NISAは金融庁が実施している少額投資非課税制度で、投資で得た利益を非課税にできる制度です。
積立NISAは年間40万円までの積立投資で済むため、一般NISAから変更する人も多いです。
しかし、NISAから積立NISAに変更する際はすぐには変更できない場合もあるので、気を付ける点もあります。
この記事では一般NISAから積立NISAの変更手順と、変更時の注意点を解説します。
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一般NISAと積立NISAの違いは?
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
課税制度 | 非課税 | 非課税 |
投資対象 |
|
金融庁が定める一定の基準を満たす投資信託とETF |
非課税投資枠 | 120万円 | 40万円 |
非課税運用期間 | 5年 | 20年 |
ロールオーバー | 可能 | 不可能 |
NISAの口座は1人1口座しか持てないため、NISAを活用したい人は一般NISAか積立NISAを選択する必要があります。
一般NISAと積立NISAは同じ少額投資非課税制度ですが、非課税期間や投資対象に上記のような違いがあります。
どちらもメリットはありますが、一般NISAは投資先を自分で選ばないといけないため、投資経験者の人が利用しやすい制度です。
反対に積立NISAは年間40万円までの少額で、投資先も金融庁に選んでもらう投資信託だけに絞られているので初心者向けとなっています。
投資資金を減らしたい人や、安定した投資をしたい人は積立NISAに変更するのがおすすめです。
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NISAから積立NISAに変更する手順
NISAから積立NISAに変更する際は、同じ金融機関内で変更するか、別の金融機関に変更するかで変更する手順が異なります。
それぞれのケースについて、変更時の流れを解説します。
同じ金融機関の変更
同じ金融機関で一般NISAから積立NISAに変更する場合、次の流れで変更手続きを進めます。
- 区分変更を申し込む
- 申し込み書類を送り返す
- 区分変更の完了
同じ金融機関内で、一般NISAからつみたてNISAに切り替える手続きは区分変更を申し込むだけで可能です。
ただし、変更手続きが済むまでには1~2週間かかるうえ、翌年からの変更しかできないため気を付けましょう。
別の金融機関に変更
一般NISAから別の金融機関の積立NISAには変更する手順は、次の通りです。
- 勘定廃止通知書・非課税口座廃止通知書を変更前の金融機関から受け取る
- 新規開設する金融機関にNISA口座申し込み書類の請求と返送
- NISA口座開設手続き完了
NISA口座の金融機関を変更したい場合は、元々の金融機関から「勘定廃止通知書」を受け取りましょう。
申請してから勘定廃止通知書が届くまで1~2週間程度かかるので、変更手続きを行う場合は早めに対応しましょう。
それまでの金融機関から書類が届けば、新規口座開設する金融機関に「口座開設届出書」と「勘定廃止通知書」を一緒に提出します。
勘定廃止通知書を受け取ってから、新規NISAに承認してもらうまでには約1か月程度かかります。
一般NISAから積立NISAに変更する際の注意点
一般NISAから積立NISAに変更する際の注意点は、次の2点です。
- 年一回しか変更できない
- 一般NISAで買付するとその年は変更できない
一般NISAから変更することは、上記の内容に気を付ける必要があります。
以下にそれぞれ注意点を解説します。
年一回しか変更できない
一般NISAから積立NISAへの変更は、年一回しか変更できません。
積立NISAの非課税期間は、1月1日から12月31日を1区切りとしています。
NISAの金融機関を変更する場合は変更する年の前年10月1日から、変更する当年9月30日までに変更手続きを完了する必要があります。
2022年 | 2023年 | |||
---|---|---|---|---|
1月~9月 | 10月~12月 | 1月~9月 | 10月~12月 | |
2022年分の口座変更 | 〇 | |||
2023年分の口座変更 | 〇 | 〇 | ||
2024年分の口座変更 | 〇 |
例えば2023年分のNISAから金融機関を変更するときは、2022年10月から2023年の9月までに変更手続きをしなければなりません。
変更する際は、できるだけ早めに変更手続きを行いましょう。
一般NISAで買付するとその年は変更できない
一般NISAで買付をしている年は、その年のNISA口座の変更はできません。
例えば2022年3月1日に一般NISAで買付を行うと、積立NISAに変更できるのは2023年の1月からです。
すでに一般NISAで買付を行っている場合、すぐには口座変更ができないことは理解しておきましょう。
ただし、積立NISAに変更する手続きはいつでもできるので、早めに対応しておくと良いでしょう。
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一般NISAから積立NISAに変更すべき人は?
