃止

新NISA制度導入に伴って、2023年12月をもってジュニアNISAは廃止になり、期間延長措置等はありません。

しかし、18歳前の引き出し制限は撤廃や2024年1月時点で18歳以上なら、新NISAにロールオーバーができるなど、新制度導入に伴って2点の改定が実行されます。

なお、ロールオーバーを実行する場合、所定の期日までに手続きを済ませなければなりません。

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新NISA制度を利用するメリット・デメリット

前節で、現行のNISA制度3点を当てはめて、新NISA制度の内容を解説してきました。

ここからは、前節で解説した新NISA制度の内容と絡めて、利用上のメリット・デメリットを解説します。

【メリット】少額・長期投資がやりやすい

新NISA制度は、現行の一般NISA制度につみたてNISAが持つ運用スタイルの良さを統合し、それを2階建て構造に分離して資産運用を行う新しい投資スタイルを取っています。

一般NISAが持つ短期間で高利益獲得のチャンスをものにする良さを2階部分に宛がい、つみたてNISAが持つ長期運用によるリスク軽減を図った投資ができるスタイルを1階部分充てることで、1つの口座で、それぞれが持つメリットの利用や、投資信託と上場株式の買い付けが非課税枠で行えます。

さらに、現行の非課税枠よりもプラス2万円の非課税枠がトータルで設けられているのも大きなポイントです。

【デメリット】上場株式などが購入しにくくなった

一方、2階立て構造によって、購入できる金融商品に制限が課せられています。

前述した表でも紹介したように、2階部分は非課税枠102万円の範囲で株式や投資信託、REITなど、今まで購入できていたものを購入しなければならず、1階部分は金融庁が定めた一部の投資信託しか購入ができません。

非課税枠もトータルで見れば、拡張していますが、各階層別にみれば、バランス調整が施されており、元々120万円の非課税枠で購入できていた非課税枠が102万円に減額されています。

短期集中で高利益獲得を投資スタイルにしている方にとって、この調整は大きなデメリットと言ってもいいでしょう。

新NISAへのロールオーバーを行う際の注意事項

現在利用している一般NISAを、2024年1月に切り替わる新NISA制度にロールオーバーすることは可能です。

もともとロールオーバーは、非課税制度終了間際に所定の手続きを組んで非課税期間の延長をはかる制度であると同時に、翌年の非課税枠を前倒し利用して、超過分した分を当てはめるときなどで利用します。

今回のように現行の一般NISAから新NISA制度に切り替えるときでも、ロールオーバーの手続きが必要になります。

なお、ロールオーバーを実行するとき、金融商品を保有している場合、使用している非課税枠の差額に気を付ける必要があります。

ここでは、新NISA制度の2階部分の非課税枠102万円を超過した状態でロールオーバーを実行した場合と、102万円未満でロールオーバーを実行した時の状況をそれぞれ解説します。

非課税枠122万円を超過するとき

2階部分の非課税枠102万円を超える額を保有している場合、2階部分の非課税枠をすべて使用した後、1階部分の20万円で102万円の枠に収まりきらなかった分を埋めます。

ロールオーバーを実行したら、2階部分の非課税枠から優先的に埋まっていき、足りない分は1回部分の非課税枠を使用して管理します。

なお、ロールオーバーを実行して埋まった分は翌年の非課税枠に使用しているため、その年以降の買い付けができなくなるデメリットが付いてきます。

今回のように2階部分をすべて使用してなお、1回部分を5万円だけ使用した場合、金融庁が定めた投資信託(ETFを含む)のみしか買い付けができません。

非課税枠122万円が余るとき

一方、2階部分の非課税枠を全部使用しない額しか持っていない場合は、残りの非課税枠を利用して株式投資や投資信託の購入ができます。

ただし、1階部分は金融庁が定めた投資信託(ETFを含む)のみしか買い付けができませんのでご注意ください。

新NISAのロールオーバーはどうなる?一般NISAからロールオーバーする仕組みや注意点を解説

一般NISA・つみたてNISAの利用がおすすめの証券会社

ここでは、一般NISAとつみたてNISAの利用がおすすめの証券会社を3社紹介します。

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楽天証券 SBI証券 松井証券
一般NISA
(IPO対応可否)
×
(122社)

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新NISA制度への移管は自分の運用スタイルを照らし合わせてから行うこと

ここまで、新NISA制度の内容の解説と合わせて、現行のNISA制度と新NISA制度の違い、利用上のメリット・デメリット、オーバーロール実行時の注意点を解説してきました。

2023年12月末までは現行のNISA制度が利用できますが、それ以降は、新NISA制度の利用もしくはつみたてNISAの2制度から自分の運用目的に合ったものを選んでいくことになります。

また新NISA制度にロールオーバーするときは、現在保有している金融商品が消費している非課税枠を確認してから手続きを組むようにしましょう。