一般NISAから積立NISAに変更するべき人は、次の内容に当てはまる人です。
- 銘柄選びや売買タイミングが判断できない投資初心者
- 給与所得の少ない人
- 老後資金を蓄えたい50代以上
一般NISAは積立NISAに比べて短期間で高額を稼ぐのに向いていますが、その分リスクも大きいため損失が出る可能性もあります。
着実に資産運用をしたい人や、投資初心者の人は積立NISAを利用するのがおすすめです。
以下にそれぞれ解説していきます。
銘柄選びや売買タイミングが判断できない投資初心者
投資について詳しくない初心者の場合、積立NISAに変更すべきです。
一般NISAは投資をしている人が利益を非課税にするために利用する制度のため、投資先の選定や売買タイミングは自分で判断しなければなりません。
そのため、一般NISAはある程度投資の知識がないと利益を出しづらく、損失が出る可能性が高いです。
積立NISAでは、リスクの低い長期運用に適した投資信託などの商品が金融庁によって選定されているため、積立しておくだけで利益を出しやすくなっています。
当然積立NISAでも損失が出る可能性はありますが、一般NISAに比べると安定した利益を出しやすいです。
また年間投資額も40万円までと安く設定されているため、投資資金を抑えることもできます。
投資初心者の場合、まずは積立NISAで安定した利益を出せる投資をするのがおすすめです。
給与所得が少ない人
給与所得の少ない人が投資する場合も、積立NISAの利用がおすすめです。
積立NISAはローリスクローリターンの投資のため、少ない投資資金で着実に利益を出しやすい仕組みです。
現在の銀行預金の金利は0.001%程度とされているため、銀行に預けておくだけでは資産を増やすことはできません。
つみたてNISAの利回りは2%前後と言われているため、所得が少ない人でもリスクを抑えて資産運用できます。
老後資金を蓄えたい50代以上
50代になってから老後資金を蓄えようと思っている人も、積立NISAの利用がおすすめです。
50代になれば、定年退職する時期も近くなっていて収入が安定している人が多いので、投資資金も若年層に比べれば高くなります。
しかし、50代になってから初めて投資を始める場合は、投資資金を抑えて安定して資産運用できる積立NISAを利用すべきです。
積立NISAでは年間の投資資金はそれほど多くありませんが、慣れていないのに無理に高額の投資をする必要もありません。
また50歳から積立NISAを利用しても、70歳になったタイミングで期間が終了するため、老後資金の積立には十分間に合います。
投資先もわからないまま一般NISAに投資するよりは、積立NISAで着実に投資すると良いです。
一般NISAから積立NISAに変更する際の保有銘柄の扱い
一般NISAから積立NISAに変更する際、保有している銘柄の扱いは次のように決められています。
- すでに保有している株や投資信託はそのまま残せる
- 株や投資信託はロールオーバーできない
- 非課税期間内なら売却益は非課税
一般NISAから積立NISAに変更するからと言って、急いで保有している銘柄を売却する必要はありません。
以下にそれぞれの項目を解説します。
既に保有している株や投資信託はそのまま残せる
変更前に一般NISA口座で購入している株や投資信託などの保有銘柄がある場合、そのまま保有し続けることができます。
そのため、保有している銘柄を焦って売却しなくても大丈夫です。
ただし、保有し続けられるのは株や投資信託を購入した前年までに購入した銘柄のものだけで、変更年に購入した銘柄は売却しなければなりません。
また、再投資型の投資信託は再投資した分が非課税にはならないため、一般口座・特定口座のどちらかで投資することになります。。
再投資分の売却益、分配金は課税対象になるため気をつけましょう。
株や投資信託はロールオーバーできない
一般NISAでは、非課税期間を延長するロールオーバーという仕組みがあります。
一般NISAの非課税期間は5年ですが、保有している商品をロールオーバーすると翌年の非課税枠を利用して非課税期間を延長することができます。
しかし、ロールオーバーができるのは一般NISAだけで、積立NISAではロールオーバーができません。
積立NISAに変更しても株式や投資信託を保有し続けることはできますが、5年を超えると非課税期間を延長できないので注意しましょう。
一般NISAから保有していた商品の非課税期間5年を越えると、一般口座に移して課税対象になるか売却するかを選ぶ必要があります。
非課税期間内なら売却益は非課税
一般NISA口座の非課税期間は投資商品を購入してから5年間で、積立NISAに変更した後も有効です。
例えば、2021年に一般NISA口座で購入した商品は、つみたてNISAに変更してからも2025年までは非課税の対象です。
株式や投資信託は保有しているだけでは、含み益がいくら出ていても利益が確定しません。
売却時が非課税期間5年以内であれば利益は非課税になると覚えておきましょう。
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積立NISAにおすすめの証券会社
積立NISAにおすすめの証券会社は、次の2社です。
SBI証券
楽天証券
上記の証券会社は、取り扱っている投資信託の本数が多いため、積立NISAでも投資の選択肢に幅が出せます。
以下にそれぞれ解説します。
SBI証券
取扱投資信託数 | 178本 |
---|---|
買手数料 | 無料 |
最低購入金額 | 100円~ |
信託報酬 | 銘柄ごとに異なる |
SBI証券はNISA口座数213万口座を越える人気のあるネット証券で、取扱投資信託数も178本と他の証券会社に比べて多いです。
SBI証券では、リスクを減らしてコツコツ運用する「コツコツ草食系」のインデックスファンドと、しっかりリターンを狙っていく「しっかり肉食系」のアクティブファンドに分けられています。
投資の幅を広げることができるので、積立NISA初心者でも非常に利用しやすい証券会社です。
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楽天証券
取扱投資信託数 | 180本 |
---|---|
売買手数料 | 無料 |
最低購入金額 | 100円~ |
信託報酬 | 銘柄ごとに異なる |
楽天証券は2021年12月に口座開設数700万口座を突破している、人気のある証券会社です。
楽天証券では、対象の投資信託を楽天ポイントで購入できる上にポイントを貯められる特典もあるため、少額投資をしたい人には非常に向いています。
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一般NISAから積立NISAに変更する際は保有銘柄の扱いに注意しよう
NISA口座は1人1口座しか開設できないため、一般NISAと積立NISAを両方保有することはできません。
一般NISAから積立NISAに変更すれば、長期的に安定した利益を出すことができるので投資初心者や資金が少ない人にはおすすめです。
ただし、一般NISAで保有していた銘柄がロールオーバーできなくなるなど注意点もあるため、変更する際は気を付けて行いましょう。